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無理なもんは無理

 暫くの沈黙の後、意識を取り戻した香坂が「……いや、無理があるだろ」と口にしたことで、オレもさすがに決心し、香坂に話すことにした。

 オレの前世について。


 ただ口が悪かっただけなら、ちょっとキレちゃいましたで済む話だが、さっきのオレは明らかに女の喋り方じゃなかった。『オレも女子に言い寄った』とか言っちゃったし……もう事情を話すしかない。


 観念して、頑張って閉じていた足を開き「実は……」と話を切り出すと、香坂は話が終わるまで黙って聞いていた。



「……すげぇな、それ!」


 非現実的な話だから簡単には信じないだろうと思っていたが、香坂は案外すぐにオレの話を信じた。

 それほどさっきのことが衝撃的だったんだろうか。


「え、じゃあ、お前ホントは男ってことだよな?」と素早く受け入れた香坂が問い掛けてきて、何だか気の抜けたオレは「そうだよ。だからあんなにキレたんだ、キモくて」と素で返事をする。


 ひど……と言いながら、香坂は「まぁ確かに、同じ男からあんな風に言い寄られたら、俺もキレるかもしれないな」と面白そうに笑った。


 なんだ、コイツ普通にイイ奴じゃん。


 あんなに苛立って仕方なかったのに、いざ素で話せるようになるとあまりに楽な居心地に、そういえばアキと再会した時もこんな感じになるのを望んでいたんだよな、と初心を思い出した。


 しつこく口説かれることで発生した頭痛も、香坂と素で話し始めてからは何だったのかと思うほどすぐに治まった。


「……なぁ、香坂」

「ん?」


 アキはダメだったけど、香坂ならいけるだろうか。

 すぐにオレの言葉を信じて、まるで男友達のように接してくれている、香坂なら。


「……オレと、またこうして喋ってくれないか!?」


 勇気を振り絞り言葉を吐くと、香坂はあっけらかんとして「え?別にいいけど……てかもう女子扱いできねーわ。キモイって言われちゃったし〜」と普通に接してくる。


 やっと素をさらけ出せる友達ができた!!と嬉しくなったオレは「香坂〜〜〜!!」と歓喜の声を上げ、勢いのままに抱きついた。


「ちょっ、お前これは……いや、まてよ」


 そのまま何やら考え始めた香坂に気付き、体を離し「どーした?」と聞くと、香坂は真剣な表情でオレを見た。


 ジーッと見つめられ、本当になんなんだと思っていると「やっぱ好みなんだよなぁ……顔は」と香坂がしみじみと呟いた。


 そうだろうな。お前、清楚でお淑やかそうな女が好きなんだもんな。そんな女はこの世でオレくらいだ。


 あとで香坂に幸司から聞いた取材の内容が本当なのか確認してやろう、と思いながら香坂が次に何を言うのかを大人しく待っていると、突然香坂がオレの両手首を掴み「一個聞きたいんだけど」と口にした。


「……なんだよ?」


 口説かれてる時でさえ見たこともなかった香坂のまっすぐな瞳に、一体何を聞かれるのかと構えると、香坂は表情を変えず溜めに溜めた質問を投げ掛けた。


「……男なんだったら、胸揉ませてくれたりする?」

「……は?」


……聞き間違えか?何だかとんでもなくくだらない事を聞かれた気がするんだが。


 オレが耳を疑っていると、聞こえてないと思ったのか香坂はもう一度、今度はハッキリとお願いしてきた。


「胸を揉ませてくれ」


 聞き間違えじゃない!!


「ふっざけんな!!なんか理解早いなと思ったらそういう事かよ!!」

 あまりのいやらしさに、オレが罵声を浴びせると「ちっ、違う!断じて違う!」と香坂も反論する。


「違うけど!!男同士ならいいんじゃね?って思うだろ普通!!」

「思わねーよ!!」

「いーや!お前も反対の立場なら思ってるね!!」


 言い争いながらオレが必死に逃げようとしていると、香坂はオレの手首を握る力をどんどん強くしていく。


 この男、ケダモノの顔してる!!


 身の危険を感じ、目の前の香坂を蹴り飛ばそうとするが、女の体では体格のいい香坂を前にして手も足も出ない。

 揉み合っていると押し倒され、自然と香坂がオレの上に跨る体勢になった。


「少しくらいいいだろ!!あっという間だって!!なっ?」

「なっ?じゃねぇわ!!」


 いいわけねーだろ!!と声を荒らげ香坂の下で暴れていると、突然香坂が「あっ……」と声を出し、オレの後ろを見つめて動きを止めた。


 何かと思いオレも抵抗を止め、香坂が見つめる方を向いてみると、

「……何してるんだ、お前ら」

怪訝な顔をして立っている、アキがいた。

こんにちは、鈴木です。


転生したら女だったんだが!?〜前世の幼馴染に言い寄られて困ってます〜 をお読み頂きありがとうございます。


評価・感想・ブクマをして頂けると励みになりますので、お気に召しましたら是非よろしくお願いします。


次回もお読み頂けるよう最善を尽くしますので、これからもどうぞよろしくお願いします。

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