28.
王宮でエリアナ様とジュード様を降ろして、私はリアムに馬車で家まで送ってもらった。
「今日はありがとう」
「いいえ、私も楽しかったわ」
そんな会話をしてリアムと別れた後、私は屋敷の中へは戻らず、屋敷の従者に馬車を出してもらうように頼んだ。
……リアムにああやって返事をしたのだから、この気持ちがはっきりしているうちにネイサン様と話したいと思った。
「王宮まで……お願いします」
来た道を戻ることになるけれど、リアムは離宮に滞在しているから、そちらへ戻って行くはずだから鉢合わせはしないはずだわ。
王宮に到着すると、門番は「あれ、先ほど……」と戻って来た私を見て、不思議そうな顔をした。
「……ネイサン様に話があって来たの。会わせてもらえないかしら」
そう聞くと、困ったような顔をされてしまった。
「……ネイサン様は謹慎中となっておりまして……。ただいま、確認して参ります」
そう言って宮殿内に消えて行った門番は、しばらくして慌てたように戻って来た。横に国王様がいる。
「ルイーズ、ネイサンに用事だとか……」
「こんな時間に申し訳ありません。どうしても、ネイサン様とお話をしたいと思って……」
「しかし、ネイサンは君にあんな迷惑をかけてしまったんだぞ。君から会いに来るなんて……」
国王様は途中で言葉を区切って首を振った。
「いや、ネイサンと話をしに来てくれてありがとう。あいつを呼んでこよう。――私も立ち会った方が良いか?」
「――ありがとうございます。でも、二人で話をしたいと思っています」
そう答えると、国王様は「そうか」と呟いた。
***
通された部屋で待っていると、ネイサン様が部屋に入って来た。
私と目を合わせると、驚いたような嬉しそうなそんな表情で呟いた。
「ルイーズ……君から来てくれるなんて」
「ネイサン様、あなたと話がしたくて」
私は立ち上がると、彼に近づいた。
「――今日、リアムのお母様と弟さんに街の案内をしたの」
「……そうだったのか。明日には帰国されるそうだが……、楽しんでいただけただろうか」
私の言葉の真意を推し量るようにネイサン様はゆっくりと返事をした。
「ええ」と頷いて、私は大きく息を吸った。
「――この街のどこに行っても……、私はネイサン様と一緒にお出かけして過ごした時間が頭に浮かんできてしまうの」
ネイサン様に近づいて、その手を取った。
「私はあなたのことがまだ――好きです」
「ルイーズ」
「僕は君にあんなことをしてしまった……。だけど――、君が、もう一度チャンスをくれるというなら、僕は、今度こそ君を何より大切にできるよう努力する」
「だから、どうか、もう一度チャンスをくれないだろうか」
「――はい」




