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7.

「それが……、『婚約を考えてもらえないか』と言われたわ」


「えぇ!?」


 ローラは椅子がひっくり返りそうなくらいに驚いた。

 ……うん、そうよね、そうなるわよね……。


「ずっと私を慕っていたって……、私とリアム、昔、会ったことがあったの。お父様のお仕事の関係でアスティアに行った時に……」


「そんなことがあるのね……」


 ローラは椅子に座り直すとお茶を飲んでお菓子を食べて、息を整えた。


「でも、リアム様、良いじゃない。素敵だし、アスティアの王宮はうちの王宮より豪華って聞くわよ。噂じゃ、婚約のお相手を探しに留学されたなんて話もあって……みんな我先にお近づきになりたいって感じじゃない。――あなたと婚約しているのに、あんな商人の娘に言いくるめられるネイサン様より、リアム様の方が良いんじゃない?」


 友達はそわそわした様子で身を乗り出した。


「それで、何て返事したの?」


「すぐに返事はできなくて――、そうしたら、すぐに答えなくても良いっておしゃってくれたから……、まずはお友達から、ということになったわ」


「えぇ……? 返事をしてしまえば良かったのに……」


 ローラは口を尖らせながらそう言う。

 私は苦笑した。


「そうは言っても……、ちょっと、すぐにはネイサン様のことを受け入れられないし……」


 ぼやくように言うと、ローラは怒ったような顔をした。


「ネイサン様……そうよね、あなた、ネイサン様のこと好きだったんだものね。――全く、うちの王子様は何を考えているのかしら。あなたたち、うまくいっているように思っていたのに」


「ここ二月くらい、週末一緒にお出かけしたりできていなかったの。私は――ネイサン様とモニカが親しくしていたのを遠目から見ているばかりで……」


 私はため息を吐いた。

 もし、……、ネイサン様に何か言っていたら違っていたかしら。

 そういえば、二人で過ごすときはいつもネイサン様から誘ってもらってばかりで、自分から誘ったことがなかった。


「私がもっと自分の気持ちをネイサン様に伝えておけば良かったのかしらね」


「ルイーズってば、何でいつもそんな感じなのよ! 明らかに婚約者がいる相手、しかも身分違いの相手に手を出す方が身のほど知らずじゃない!」


 ローラは目を吊り上がらせた。

 ……この友達は、いつも、私の代わりに怒ってくれる。


 私は彼女の肩を叩いて、「ありがとう、ローラ」と改めてお礼を言った。


 ローラとそのままぱくぱくお菓子を食べてお茶を飲みながら話していると、すごい足音を立ててお父様が部屋に入って来た。


「ルイーズっ!!! ネイサンに婚約破棄されたと聞いたが!?」


 どうやら勤務中の宮殿からそのまま帰って来たらしい。


「お父様、ネイサン様……呼び捨て……」


「どうでもいいわ、あの馬鹿王子が。せっかくお前との婚約を認めてやったのに、破棄するとは……しかも、別の女を好きになったからだと!? ルイーズより良い娘がどこにいるんだ!?」


 お父様も私のためにかんかんに怒ってくれている。

 有難いけれど……、少し親馬鹿じゃないかしら。

 そんなことを考えていたら落ち込んでいた気持ちも軽くなって来た。


「しかも、その新しい女をお前が虐めたとかのたまったそうだな!? 国王陛下には状況をよく確認させるよう、進言させていただいた。きちんと事実を確認して謝るまで私は仕事には行かん、とな」


「お父様……、気持ちはとても嬉しいけど……、仕事は行ってください」


 そう言いながら、私は信じてくれる人たちに囲まれて幸せだわ、と思った。




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