第五話 『何考えとんのかようわからんな』
おれは『少女』に連れられて、細長く狭い通路を進んだ。
それはいかにも艦の内部といったかんじの通路だった。さっき外に放り出された時に見た通り、おれ達は巨大な飛行戦艦の中にいるらしい。常識的に考えてそんなものが空を飛ぶはずがないのだが、超能力を発現させるソレラシキー粒子なんてものがあるくらいだし、特におかしなことではないのだろう。
通路を進んだり梯子を上ったり下りたりをくり返しながら五分ほど移動したところで、広々とした場所に到着する。
いわゆるブリッジという場所だろうか。扇形につくられている室内にはたくさんの機械類やコンピューターが設置されていて、中央には大きなスクリーンも備え付けてある。
視界を確保するためか、壁はほとんどガラス張りになっていて、月明かりや星々の光が消灯されている室内をそっと照らしていた。
人の姿はなく、スクリーンの近くにある艦長席らしきもの以外には座席がない。
「この艦にはほかに人はいないの?」
「私達を含め、この艦に人は三人しかいないわ。操縦は全てコンピューターが行っているの」
『少女』は艦長席らしき椅子に腰を下ろす。
「何から話せばいいかわからないから、あなたのほうから質問してくれる?」
「じゃあ、まずは、君が何者なのか説明してくれないか」
「そうね……。委員会の一員というのは仮の姿。本当は、委員会に潜入した結社の一員だったの。結社は委員会よりも先に私を救世の子として確保していたというわけ」
「てことは、支部への攻撃も、君が手引きしたの?」
「ええ。あの後、私は気絶したあなたを連れてこの飛行戦艦にもどったの。ちなみにこの艦は委員会が極秘に開発していたもので、退職金がわりに奪……、もらってきたのよ」
なんともまあ、恐ろしい話だった。
「委員長の野郎。何がセキュリティは万全だ。簡単に潜入されてるじゃないか」
「ちなみに私にはもう一つ別の顔があるのだけど、知りたい?」
「かんべんしてくれ。ただでさえ現状を理解するのにいっぱいいっぱいなのに、これ以上ややこしくなったらいよいよ頭がどうにかなりそうだ」
「ならこの話は次の機会までとっておくわ」
「次の機会とかいいから! もうここらへんで、何もかも終わらせたい」
「うまくいけばその望みは叶うかもしれないわね。明日の総攻撃でナントカのアレが出現すれば、いろんなことに決着がつくはずだから」
「そこでどんな騒動が起こるのか、考えただけでもゾッとするけど。ていうか、君も救世の子なんだろう? 君がいるのにどうして結社はおれを連れてきたんだ?」
「私ではナントカのアレを導き出せないからよ」
「え? どういうこと?」
「私にその気がないからよ」
予想外の答えを聞き、おれは「は?」と変な声をもらした。




