第十三話 『これも絆の形やで』
おれは力尽きるまで暴れまくり、死んだようにベッドの上でぐったりとする。
「彼女は君が起きる前にここから出ていったよ。新型の機動装甲の試験をするため、今は試験場にいるはずだ」
委員長の立体映像がおれのそばに映し出される。
「なんすか、そのキドーソーコーってのは」
「君が彼女と出会ったときに、彼女が装備していたものだよ。タイプはちがうが、君の親友が装備していたものもそうだ。この施設は委員会の一部である技術開発局の実験施設でね、最先端の、そして極秘の兵器の試験を行うことが主な役割なんだ。ゆえにセキュリティは万全であり、君をかくまうのにもうってつけというわけだ」
「なるほど。ところで、彼女に会いたいんですけど、いいですか?」
「もちろんだ。試験場へは私が案内しよう。しかし、いいのかね?」
「何が?」
「彼女が一晩過ごしたベッドがここにあるのだぞ。何かこう、やるべきことがあるのではないのかな」
その言葉を聞いて、おれはようやく現状を理解した。
「今すぐ試験場に案内してください」
おれは即座にベッドから離れ、決して振り返らないよう心に決めたまま足早に寝室から出た。
『少女』がいないのをいいことに、その存在に触れるというのは、すごくまちがっているように思えたからだ。
その一線を越えてしまったら、これからおれは『少女』と正面から向き合えなくなってしまう。そうはなりたくない。
部屋を出ると、通路の先に映し出されている委員長の立体映像が見えた。
「やれやれ。真面目というかヘタレというか。もっと欲望に忠実になりたまえよ」
「余計なお世話だ」
「しかし、その精神に少しばかりの敬意を表して、これを君にお見せしよう」
目の前に一枚の写真が映し出される。それは、『少女』の寝顔の写真だった。
起きている時には想像ができないほどに無防備で、あどけなく、身もだえするほどに愛くるしい。
空中に映し出されている映像なのに、まるでそこに本物の『少女』がいると思えるほどに、素晴らしい画質だった。
「どうかね。お気に召したかな?」
「……ありがとうございます。同志」
もし目の前に本物の委員長がいたら、おれは固く握手をかわし、あつく抱擁していただろう。




