7.マリエッタ様
ようこそいらっしゃいませ、マリエッタ様。エリザベートですわ。
え、日本食が楽しみですって。まあ、ほほほほ、マリエッタ様ったら。では早速メニューをご覧になってくださいな。
長考〜
五十秒〜、いっち、にっ、さ
はい、お好み焼きの焼きそば豚エビイカたっぷりモダン焼き、ソースとマヨネーズましましで青のり抜きですね。あと、ビール。承りましたー。
ふふふ、日本食は久しぶりですの? マリエッタ様はお料理改革はなさらなかったのかしら? まあ、悪役令嬢転生に気づいてとっとと魔の森に逃げたですって。食事は狩りですって。ワイルドですわ。感服いたしましたわ。
そういえば、お洋服も斬新ですわね。毛皮と葉っぱですわ、野人ですわ。豪胆ですわ。そこに痺れる憧れるー。
まあ、そんなサバイバル力あふれるマリエッタ様に、わたくしが何かできることがございますかしら? え、モフモフに囲まれて生きてる? 毎日従魔が増えている? 狩りはフェンリルやドラゴンに乗って? モフモフが自主的に獲物を持ってくるから、もはや狩りに行く必要もない?
自慢か。
えー、コホン。よく分かりませんわ。わたくしに何を相談なされたいのでしょう?
えっっ、動物アレルギー!? え、花粉症も!? ええ、果物アレルギーまで? ああ、果物は火を通せば食べれる、と。
いや、だったらなんで魔の森に逃げたん。
ああー、魔の森を抜けて隣国に行くつもりが、生粋のテーマーで魔物に懐かれて出られなくなったと。なるほどなるほど。
えーっと先程ドラゴンとおっしゃってましたけど、爬虫類系はアレルギーないのかしら? ああ、ないの、それは僥倖。でしたら、爬虫類系の従魔だけ連れて、花粉が少ない地域に移住しては?
モフモフたちが血の涙を流して止めてくると。
うらやまけしからん。
分かりました。アレルギーは大変ですものね、いくつか案がございましてよ。
まずですね、魔の森のなるべく端の方に住まれるとよろしいわ。モフモフたちが泣くギリギリ手前ね。そうすれば花粉症はましになるはずですわ。
え、モフモフしたいけど、モフると涙と鼻水で大変なことに? 分かりますわ、分かりますとも。そこにモフモフがいるのに、モフらないって、とんだ拷問ですわよね。心から同意いたしますわ。モフってなんぼ。
マリエッタ様、モフモフたちに毎日のブラッシングと水浴びを義務づけるのです。できない子たちは三メートル以内接近禁止と通達なさって。ええ、もちろんマリエッタ様自らブラッシングしてあげる必要はなくってよ。お猿さんたちをテームして、彼らにやらせればよろしいわ。
そして、モフるときは手袋をするのです。素手はなりません。さらにさらに、フルフェイスヘルメットをかぶれば万全ですわ。
ふふふ、スライムを使えばいいのですわ。スライムをかぶり、スライムの手袋ですわよ。そこはほら、ウスウスに。空気は通すけどアレルギー物質は通さない、みたいな。
ほほほ、今度はモフモフも連れていらしてくださいな。
いや、マジで。