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記録19:ダンスパーティ with IzhMash Sayga12 isp095

銃器解説 IzhMash Sayga12 isp095


生産国:ロシア連邦

分類:ショットガン(12ゲージセミオート式散弾銃)

設計年:1990年代

特徴:isp095は木製のハンドガードにレシーバー部分には金色のエングレービングが施された高級仕様。とにかくスリムでかっこいい。


※wikipediaより引用

僕がムルとの馴れ初めから死別までを話した。その間、アナスタシアは興味深くその話を聞きいてくれた。そして、僕が話し終わると今度は彼女が話しだした。


「私は、ムニカルさんとは、暗殺代理委員会で出会いました。始めは、小さな女の子で、本当にこんな子が人を殺せるのかと不安に思ったものですが、いざ実践になってみると、私が到底到達できないようなレベルの冷酷さを見せてくれました。彼女は、私の目標だったのです。死んでしまったのは心苦しいですが、私ももう一人前になっているので、技術が彼女の遺品と取っておきます」

「そう。それで、なんで私がムルじゃないって分かったの?」

「勘ですよ。それに、いつものムルからは、考えられないような格好もしているようですし。好きなんですか?そういう格好」

「いや、犂ってわけじゃないんだよ。ただ、カモフラージュでこの格好にしたの。ムルって、一応もともと国際指名手配犯だったじゃない?だから、母国に戻ってきたら何されるか分からないから、ちょっとだけね」


僕が言い訳をすると、彼女はニコっと笑って言った。


「結構ムニカルさんとは仲が良かったみたいですね。委員会で一番仲が良かった私でも、全然話してもらえなかったんです。彼女は、本当に寡黙で、何を考えているのかが想像がつきませんでした。でも、彼女がそれだけ貴方を信用しているから、体も使えるのでしょうね」


なんだか信用関係が成り立っていなければ体が使えない的なことを言ったので、僕はそれについて彼女に追求した。すると、彼女は知らなかったのですねと言って説明してくれた。


「他人の身体を乗っ取るときは、その人の体に刻まれた記憶が、抵抗するのです。その抵抗が、信用関係が大きければ大きいほど少なく、信用関係がなければ相互の人格がぶつかり合って消滅するか、全くの別人格になるのです」

「へ、へぇー」


僕はそう言って彼女から杖を離して、バスタブから出ようとした。しかし、彼女は僕の腕を引っ張り、僕を彼女の膝の上に座らせ、近くにあったシャンプーで僕の髪をワシワシと洗い始めた。

何をするんだと僕が聞く前に、彼女は呟いた。


「一度だけでも、ムニカルさんに触れたかったんです。どれだけ人を殺しても一切汚れることのない髪を、一度だけでも、流してみたかった。その傷一つ無い肌に触れたかった。少しだけ、許して下さい」


彼女はそう言って体の他の部位も洗い始めた。他人に体を洗われることなどなかったので、ムズムズしてしまったが、それよりも僕が気になっていたことは彼女の大きなとある部位が、僕の背中を包みこんでいるのだ。初めて感じる感触に身悶えしながら僕は彼女の洗髪に身を任せた。


それから、僕も彼女の髪を洗って、二人同時にバスタブから上がった頃には、二人共のぼせ上がっていた。

彼女は風呂から上がるなり、こういった。


「貴方、男の人なのに、よく私に手を出しませんでしたね」

「こういうハニートラップは今まで何度も見たことがあるからね。女性に対する見方とか、普通の男とは結構違うんだよ」

「あ、そういえば。どうしてそれほど完璧な女性言葉を?少しくらい間違ってもおかしくないでしょう?」

「...まあ、ムルに悪いからね。ただそれだけの理由さ」


そう言って僕はパジャマに着替えて、ベッドまで行った。

しかし、ここで驚愕の事実が発覚した。

ベッドが二つしか無いのだ。勿論片方はアレックスが占拠している。


渋々僕達はもう一つのベッドに入ったが、アナスタシアは勿論僕についてきて、ピッタリとくっついて僕が寝るまでじっと見つめてきた。

いつまでも眠れないので、彼女に背を向けて寝ると、彼女は更に密着して先に眠ってしまった。

それからすぐに僕も眠りについた。



次の日、早めに起きた私は、着替えを済ませて二人が起きるまで待っていた。

二人共よく眠っていて、結局起きたのは午前九時だった。全く、ねぼすけさん達だ。


アレックスが起きると隣の布団にアナスタシアがいるのを見て、これまでにないほど驚いて、母国語で僕に抗議していた。わからないから英語で喋ってくれと言って宥めると、彼は一呼吸置いて、昨日のことを思い出し、たしかにアナスタシアが部屋に入ってきたことに気づいて彼はため息をついてベッドに座り込んだ。


