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【完結】悪役令嬢のカウンセラー  作者: みねバイヤーン(石投げ令嬢フルカラー電子コミック③巻発売)


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73.ゲオルグ(財務大臣の子息)

 やあ、初めまして、でもないのか……ゲオルグです。財務大臣の息子です。妹が四人いるので、屋敷では小さくなっています。お兄様はつまらないから、あっちにいってて、と言われる毎日です。もう慣れました。


 ええ、今は父の仕事の補佐をしています。父は一を聞いて十を知ることができる切れ者です。カミソリ大臣と陰で言われているようです。残念ながら私は一を聞いても一しか分かりません。十を理解するには、十回聞いた上で、二十回、下手したら百回おさらいしないと、自分のものにはできません。


 そうですね、自分の要領の悪さにはうんざりします。幸い、父はできた人なので、こんな私を見捨てることなく根気よく教えてくれます。妹が言っておりましたが、私は母とそっくりなので、父は私に甘いそうです。そんなことは思いもよりませんでした。


 勉強はこれでも得意な方です。ご想像の通り、地道にコツコツ、圧倒的物量詰め込み型です。隙間時間は全て読書です。え? こう見えても運動は苦手ではありません。ひたすら走るのは苦ではありません。ええ、なぜって、走っていればいいのですから、何も難しくありませんよね。


 そうですね、既にお察しだとは思いますが、剣術は苦手です。対戦は無様のひとことであります。始まった途端に終わります。私は一歩も動けず、何が起こったか分からないまま、終わり、礼、のかけ声が聞こえます。


 剣術の訓練は嫌いではないのですが……。素振りを一日やっていろと命じられれば、はい喜んでと心から言えます。


 趣味は刺繍です。ひと刺しひと刺し、その繰り返しで美しい模様に近づいていくのがいいです。妹の刺繍の課題は私が手伝ってあげています。その代わり、妹には剣術の対戦につき合ってもらいます。非力な妹にも一瞬で負けるのですが、妹たちはなんだかんだ文句を言いながら付き合ってくれます。


 おかげで最近は、初めの一太刀だけは受け止められるようになりました。何事も、続けていけば少しは成長できます。


「……ちょっと、聞いていますの、ゲオルグ様? 王国の白百合パフィリアでしてよ」


「パパパパパフィリア様、どうされました?」


「まあ、やっぱり聞いていなかったのね。相変わらずなんだから、まったく……。もう一度言いますわよ。教会は押さえましたし、招待状の手配も終わりましたし、ワタクシの衣装はとっくに仕上がっておりますし、あとはゲオルグ様の衣装を仕上げればいいだけですわ。もう仮縫いは終わっていますから、今日仕上げを済ませますわよ」


「パパパパフィリア様、一体なんのお話しですか?」


「パフィリアよ。パパパは余計よ。だから結婚式の衣装の仕上げですわよ。しっかりなさって」


「……結婚とは、アレクサンドル第一王子殿下と聖女リリアンヌ様のですね?」


「ああ、あの二人も結婚しますから、そちらの結婚式での衣装も仕上げないといけませんわねぇ。思い出させてくれてありがとう、手配しておきますわ。今日仕上げるのは違いますわよ。ワタクシたちの結婚式の衣装ですわ」


「ワタクシたちと言うと。まさかとは思いますが……」


「当たり前よ、王国の白百合パフィリア様と王国の真面目ゲオルグ様の結婚式ですわよ。さっきから何を聞いていましたの?」


「……ちょっと意味が分からない……」


「何が分からないのか分からないけれど。身分の釣り合う、見目麗しい男女。幼い頃から徐々に思いを通わせ、年頃になったからついに結婚ですわ。いたって王道、まさに正統派ですわね」


「わわわわ私とパフィリア様は幼馴染ではない……」


「まあ、ゲオルグ様、何を言っていますのやら。ワタクシたち洗礼前から家族ぐるみでのおつき合いですわよ。今日のドレスだって、ゲオルグ様の刺繍ですわ。ゲオルグ様の四姉妹からは、パブ姉さまと呼ばれてますわ。お夕食だってしょっちゅう一緒に食べているではありませんか」


「……!」


「ちょっと、そういえばいたわ、いたいた、みたいな顔してますわねぇ。まったくもう。週に三回はこちらのお屋敷で食べておりますわよ。さすがに多すぎるから食費払ってるぐらいでしてよ」


「でででででも私とパフィリア様では釣り合いが……」


「ん? 美人なパブちゃん、美男なゲオさんよねぇ? 二人とも努力型ですし、家格も合いますし、資産も同等ですし、一緒にいても存在を忘れられるくらい波長が合いますわよねぇ。何をウダウダ言ってますの? まさかワタクシと結婚したくないとか言いませんわよねぇ?」


「パパパパパパ……パフィリア様は私なんかと結婚するのはいやではないのですか? もっと華やかな男性の方がいいと思うのですが……」


「ゲオルグ様、こちらを見なさい。ええ、パフィリアを見なさい。あなた、本当にワタクシが他の男と一緒になってもいいと思うの?」


「…………いやです」


「なら解決ですわね。あああ、楽しみですわーーーー。王国の白百合パブちゃんが、純白のドレスに身を包み、最愛の人と将来を誓い合うのですわぁ〜〜〜。なんて幸せなのでしょう、ときめきますわ〜〜〜〜〜」


「…………」


「ちょっと、なに真っ赤な顔をしていますの? そういう顔はワタクシ以外の前では禁止ですわよ。まったくもう。……ええそうよ、最愛の人でしてよ。やっぱり気づいてなかったのねぇ。鈍いんだから……。初めて会った日から決めていましたわよ。ずっと一緒にいたでしょう。これからもずっと一緒にいるのよ。よろしくて?」


「すすすすすすすす…………好きです」

「ワタクシも、大好きですわ」





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