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第5話 神の御業


 リドが拡大させた、金色の文字。

 そこに記されたスキル名はミリィにとって初めて見るものだった。


「これは、【植物王の加護】――? 聞いたこともないスキルです。それに文字の色が金色なんて、見たことが……」

「このスキルの詳細を表示させるね。ミリィ、神聖文字は読める?」

「はい、一通り勉強しましたが……」

「うん。それなら問題ないか」


 リドが追加で文字列を表示させると、ミリィは青い瞳を見開く。


「『植物王の加護を受け、あらゆる植物を操作・使役できる。触れた植物の効能を最大限向上させることも可能』……。リドさん、これならもしかして……!」


 頷いたリドを見て、ミリィは急かすように懇願する。

 リドがそれに応じて念じると、辺りを漂っていた光の粒子がミリィの体に吸い込まれるようにして消えていった。


「ミリィ。君が採ってきたこの薬草に触れてみて。そして念じるんだ。『其の内なる力を示せ』と」

「は、はい」


 ミリィがリドの差し出した薬草に触れて祈ると、その葉は光り輝き形を変えていく。


「こ、これは……」


 そこに現れたのは、薬草の樹だった。

 実った葉はどれもが巨大で、人の背ほどの大きさがある。


 「より上質な薬草であるほど大きな葉を持つ」――。

 その定説に基づけば、今ミリィの前に現れたのは最高級の薬草と考えていいだろう。


 ミリィはリドと頷き合い、すぐに薬草の樹から一部をもぎ取る。


「お姉ちゃん……。今度こそ」

「ん、む……」


 ミリィがもぎ取った葉を煎じて飲ませると、ラナがパチリと目を開けた。


「こ、これは……」

「お姉ちゃんっ!」

「おおラナよ、快復したのか!?」


 ミリィとカナン村長が歓喜と驚嘆の入り混じった声を上げる。


 ラナの腕や顔に表れていた青い斑点が綺麗に消え去っており、顔にも血の気が戻っていた。


「リドさん! これなら……!」

「うん。きっとみんなに飲ませてあげれば良くなると思う」


 その後はリドの言葉通りだった。

 ミリィが巨大薬草から煎じた薬剤を一口飲ませるだけで、病に罹っていた村人はたちどころに快復していった。


「やった……。やった……!」


 村人たちを介抱したミリィの目には涙が浮かんでいた。

 快復した村人たちも集まり、歓声を上げている。


「リドさんっ! 本当に、本当にありがとうございます! リドさんは神様です!」

「リド殿、私からも村を代表してお礼を言わせてください。私は今日、神の奇跡を目撃しました」


 ミリィとカナン村長がリドの所まで来て、そんなことを言う。


「そんな、二人とも……。今回のことはミリィの採ってきた薬草があったからできたことです。僕はその手助けをしただけで……」

「もう……。リドさん、謙虚すぎますよ」


 ミリィは泣き笑いのような表情になって涙を拭う。

 そして目を覚ました村人たちに事情を説明するため、歓喜の輪の中に溶け込んでいった。


 その様子を見ながらリドは肩に乗ってきたシルキーに向けて呟く。


「ふう。何とかなって良かったね」

「お疲れさん相棒。到着早々、さすがだったな」

「ありがとう、シルキー。でも……」


 リドが思案顔になり、シルキーがその言葉の後を継ぐ。


「ああ。村人たちがあんな病に罹ってたのには、何か原因がありそうだな」

「そうだね。少し、調べてみる必要があると思う」


 とりあえず今は疑問の吟味は後回しにしようと、リドは一つ息をつく。

 シルキーも、うーんと大きく伸びをしてから切り替えるように言った。


「まあ、一旦は解決したようだし良かったじゃないか。さて相棒、吾輩はお腹が減ったぞ」

「もう、シルキーってば」


 シルキーの訴えに嘆息しながらも、リドは安堵の表情を浮かべる。


 こうして、リドが左遷先に到着した初日は慌ただしく過ぎていくのだった。



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[一言] 薬草の樹ってのは世界樹なのかも?
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