97.マヌエッタ2
お久しぶりです、マヌエッタです。え? いえ、全く元気ではありません。毎日ずっと吐いてます。お手洗いが友達です。お手洗いに住んでいます。
はい、データさんとはまた違った感じのツワリです。ずっと食べてます。そして吐きます。もったいないですね……。
なぜか一定周期で食べたいものが変わっていきます。最初は塩気の強いクラッカーでした。ずっとボリボリしてました。吐いてないときは常にボリボリ。
次はトマト。いえ、何もかけません。素材の味を楽しむ方式です。切る時間もおしいので、かぶりついていました。おかげで床がトマトの汁まみれで、ずっと旦那さんが拭いてくれました。申し訳ないので、立ったまま使える雑巾つき棒を開発しました。大売れです。
その次がトマトとレモンであえたスパゲッティ。ほのかな酸味とツルッと食べられるのがよかったです。常に飲んでいたのはオレンジの絞ったのと炭酸水を混ぜたもの。これを飲むとスルッと吐けてスッキリします。
ずっと食べてるけど、全部吐いてるので痩せてしまいました。お腹の赤ちゃんは大丈夫なのでしょうか。心配です。バーバラさんが毎日来てお腹に耳をつけて確認してくれました。
最近エリー様の指示で小さな音を聞く不思議な器具を開発しました。これをつけるとアタシでも赤ちゃんの音が聞こえます。これも売れまくってます。
トマトとレモンのスパゲッティも飽きてきました。旦那さんに何か買ってきてもらいましょう。肉のガッツリしたものが食べたいです。
「奥さん、肉のガッツリしたもの、買ってきましたよぅ。食べられますかな?」
「ありがとう、旦那さん。食べます。おいしいです。まだまだいけます。旦那さんは食べないのですか?」
「いや、ワシは見てるだけで胸いっぱい……」
「うーお腹いっぱい。満足しました」
「奥さん、足でももみますよ。それとも腰をさすりましょうかい?」
「やっと腰さすり器ができました。使ってください。これでもう手が赤くなりません」
「おお、これはなかなか。いかがですかな奥さん?」
「むむむむ、悪くはないですが……。ぬくもりが足りませんね。手の柔らかさと温かさを再現できていません。まだまだ改善が必要です」
「では奥さん、手でさすりますよぅ。どうですかな?」
「素晴らしいです。最高です。旦那さんの手に勝るものはありません。これをどう再現したものか……、う、うううう、う、で……出る」
「間に合いましたね、奥さん。大丈夫ですかい? はい、ワシは後ろにおりますよぅ。背中をさすりますよぅ。こんなに痩せて、本当になんということですかい、神様神様神様、ワシの奥さんにお慈悲を。なーむ〜なーむ〜なーむ〜」
「ありがとう旦那さん。なんだかお腹が空きました」
「ええっ!」




