63.エドゥアルト(弟)
おっす、俺エドゥアルト。王国の至宝エリザベート姉さんの弟さ。うらやましかろう。
最近エリー姉さん、屋敷に帰ってこねーんだよ。なんでも悪役令嬢のカウンセラーっていう新しい事業を始めたらしい。誰も詳しいこと知らねーから、噂が変に広まって俺では収拾つけらんねー。ああー、エリー姉さん早く帰ってきてくれーい。
まぁ、エリー姉さんは昔から、なんかあっちゃあ悪役令嬢が、ってブツブツ言ってたかんなぁ。なんのことやらさっぱり分からんかったけど、エリー姉さんにとって大事なことってのは伝わったからな。なるべく邪魔しないで、悪役令嬢のカウンセラーってやつに専念させてやりてーんだ。
とはいえなー、エリー姉さんがいねえと貴族どもが落ち着かねぇからめんどくせーんだ。俺の顔見るといっそいそ近づいてきやがって、エリザベート様はいつお戻りでだの、エリザベート様に東方の珍しい魚がだの、うっせー。
まぁでも、エリー姉さんがのんびり仕事に集中できるのはいいことだな。昔はずっとピリピリしてたもんなぁ。フラグがーフラグがーって暗い目して部屋ん中グルグル周ってたときは、カトリンとどうしたもんか頭抱えたぜ。
コンコン
「エド様、お夕食の準備が整いました。……どうかされましたか?」
「あー、いや、今エリー姉さんがフラグがーフラグがーって、暗かった時期のことを思い出していたのでな。あの当時はカトリンと二人でよく話し合ったであろう?」
「そうでございますね。あの当時は何かと大変でございました。エリー様は周囲の者に頼ることがお上手ですが、フラグというものに関しては誰にも相談されなかったように思います……」
「不甲斐ない弟で情けないことだ。……あぁ、しかし、エリー姉さんは賢人のオグチャン様には教えを乞うていたようだぞ。オグチャンに聞いてみようそうしよう、とエリー姉さんがつぶやいていた記憶がある」
「それはよろしゅうございました。ぜひ一度お目にかかってお礼を申し上げたいものです」
「そうだな、王国はエリー姉さんの力を当てにしすぎであるからな。エリー姉さんが頼れる存在があるのはありがたい」
エリー姉さんが帰ってくるまでに、書類仕事を終わらせっか。そしたらエリー姉さんが、エド大好きって言ってくれるだろ。それを録音の魔術具に記録して、有象無象の雑魚どもに自慢してやっか。けけけ。




