表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リストラ×みかん=宇宙人!?  作者: ぼや
日常譚:人間関係の次は環境整備?。だけど宇宙人の秘密は厳守
9/26

第5話:レッツ、ファーストコンタクト。宇宙人に会いに行こう(Aパート)

挿絵(By みてみん)


アニメだと第5話Aパートに相当

ゾラ子に実力を見せつけられエンジニアとして傷心した私は、傷を癒す旅にでることにした。


冗談だ。かねてからの予定通り、GWの直前に帰省も兼ねてカエリ村へ遊びに、もといMuuChart社と契約を交わしに行くことにした。もちろん美香も一緒である。


使うのはいつも夜行バスである。バスなら飛行機の格安チケットに比べても半額。正規料金とweb早割の比なら1/5近くにもなる。それに自宅から歩いて15分の乗り場から夜乗れば、朝には実家の隣町まで着くので、利便性もこちらが上だ。


隣町から実家へはレンタカーを借りて帰る。丁度10日以上の長期割引が設定されているレンタカーがあって、それを使えば1日2000円程度で済むので、二人で移動するなら断然お得だ。


初日は実家で一応親孝行である。孫は居ないし出来る予定もないのが申し訳ないところだが、まぁ、二人の顔と手料理で我慢してもらおう。


翌日、お土産の各種銘菓を積み込んで、私と美香はカエリ村を目指して出発した。借りてる車は軽自動車だが、道が細い上に、私も年数回、実家周辺でしか運転しない半分ペーパーなドライバーだ。助手席の美香のナビと周回レーダーも頼りに、山道を走ること2時間、例の峠を登って下って、やっとこさカエリ村に到着した。


ちなみに、美香も免許を持っているし、たぶん私より運転は上手いが、結婚する前から「助手席に座るのが彼女の特権」と言って、二人の時は必ず私に運転させる。そのあたりの感覚はよくわからない。


峠の出口の駐車場には、事前に約束しておいた通り、けながMuuChart社の車で迎えに来ていた。ナビの地図にも詳細が載らないような村なので、案内を頼んでおいたのだ。一応今回は商談で、こっちがお客様だしな。


「よお、おひさ」


「久しぶり、ぼや。美香さんも」


けなと美香は一応面識がある。


「ハイ、けんちゃん、お久しぶり。元気してた?」


「ええ、お陰様で」


挨拶を軽く済ませると、さっそく奴の先導でMuuChart社に向かう。村の中の道も狭くてカーブもきつく、カーブミラーを逐一確認しないと先に進めないような、運転難易度の高い道なのだが、幸い対向車に合うこともなく、目的のMuuChart社についた。


「ってか、学校やん、ここ」


感じからして小学校っぽい。


「うん。廃校を貸してるんだよ」


「へぇ、素敵。コスプレ撮影できそう」


そっちかよ。たぶん次は実行するな、こいつ。


「今社員はみんな、みかん農家の手伝いに行って居ないから、とりあえず俺が案内するよ。お昼にみんな戻ってくるから」


「ほう。だいぶ村に馴染んできたな、MuuChart社員」


「ていうか、そのための作戦だね、農家の手伝いは。契約上はその必要はないからね」


まぁ、そりゃそうか。権利を買った経営会社であって農業団体じゃないからな、MuuChart社は。宇宙人だし。


「しかし、この時期は何をやっとねん?、みかん農家は」


「苗木の手入れだね。基本的には肥料撒き。ただ、その肥料が重いからね。だから村の人に比べたら若手のうちの社員が総出で手伝ってるわけ」


「なるほど。力仕事なら農作業の知識や経験は不要だからな」


「そういうこと」


というわけで、とりあえず奴に続いてMuuChart社の見学をすることにする。と言っても、在庫を置いたり、仕分けや箱詰めをするという教室は、この時期は空っぽで見るところがない。元職員室らしいこの教室にある宇宙船のAIゾラ子と地球のイーサネットをつなぐインターフェースも、ブロードバンドモデムの横にちょこんと置いてあるだけで、それがそんなすごい装置だとは誰も思わないだろう。


「ゾラ子、ぼやさん達だよ」


「いらっしいませ、ぼやさん、美香さん。ようこそMuuChart社へ」


けなが呼びかけると、PCの画面に見なれたゾラ子の画像が表示され、モニターのスピーカーから声が聞こえてきた。ちなみに今日のゾラ子は制服を着ている。セーラー服を。なぜに?


