8.リリーローズ様
ようこそいらっしゃいませ、リリーローズ様。わたくしエリザベートですわ。
さあ、こちらにお座りになって、メニューをご覧くださいな。和洋中の食事からスイーツまで、各種ご用意できますわ。白玉たっぷり抹茶パフェとほうじ茶ですね。はい、少々お待ちくださいませー。
それで、今日はどうなさったのかしら? ええ、もちろん秘密は決して漏らしませんので、心置きなくお話しくださいませ。
ええ、はいはい。まあ、なんとなんと、んまあー。
リリーローズ様の婚約者も転生者なんですの? ははぁ、前世の彼の妹が乙女ゲーム好きで、なんの因果か彼が王子に転生してしまったと。
内政チートしまくって将来を嘱望される王子になっていて、臣民からの人気も高いと。
それで、何が問題なのかしら? 転生者同士ですし、二人で内政チート街道を爆進されればよいのでは?
まあ、リリーローズ様は人の心の声が聞こえるスキル持ちなんですって? キャッ、どうしましょう、わたくし何か失礼なこと考えてなかったかしら? え、大丈夫、裏表がなさすぎてビックリするですって? 褒められてるのかしら、ありがとうございます?
ふんふん、んまあー。王子はチーレム好きと、さらに巨乳好き。むむむ。えーっとリリーローズ様は、ああぁ、スレンダーボディーでいらっしゃるのねー……。
そうですね、わたくしはそれなりにございますわね。肩が凝るのと重力への恐怖に怯える日々ですので、あればいいってものでも……わたくしとしては、サイズよりもカタチが重要だと思いますのよ!
ああぁ、カタチが作れるほどおありにならない……。ひぇー地雷だらけ。
王子と婚約解消なさるというのは? 王子の顔がど真ん中のどストライクですか、そうですか。
王子には巨乳の愛人たちでハーレムを作らせて、リリーローズ様は正妃の立場で我慢……はできませんよねー、ですよねー。一夫一婦制、死ぬまで私だけを愛してってやつですよねー。
うーん、うううーーーん、ポクポクポクポク、チーン。
リリーローズ様、二つの案をご提示いたしますわ。
一つ目、リリーローズ様に特殊メイクとスライムの調教を覚えていただきますわ。ええ、一人十役、場合によっては二十役ですわ。リリーローズ様の記憶力と演技力がカギですわ。仮面をつけるのよ、マヤ。あなたなら誰にでもなれるわ。
そして、スライムを自在に操れるようになっていただきますわ。巨乳といっても多種多様、肌触り大きさ弾力など、多様性が求められますわ。全体的にムッチムチ、スレンダーなのに胸だけバインバインなど、日替わりで選べることこそハーレムの醍醐味。
え、複数プレイを求められたら? それは教義に反すると言いなさい。言い切りなさい。法律を作っておしまいなさい。
二つ目、王子の弟、王子とそっくりですよね?弟をじっくり調教なさい。リリーローズ様に夢中になるように育てるのです。ええ、心の声が聞こえるのですもの、簡単ですわよね? トラウマをみつけて、なんなら植え付けて、それを解き放ってあげるのです。そうですわ、人はそれをマッチポンプと呼びますわね。
弟王子が一回り年下? いいじゃないですか、若者。細かいことを気にしていては、悪役令嬢転生なんて楽しめませんわよ。
いい結果報告を心待ちにしておりますわ。ごきげんよう。