表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/122

記録61:なんか大きくて厳ついやつ

軍閥本拠地に匿ってもらって、早二時間が経過した。別の部屋に通されたといっても、ワンは未だ僕達の監視の手を一切緩めず変な動きを見せれば即射殺するような態勢だった。


「さて、さきほど、君が、言ったことに、違いは、ないか?」

「問題ないよ。それで、ラシードの傷はどう?治りそう?」

「あの程度の、かすり傷、問題ないさ。それより、明日香、君は、全身骨折で、動いているようだが...」

「あぁ〜...バレた?」

「そりゃあ、ね。初対面の、ときから、動きが、どこか、ぎこちない気がしたからな」


実を言うと、Code:Clawsに強襲されたときから、ずっと治りきっていない状態だったのだ。ずっと戦ったりしてたから傷の治りも遅いし、何しろずっと強力な痛み止めで耐え忍んできたのだ。薬の効果にも限界がある。


中国に到着したときくらいから、ずっと全身が痛んでいる。


「まあ、暫く、ラシードと、一緒に、匿ってやるから、参謀として、働くか?」

「良いの!?」

「ああ、問題ない。全ての、作戦が成功すれば、いくらでも、情報をやろう。その間、お前の仲間の、サイボーグ三体は、許可をもらえたら、メンテナンスをしておこう」

「中国で!?」

「この国には、ノウハウはある。だが、実行してこなかった、それだけだ。八本のネジを、入れるのを、知っていながら、二本しか入れてこなかったから、今の中国の、イメージがあるんだ」


確かに、と思ってしまった。現に、戦時中に中国のサイボーグ部隊が弱小だが大量に出現したとの報告もあった。もしかすれば、技術自体はあるんだろうと思っていた。

まあ、あるんなら、良いか。多分情報は抜かれるだろうけど、そうやってこの国は発展していくし、米露の対立の中和にもなるかもしれない。


「じゃあ、お言葉に甘えて」

「そうすると、良い」

「あ、そういえば、ワン君って一体いくつなの?結構若そうだけど...」

「三十五だ」

「えぇ...」

「幹部にしては、若いほうだ」

「若見えだねぇ...」

「それは、置いておけ。特別に、部屋を用意した。そこに移れ」

「はいはい」


僕は、痛む体を引きずりながらワンの後について行った。



「クソっ!なあアナ!大丈夫なのかよ、この道で」

「そんなに怒らないで下さい。脳みその血管切れますよ。今から中峰さんの伝を伝ってとある人に会いに行くんですから、メンテナンス部分を増やさないで下さいね」

「そうは言ってもだな...」


アレックスは悪態をつきながら、私達が来た道を指差した。


「こんなに遠けりゃもう日も昇っちまうぞ?」


そびえ立つビル群は今や地平線の向こう側、私達は今少し内陸側にあるとある放棄された空軍基地に移動していた。

放棄されたと言っても、略奪された後に潜伏されているので誰もいないように見えているだけであると中峰は言っていた。


無線機を使って、セーフハウスに立てこもっている中峰に生存確認をこまめに行いながら、私達は瓦礫の草原を歩いた。


「ん?アレじゃねえか?広いやつがみえる」


中峰から貰った暗視望遠鏡を使ってみると、そこには破壊された旧式の戦闘機の残骸が並べられた基地があった。

今回、世話になる予定の人たちが立てこもっている『広州空軍基地』だ。

中峰によると、軍閥派の人間に扮した近衛隊が周囲を取り囲んでいるようだ。私達の任務は近衛隊の排除と、立てこもっている人物の救助だ。つまり、中峰は明日香の言葉に少し引っかかるところがあったようで、近衛隊に持っていた疑念を確固たるものにするために、まずは近衛隊の資料を奪うという判断を下した。


中峰も、これは大きな賭けだと言っていた。失敗すれば間違いなく彼女の首が飛ぶが、成功さえすれば近衛隊(天菊)の独裁政治を終わらせることが出来るかもしれないと思っているのだ。


「距離三百、南風一メートルだ。結構近いな。始めるか?」

「ええ、始めましょう。アレックスさん」


アレックスはM24を、私はドラグノフをそれぞれ構えた。光学照準器付きなので、観測手は必要ないのだ。必要な情報を照準器に打ち込めば自動で計算してくれる。


「アナ。なんでそんな骨董品使ってんだ?DXL-5とかあるだろ...」

「あなたこそ、もっと新しい狙撃銃があったでしょうに」

「...ま、お互い様だな。始めるぞ。俺に続け。まずは一番近くにいる三人だ。重なったタイミングで頭を撃ち抜くから、外れた一人の始末を頼む」

「了解」


息を止めて、引き金に指をかけた。アレックスが発砲するとほぼ同時に私も発砲した。消音器と亜音速弾のお陰で、ほとんど音は鳴らず、パシュンという音の後に三人が地面に倒れた。


「次は二つの監視塔にそれぞれ一人いるやつらだ。俺が南側のやつを狙うから、アナは北側を頼む」

「了解」


パシュン

...命中。


「最後に監視塔下の警備兵を素早く二人仕留めろ。ちょっと難しいが、行けるか?」

「問題ない」


パシュン...パシュン

...命中。


「よし、最後だ。あそこにいる門番、重武装兵だが、鼻先を狙え。こっちを向いたタイミングで仕留めろ。俺は次の準備をする」

「了解」


一度呼吸を整えて、もう一度呼吸を留めた。重心を安定させて、引き金を撫でるように引く。


パシュン...パシュン

命中。


「何一発外してんだよ。ばれるぞ」

「すいません。狙撃は苦手で。アレックスさんに任せればよかったですか?」

「いいや、大丈夫だ。これもお前の経験のためだ」

「はいはい、当てられる自身がなければそう言って下さい」

「うるせえ」


私はドラグノフを背中に背負い、アレックスに渡されたショットガンを抱え、光学迷彩マントを羽織った。

実は、結構視界が制限されるので、私は苦手なのだが、まあ仕方ない。


アレックスの方を見てみると、M250とパンツァーファウスト3を持っていた。


これが、とてつもなくでかいのだ。ロケランと軽機関銃をぶら下げて、通信機と狙撃銃を背中に担いでいる男など、見たことがなかった。


「何見てんだ?行くぞ」

「......はい」


私は、あまり周囲の警戒が出来ないまま空軍基地へと侵入していった。

お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!


次回『EMPランチャー』

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