「この学校の昔の制服です。美香さんがよろこぶかなと思って」


「よろこぶ~」


そういうと、美香はPCのマウスを握ってぐりぐり動かし始める。たぶん、そんな機能はなかったはずだが、意図をくみ取ったゾラ子が速攻で3DモデルビュワーのようなUIを用意し、マウスで視点を動かせるように対応する。ただし、一定以上には視点が近づいたり、視点が下がったりはしないようになっているあたりは、さすが美香の性格を既に知り尽くしてるといった所か。


「けなさん、例の完成品を持ってきて見せてあげて下さい」


「ああそうだね、分かった」


ゾラ子に促されて奴が立ち上がった。作り付けの木製の戸棚から、小さなケースが2つ載ったトレイを持ってきた。


「あぁ、もしかして、完成品」


「そう。あ、手袋してね」


上半部が透明の小さなケースから覗くのは、金色に輝くアクセサリー。


「あー、これが私がスキャンした奴ね」


片方のケースには入ってるのは、美香がねんどで作った原形を、私がハンディーの3Dスキャナーで取り込んで修正したものだ。普段やらない作業なので結構苦労したのだが。ちなみにペンダントトップである。現物には、美香が指定した形状の鎖も付いている。


「これが、例の純金3Dプリンターでの素の出力なの?」


「今回は18金だけどね。うん。一応俺が磨いたけど、たぶんその必要はないくらい、最初からこんな出力だったよ」


「へぇ」


「で、こっちが、私がゾラ子と一緒に直接モデリングしたやつね」


いつの間にか美香が横に来ていて、手袋をした手でもう一つの箱を取り上げて言った。


「そうみたいだね。その形状は私みてないから」


そうなのだ。最初のデータは、美香と私が1週間がかりで作ったのに対して、もう一つのデータは、例の仮想空間で3日前、ゾラ子と美香が共同で作り上げたものだ。


美香が口頭や手ぶりで基本形状を説明し、それをゾラ子が空間に立体映像として投影。それを、指で場所を示しながら細かく修正、という作業の繰り返しでぱぱっと作り上げてしまったものだ。そう、ここでもゾラ子に仕事を取られた形になる。


「現物見てないからどうかと思ったけど、全然大丈夫そうね」


もっとも、現物と言っても、ねんどモデルは数倍の大きさで作ってるし、一方仮想空間の場合、手触りは得られないが、実際にゾラ子や美香のアバターが装着してみることができるから、どっちが完成をより正確にイメージできるかといえば後者の気がする。まぁ、慣れの問題もあるので、一概には言えないだろうが。


重さからして一つ18金価格25000円程度。二つで5万だから、これが10セットで50万円分になるが、デザインは元より、ロウ付けなしのチェーンとか、売り方次第では何倍のも価値を生みそうだ。


一応今回の契約分は、役立たずになった私にも、ゾラ子のネット接続の成果を認めて(まぁ、結局やったのはゾラ子自身だが)、約束どおり美香は利益の半分をくれるらしいのだが、何か私も食い込む方法を考えないと、貧乏まっしぐらになりそうだ。


「とりあえず50万円分は、この2個のセットで作ってもらって、売ってみましょう。残りの50万分はオーダーメイド客を引っ張ってくるわ」


うへぇ。オーダーメイドで倍の重さの商品を作ったとしても、あと10個もデザインする気だわ、うちの嫁は。


「なんか、俺にできる事あったら言ってくれ。さすがに悪いから」


「うーん。じゃぁ、私とゾラ子が気持ちよく作業できるように、色々お手伝いしてもらおうかな。例の作業場で」


一体何をさせられるんだろう。まぁ、精々ご奉仕させて頂きましょう。


お昼になって、MuuChart社員が戻ってきた。宇宙人とのファーストコンタクトである。でも、ちょっとエキゾチックな顔立ちだが地球人にしか見えない。


とりあえず地球支社の代表以下3名と名刺交換をする。宇宙人の常駐メンバーは今の所この3人らしい。自慢じゃないが、人を覚えるのは苦手なので、そのあたりは美香に任せることにする。彼女は本当に人を覚えるのが得意だ。やはり商売するには、人脈作りが重要だということを、彼女を見てるとつくづく感じる。私には無理だけど。


ランチミーティングは家庭科室に移っての田舎料理となった。といっても、作ったのはけなと私だがな。午前中の打ち合わせのあと、二人で用意したもので、私が用意したのは、さつま汁とあじの刺身である。


