表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
主題なき春のラプソディ  作者: 青山 樹
第四章 『光の先へ』
60/71

第五話 『倉井Max(一発変換)』

 長老はお孫さんの頭を優しくなで、おれ達と向かいあう。


「では本題に入ろうか。救世の子よ、我々が求めることはただ一つ。この世界を破滅の危機から救うことだ」


「今までの騒動も、そのほとんどがあなたを今の状況へ導くために教団が仕組んだことだったの。委員会の支部へ連れて行ったのも、支部を結社に襲撃させたのも、新世界の目をごまかしながらあなたをこの場所へ導くために行われた。今のあなたなら、この世界の実態がどんなものなのかは十分理解できているだろうし、長老の言ったことも受け入れられるはずよ」


「たしかに、いきなりそんなことを言われてもおれは受け入れなかっただろうな。まあ、今でもそれはあまり変わらないけど。とにかくおれは、おれの望みを叶えるだけだ。そのためにもあいつを連れ戻さなくちゃいけないし、そもそも世界が破滅したら日常も何もあったもんじゃないから、必要だってんなら世界だって救ってみせる。それで、何をすればいいんだ?」


 長老は例の巨大衛星兵器、終末の光の映像を出す。


「世界各地で起こっている紛争や新世界との戦いは我々が対処する。問題なのはこの終末の光だ。我々もこれの破壊を狙ってすべての宇宙戦力を動員したのだが、新世界側の抵抗も激しく破壊はできなかった。なので君達には、これを破壊してもらいたい」


「でも、宇宙で使える戦力はもうないんだろ? 方法はあるのか?」


「もちろんだ。そしてそれは、救世の子にしかできない方法だ」


「創世の書には、世界を危機から救う方法が記されているらしいの。私が長老に救世の子として迎えられた時、そのことを教えてもらったわ。もっとも、具体的な方法についてはまだ教えられていないけど」


「しかし今、その時は来た。この世界を救うため、創世の書の原典を開示する時が」


 長老は舞台の周囲に立ち並ぶ十二本の石柱に目を向ける。


「もしかして、ここにある石柱が創世の書の原典なのか?」


 その通り、と長老はうなずいた。


「ここは創世の父がこの世界に降臨するためにつくられた場所で、この十二本の石柱こそが創世の書の原典なのだ。そして十二本目の石柱には、この世界に訪れる危機と、その時に現れる救世の子、世界の危機を救う方法と、救世の子への言葉が記されている」


 長老は石像のすぐ近くにある石柱のもとへ行く。おれ達もそこへ向かった。

 間近で見ると、石柱の表面には象形文字のようなものがびっしりと刻まれていた。


「先にも言った通り、創世の書は失われし神聖言語で記され、その内容は口伝によって継承されてきた。ゆえに未だ不明確なところも多く、その真意を見出すことは難しい。特にこの、十二本目の石柱には様々な解釈がなされている。しかし救世の子である君達なら、その真意を見出すことができるかもしれない」


 つまり、書いてあることがよくわからないからおれ達のほうで解釈しろってことか。

 そんな重大なことを、こっちに丸投げしないでもらいたい。


「では、創世の書を開示しよう。心して聞くがよい」


 長老はおおげさにそう言うと、創世の書を読み始めた。


『いうほど遠くでもないけどそれほど近くでもないほどほどの未来のことや。世界がな、ごっつえらいことになってまうねん』


「なんで関西弁なんだあああああああああああああああああああああああっ!」


 いやもう、叫んだね。全力で。

 ここで目を覚ましてから今までまあまあな感じのシリアス路線な雰囲気が続いてたのに。

 いよいよクライマックスって感じだったのに。

 なんなんだ、この仕打ちは。おれが何をしたっていうんだ、おい。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