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14.(モニカ視点)

 どうしたら……どうしたらいいの……。


 占い師に指輪を取られてしまった私は、部屋の中で膝をかかえて震えていた。

 このままじゃ、ルイーズにドレスを破られたって嘘を言ったことがバレてしまうわ。

 それに、ネイサン様だって……魔法が解けたら私のことを好きじゃなくなる?


「……嫌よ、せっかく手に入れたのに……」


 膝をかかえてソファの上で丸まる。

 ネイサン様の魔法はいつ切れるのかしら。

 今日……? 明日……?

 怖くて学園にはあの日以来行けていないし、ネイサン様にも連絡をしていない。


 そうしていたら……、


「お嬢様、ネイサン様がいらっしゃっています」


 使用人が扉をノックして、私はびくっと背筋を伸ばした。


「――ネイサン様が?」


 聞き返すと、ネイサン様本人の声ががした。


「モニカ、聞きたいことがある。扉を開けてくれ」


 ……どうしよう。

 私は硬直したまま扉を見つめた。

 ネイサン様は今どんな状態なのかしら……。魔法は解けてしまっている?


「モニカ」


 ネイサン様は呼びかけを続けた。私は返事ができない。

 そのまましばらく時間が過ぎて……、そして、


「モニカ、ネイサン様が呼んでいるんだぞ!」


 お父様の声と共に、扉にかけていた鍵が開けられた。

 びくっとしながら顔を上げると、そこには少しやつれたネイサン様が困惑したような瞳で私を見つめていた。


「ネイサン、様……」


 私はおどおどと彼の名前を口にした。いつも私を見る時のような大事なものを見るような瞳の輝きはそこにはなかった。


 ――駄目だわ。魔法が解けてる……。


 耐えられずソファの上に膝をかかえてうずくまる。


「モニカ、君に聞きたいことがある」


 私の傍に近づいて来るネイサン様の足が見える。

 

「――ルイーズは君を虐めてなど、いない――のだろう……?」


「……どうして、そう思うのですか」


「ルイーズはそんなことをしないと――思い出したんだ……」


 ――駄目だ。駄目だわ。もう完全に魔法の影響がなくなっているわ。

 私は自分の頭を膝にのめり込ませた。


「……」


 黙り込むと、ネイサン様は私の肩を掴んで、顔を上に上げさせた。


「モニカ! 本当のことを言ってくれ!!!」


 涙が溢れてきた。もうあのネイサン様は……、私のことを愛しそうに見つめてくれたネイサン様はいなくなってしまった……。


「……そうです! 私は虐められてなんかいません!!」


 私はネイサン様にそう大声で叫ぶと、クッションを抱えて顔を押しつけた。


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