オレの夢
始終BL風味の物語です。
苦手な方はお戻りくださいませ。
オレの名前は児島健太郎。中学一年生になりイケメン街道まっしぐら、サッカーセンスも並外れで将来はプロサッカー選手になることがほぼ確定している男だ。
身長は153cmと今はまだ小柄だが、この一年で20cm伸びる予定だから大丈夫!
と、順風満帆な日々を送っていたオレだったが、三つ年下の幼馴染、アキと遊んでいるときサッカーボールを追って車道に出たところをトラックに轢かれてしまい、呆気なく死んでしまった。
くそぉ!悔しい!こんなことになるなら、隣のクラスのしおりちゃんに告白しとけばよかった!話したことないけど……!
だけど後悔しても仕方ない。次の人生では今度こそ、プロサッカー選手になり可愛い彼女を作り結婚し、子供を11人作ってサッカーチームを作るんだ!!
そう決意表明をしたところでパチッと目が覚めた。見慣れない天井、そして上からオレを覗く女たち。
なんだ……?ここはどこだ?
そう思い手を伸ばしてみると、自分の手の小ささに驚く。小さくてムチムチで………まるで赤ん坊の手みたいだ。
「……あぅ?」
何だこの声、オレから出たのか?
「んぶぅ……」
なんか高いし上手く喋れない。
「奥様、かわいいですねぇ」
「ええ、本当に」
オレを覗く女達がニコニコと話しているのが見える。
そうか、わかったぞ!
オレの13年間の人生経験を元に導き出した答え、そう、オレは転生したのだ!
確かにあの時、オレはトラックに轢かれて死んだ。
トラックが異世界転生のきっかけになるっていうのは本当だったんだ!
ただ、異世界と言うにはなんだか馴染み深い。多分日本語だし。この女たちの顔だって純日本人っぽい。
もしかしてオレは、体だけ転生したのだろうか?
どうせなら異世界に転生もしてみたかったけど、まぁいい!オレはいずれプロサッカー選手になる男!前世からの夢を今世では必ず叶えてみせる。
母親らしき美人に抱かれながら周りを見渡すと、なんだか雰囲気がオレの知ってる家じゃない。
天井にはシャンデリア、子ども部屋にしては広い室内、これでもかとでかい窓……え、もしかしてオレ勝ち組なんじゃないか?
「奥様、旦那様が急いで向かっていると連絡が来ております」
使用人っぽい服を着た女が言っている。使用人がいるということは、そうか、やっぱりオレは金持ちの家に生まれたんだな。うんうん、金はある方がいい、将来の可愛い彼女を苦労させるわけにはいかないからな!
「SOJの社長を引き継いだばかりの直人さんの、待望の第一子だもの。きっと、早く会いたくてすごく急いでるでしょうね」
なおひと?それがオレの父親か?なるほど、オレの父親は社長なんだな。会社名はよく分からんが鼻が高いぜ。
母親と使用人が仲良く話していると、勢いよく扉が開き「雪江!」という声が響いた。
前世のオレほどではないけど綺麗な顔をした男だ。
“ゆきえ”とはどうやらこの母親の名前らしい。
「直人さん、声が大きいですよ。この子が驚いてしまいます」
母親がクスクスと笑いながら言うと、男は「すまない……」と謝りながら近づいてきた。
これが父親か。思ったより頼りなさそうだな。
気弱そうな父親はオレを見て「かわいい……」と呟き頬を撫でてきた。くすぐったくて笑ってしまう。
しかし申し訳ないな、せっかくの跡取り息子だっていうのに、オレは将来並外れたサッカーセンスを開花させプロサッカー選手になると決まってるんだ。
もしかしたら反対されるかもしれないけど、そこはオレのサッカーセンスで黙らせるしかない。
いや待て、次期社長になるのも悪くないぞ?ちょっと迷ってきたな。
「……直人さん、ごめんなさい。お義父様は跡取り息子を所望していらしたのに……」
あぁ、そうか、この母親は既にオレの気持ちに気づいてたんだな。そう、オレはやっぱり社長にはなれない。プロサッカー選手になるから。じいちゃんにはオレから説明しとくよ。
「いいんだ、そんなこと。性別なんて選べるものじゃないんだから」
ん?
「それよりも名前だ、前から考えていただろう?」
待て、なんだか聞き捨てならない言葉を聞いた気がするぞ?
「えぇ、きっとあなたも気に入るわ」
おい待て雪江。ちゃんと説明しろ。
「この子の名前は……薫子」
「西園寺薫子よ」
さいおんじ……か、かおるこ……?
ま、ままままさか、おれ…………
今世は女に生まれたのかああああ!?
こんにちは、鈴木です。
新連載、転生したら女だったんだが!?〜前世の幼馴染に言い寄られて困ってます〜 をお読み頂きありがとうございます。
初回三話のみ、2月20日中に時間を分けて投稿致します。
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次回もお読み頂けるよう最善を尽くしますので、これからもどうぞよろしくお願いします。