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記録62:EMPランチャー

兵器フィクションウェポン解説 人対人ミサイル

人体、特にサイボーグを一般人でも楽々粉砕できる兵器であり、一発打ち切りの小型ミサイルである。

射程は自爆特攻のゼロ距離射撃から、二百メートル程度で、誘導センサーがついているものもある。基本的にはロケットランチャーのように使うか、射手がサイボーグなどの怪力を持っている場合は腕に装着した特殊な円筒形の装置からミサイルを発射する。

開発国はサイボーグ技術のないアル・ハラータであり、まだサイボーグの研究が進んでいない国家にも希望を与える兵器となっている。

空軍基地に侵入した俺達は、順調に進んでいた。基地内部に目標の人がいるらしいので、一旦外にいた人間は全て排除した。それでも基地内部にいるであろう敵勢力は一切出てこなかった。


「アレックスさん。この基地、外からの入口は正面の門しかありませんね。幸いなことにまだ的には気づかれていないので...今のうちに行ってしまいますか?」


アナスタシアの言葉に、俺は首を横に振った。

侵入がバレていないからのではなく、どこかのタイミングで侵入がバレているからこそ出てこないのだ。今頃は正面の門からはいってくる俺達を秒殺するために様々な罠が仕掛けられている頃だろう。

アナスタシアにその事を伝えると、彼女は当惑した顔を見せたので、俺はそんな彼女にこういう事案が発生したときの対処法を教えた。


「そのためのこのパンツァーファウスト3だ。別に対象物が戦車パンツァーで無くとも、この兵器は十分に輝けるだろ?」

「合衆国の人対人ミサイルみたいな使い方するんですね」

「ああ、勿論だ。そうじゃなきゃ詰まらんだろ?それに、弾頭はただの榴弾じゃないんだちょっとした仕掛けが入ってる」

「後のお楽しみですか?」

「御名答。じゃ、行くぞ」

「了解です」


俺は位置についた。正面の門に、アナスタシアが爆薬をセットし、すぐに爆発させた。

そこに、こんな事もあるだろうと、中峰が用意してくれていた小型ドローンを消炎の中から突撃させた。猛スピードで敵陣に食い込むドローンは、わずか数秒で撃破されてしまったが、これである程度の敵の位置はわかったようなものだ。


一番の脅威は自動機銃で、恐らく門の、左前斜め四五度に一つ設置されている。そして機関銃陣地も存在するはずだが、まあ対人用の機関中などたかが知れているので大丈夫だ。

その他には脅威となるようなものもないだろう。


作戦開始。


「発射」


真っ暗な夜空を照らすほどの後方爆風の後、前方で大きな爆発音が聞こえた。

それと同時に弾頭に備えられていたEMP装置が起爆し、EMP対策のない機械が停止した。

弾頭に備えられているのはEMPだけではない。スモークも備えられているのだ。


正面の門を覆い尽くすほどの煙が周囲に立ち込めた。


「行くぞ!」

「了解です!」


一気に門を駆け抜けて施設内部に侵入した。建物まではまだ十数メートルの距離があるが、この煙幕の中、下手に撃ってくる敵はいないだろう。

そう思っていたが、俺達サイボーグにとって『バシュッ、シュバッ』という嫌な音が聞こえた。


人対人ミサイル...!どうしてここにあるんだ!?


いや、落ち着けEMPで破壊されているはずだから無誘導のはずだ...


