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主題なき春のラプソディ  作者: 青山 樹
第二章 『世界を救わんとする者たち』
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第十三話 『これも絆の形やで』

 おれは力尽きるまで暴れまくり、死んだようにベッドの上でぐったりとする。


「彼女は君が起きる前にここから出ていったよ。新型の機動装甲の試験をするため、今は試験場にいるはずだ」


 委員長の立体映像がおれのそばに映し出される。


「なんすか、そのキドーソーコーってのは」


「君が彼女と出会ったときに、彼女が装備していたものだよ。タイプはちがうが、君の親友が装備していたものもそうだ。この施設は委員会の一部である技術開発局の実験施設でね、最先端の、そして極秘の兵器の試験を行うことが主な役割なんだ。ゆえにセキュリティは万全であり、君をかくまうのにもうってつけというわけだ」


「なるほど。ところで、彼女に会いたいんですけど、いいですか?」


「もちろんだ。試験場へは私が案内しよう。しかし、いいのかね?」


「何が?」


「彼女が一晩過ごしたベッドがここにあるのだぞ。何かこう、やるべきことがあるのではないのかな」


 その言葉を聞いて、おれはようやく現状を理解した。


「今すぐ試験場に案内してください」


 おれは即座にベッドから離れ、決して振り返らないよう心に決めたまま足早に寝室から出た。

 『少女』がいないのをいいことに、その存在に触れるというのは、すごくまちがっているように思えたからだ。

 その一線を越えてしまったら、これからおれは『少女』と正面から向き合えなくなってしまう。そうはなりたくない。


 部屋を出ると、通路の先に映し出されている委員長の立体映像が見えた。


「やれやれ。真面目というかヘタレというか。もっと欲望に忠実になりたまえよ」


「余計なお世話だ」


「しかし、その精神に少しばかりの敬意を表して、これを君にお見せしよう」


 目の前に一枚の写真が映し出される。それは、『少女』の寝顔の写真だった。

 起きている時には想像ができないほどに無防備で、あどけなく、身もだえするほどに愛くるしい。

 空中に映し出されている映像なのに、まるでそこに本物の『少女』がいると思えるほどに、素晴らしい画質だった。


「どうかね。お気に召したかな?」


「……ありがとうございます。同志」


 もし目の前に本物の委員長がいたら、おれは固く握手をかわし、あつく抱擁していただろう。


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