「何もされなかったのか?」

「まあ、大丈夫だったね。一緒にお風呂に入られた挙句、髪を洗われた以外は、何もされてないよ」

「結構されてんじゃねえか。それで、怪我はないみたいだが、夜中にあんな大量殺人鬼を部屋に上げるなよ...って言っても、お前はアナスタシアが何者か知らないから仕方ねえか」


そう言ってため息を付くアレックスに、僕は彼女が誰なのかと聞こうとしたとき、彼女が起床して、僕達の間に入ってきた。


「私の素性については知らなくてもいずれ知ることになりますから、今は言わなくても良いでしょう?」

「...まあ、天下のアナスタシア様がそう言うならそうだな。明日香、朝食会場に行こうぜ。昨日から何も食っていないから腹が減った」


アレックスはそう言ってすぐに着替えて半ば僕を連行するような形で僕を朝食会場に連れて行った。

朝食会場もホテルの部屋と負けず劣らずの豪勢さで、天井からは大きなシャンデリアがぶら下がり、赤い絨毯の上には彫刻の施された机があり、ビュッフェ形式の数多の料理が並んでいた。


僕達は必要最低限の料理だけを取ってきて、テーブルについた。アレックスは朝は少食だったが、アナスタシアは朝から大量に食べていた。


「それで、昨日は一体何のために?」


僕はアナスタシアに昨日聞けななかったことを聞いた。

すると彼女は口に入れていたチキンをすぐに飲み込んで言った。


「貴方、探偵ですよね?だから、とある依頼をしに来ました」

「ほう、聞きましょう」


僕は依頼という言葉に反応して、前のめりになって彼女の話を聞いた。

彼女はくすっと笑ったと思うと、すぐに真剣な顔になって長々と話し始めた。あまりにも長過ぎたので、要点をまとめたものが以下のものになる。


依頼内容:米国陸軍大将を殺した犯人を探してほしい

経緯:昨日の夜、簡単な依頼を片付けた後(だから血まみれだったようだ)、大将を暗殺しに向かった所、そこには彼の遺体があった。他にも情報の入ったファイルも置いてあったが、周囲の警備員も彼の死には一切気づいていない模様だった。

目立った外傷もないので死因は毒殺だと思われ、青酸カリを摂取した場合に発生するシアン化水素の香りがしたため即時撤退したので、それ以上の詳しいことは分からなかったという。

現在、帝国保安部が調査にあたっているそうで、捜査は米国の検死官が到着するまで一旦停止しているそうだ。彼らが到着するまでは三日、それまでに依頼を解決してほしいとのことだ。


報酬:とっさの判断で盗み出してきた情報ファイル。中身は近衛隊などの世界各国に忍ばせてあるスパイの身分証の写しなど。


「以上です。受けてくれますか?」


僕はアレックスと顔を見合わせた。

彼はすぐに頷いてくれたので、僕も彼に頷き返してアナスタシアに言った。


「その依頼、ぜひ受けましょう。それで、現場はどこに?」


彼女の顔がぱっと明るくなり、言った。


「ダンスパーティ会場です。今は護衛の人がたくさんいるので、貴方達部外者だけで入ることは難しいでしょう。なので、私も同行いたします。政府公認の暗殺代理委員会委員長の雇った探偵と目しておけば、周囲の理解も得られます。ただ...」


彼女の顔が一気に暗くなり、その声に少しばかりの殺意がこもり始めた。


「恐らく敵勢力が混じっていますので、恐らく交戦する可能性があります。そのときは、私一人で対応しますので、ご了承下さい」

「分かった。でも、専守防衛だ。こっちから怪しいからって言ってぶっ放しちゃ駄目だよ」

「...はい」


僕は何故か悲しそうな顔をするアナスタシアにそう言って朝食会場を後にして、ホテルのチェックアウトを済ませた。

ここで、僕は彼女が昨日部屋に持ち込んできた銃のことが気になって彼女に聞いた。


「何の銃を使うの?」


彼女は嬉しそうに答えた。


「IzhMash Sayga12 isp095です」


...昔のショットガンじゃねえか。もう骨董品の部類だろ。

僕のそんな思いとは裏腹に、彼女はその銃を打てるのを楽しみにしていると言わんばかりの笑みを浮かべていた。

お読み頂きありがとう御座いました。次回もこうご期待!


次回『早すぎた推理』

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