俺はとっさに地面に伏せてミサイルを回避した。次弾装填が終了する前に俺は建物の窓を突き破って突入した。EMPで電気系統もダウンしているので、持ってきていた暗視ゴーグルを使用して戦闘を続行した。

アナスタシアもすぐに俺の後を追って室内に突入し、彼女は暗殺業故に夜目が効くのでそのまま戦うそうだ。


「アナ、ほらこれ使え」


Blauder Sayga12 (記録37参照)を持っているアナに、俺は鞄の中から薄い防弾チョッキ、及びプレーとを取り出して彼女に渡した。


「こんなので防弾出来るんですか?」

「被弾しなきゃりゃいいだろ?それに、軽いからそこまで動きの邪魔にはならないはずだ」

「まあ、そうですね」


嫌そうな顔をしながらも、彼女は防弾チョッキを装着し、ショットガンを構えて俺の先を歩き始めた。

俺のその後を音も無く歩き、まずは中峰の情報で、一階にあるらしい通信室を探した。


今更だが、この建物は地上三階、地下一階の構造だ。探している人間は地下にいるらしい。そして、地下への入ぐりは地下からしか開けることが出来ないので現在近衛隊は兵糧攻めをしている真っ最中だったらしい。


曲がり角を曲がる瞬間、月の光に照らされた細いワイヤーが宙に浮いていた。


「アナ!止まれ!」

「え―――」


カチンッ


バァァァンッ!


室内なので、トラップの音がよく響いた。どうやらトラップはショットガンだったようだ。

幸い、俺に被弾は―――


ドサッ


「ッ!?アナ!」

「も、問題...ありません。防弾チョッキにもろに食らっただけです。ただ、少し肋骨と足がやられました...」

「分かった。ちょっと待ってろ」


俺はバッグからグレネードとP12(USP)を取り出し、持っていたパンツァーファウスト3とその残った弾薬を放棄し、爆薬を近くにセットした。

バッグの中身を空にして、証拠隠滅のためにスナイパーライフルも爆薬の近くにおいた。


アナスタシアに反対で俺の付けていた防弾チョッキを装着させて彼女の体を俺の体に縛り付け、鞄のようにして背負った。彼女にはP12とグレネードを持たせた。


急いでその場を離れて、すぐに駆けつけてきた近衛隊員の姿を視認するなり、爆薬を炸裂させた。

轟音とともに一階の一部分が崩落し、二階部分にいた兵士も巻き添えを食らった。


まだEMPが作動してくれているうちに、俺達は片っ端から部屋をあさり、接敵した場合は声を上げられる前に始末した。


そうしているうちに通信室に到着し、俺は扉を蹴破って中にいた近衛隊の人間を即座に射殺した。


「クリア」


一人でそうつぶやき、通信記録を漁った。本部とは連絡を取っている最中だったらしい。ここは簡単に偽装して『侵入者は排除した』と...


「アナ。これで敵の援軍は大丈夫だ」

「......」

「アナ?...おい!大丈夫か?」


俺は急いで彼女の容態を確認した。どうやら足に命中していた弾丸が深い傷を追わせていたようで、意識が飛びかけている。

急いで包帯で彼女の傷を止血した。

しかし、出血が多すぎるせいで、まともに動けるような顔をしていない。


「クソっ...守れてねえじゃねえか...」


自分に悪態をついて、ため息をついた時、通信室が占領されたことに気づいた近衛隊員はドアからグレネードを投げ込んだ。


できるだけ遠くに投げ返そうと手を伸ばした時、アナがグレネードを掴んでものすごい速さで投げ返した。


「アナ!大丈夫な―――」

「応戦して下さい!」


アナスタシアの叫びで、俺ははっと我に返って扉から銃口をのぞかせている近衛隊員を射殺した。数発の被弾こそあったものの、損傷軽微で生き残ることが出来た。


俺が再びアナの方を見ると、彼女はぐったりした様子で地面に伏せていた。脈はまだしっかりとしているので死ぬことはないが、このままではここから動けない。そう思っている時、通信室の一枚の床板が剥がれた。


「アンタが...いや、アンタたちが救出目標かよ。久保田さん」

「ああ、そうや。博士のとこにおったら、急に尻尾掴まれてな。近衛隊の特殊部隊の襲撃にあったんや。そんで、博士と命からがら逃げてきたんや」

「やあ、アレックス君。アナスタシア君の容態を今すぐ見よう。ついてきなさい」


俺はただ、頷いて二人の後を追うことしか出来なかった。

お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!


次回『地下要塞』

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