さつま汁はこのあたりの郷土料理なのだが、我が実家のは、ちょっと一般的な物と違う。主流は、すりつぶした魚を入れる「さつま系」なのだが、うちのはイリコを使う「冷や汁系」と言われるやつだ。実は、けなと一緒に地元の飯屋で食べるまで、実家のさつま汁がマイナー系だとは知らなくてびっくりしたので、ちょっと披露してみようと思ったのだ。


あじの刺身は、このあたりでは刺身にできるあじが安く手に入るので、実家に居る間は、毎日のように自分でさばいて食べている。今日のも途中の店にあったので、買っておいて、さっき適当にさばいたものだ。


他にはじゃこ天とか、筍と大根の煮物とか、接待とは程遠いメニューが並んでいる。タルトが一緒に並んでいるあたりが、実にこの地方らしくもある。タルトはこの地方の銘菓なのだが、なぜか客人が居ると食卓に一緒に並んでる事が多い。もちろん、食べるなら食後だ。おかずとして食べるわけではない。


さて宇宙人はこんな田舎料理は食べれるのかな、と見ていたが、器用に箸を使って普通に食べている。


日本語もかなり流暢だ。一応私も普段の大阪弁じゃなくて標準語になるように注意をしているが、たまに出る大阪弁もさほど理解の句にはなってないようである。適応力が高い宇宙人である。まぁ、こんな地球までやって来ようというのだ、それなりのスキルは当然有している、ということだろう。それとも、便利なドーピング技術でもあるのだろうか。後で聞いてみたいところである。


午後は真面目に契約作業を行う。


とりあえず、MuuChart社とは、日本での活動をサポートするための、コンサルタント契約を結ぶことになった。その中で、MuuChart社本社が開発している貴金属用3Dプリンターのテスターとして美香が協力し、実際の商品をテスト生産・販売しながら、品質向上のためのフィードバックを行う、とうい契約になった。


まぁ、実際にはプリンターの性能は申し分なく、改良する余地はどこにもないので、単なる名目であって、実際は宇宙人のためのマネーロンダリングもどきなのだが。


一方、宇宙船のAIと地球のイーサネットを接続する作業に関しては、AIのCPUタイム50時間の使用料とバーターにするという契約にしておいた。つまりゾラ子の時給は1万円ということである。


この契約で、今後も私と美香が正式に、かつ内容は宇宙人にも秘密裏にゾラ子を使う権利を確保できたことになる。機密保持条項があるので、厳密なゾラ子から秘密が宇宙人に漏れる心配はまずない。つまり、変態夫婦が仮想空間で何をやっても、外部にばれる心配はないということだ。


ちなみにCPUタイムというは実際の計算時間のことで、接続中でもアイドリング時間は含まない。ゾラ子は我々地球人からすれば、そら恐ろしい高性能コンピューターで、例の仮想空間で1日遊ばせてもらっても実はCPUタイムは1秒程度しか消費しない。スパコン並みの計算をさせない限り、私と美香が死ぬまでに使いきれないないのはほぼ確定だ。


いっそ仮想通貨のマイニングでもしてもらえば億万長者になれそうな気がするが、計算力の出所が明らかにできない以上、ハデなことはしないに限る。当面は平和利用(変態利用?)に留めておくつもりだ。


こんな感じで今回の主目的である契約は無事終了した。私としても美香としても、MuuChart社やその社員に関しては十分信頼に足りる取引相手という判断だ。MuuChart社側が我々をどう評価したかまでは分からないが、何ら異論が出なかったところを見ると、印象は悪くなかったハズだ。


「相変わらず、見事な猫被りっぷりだね、二人とも」


とはけなの弁だが、本人達としてはこれが自然なのだから仕方ない。


さて、後は何をして過ごそうかと思っていたところに、新たな訪問者がやってきた。


「ハーイ、あなたがぼやさんネ、初めまして。madeleineです。みんなからは「マデ」って呼ばれてマース。よろしくネ」


金髪にポニーテル、そして巨乳。自己紹介されなくても、一目でマデと分かった。


「やぁ、マデ。初めまして。『峠のさくら祭り』ではレースクイーンを引き受けてくれてありがとう。TVのコーナーもけなに送ってもらって見たけど、マデのお陰で華やかな感じになってたよ。一部のネットでは少し話題になってたし」


「ほんとですカー。私も本場のHENTAIを体験できて、とても楽しかったデース」


なぬ、変態だと?。自覚はあるが、どういうことだ。ちらりと横眼でけなを見ると、奴が説明してくれた。


「あ、HENTAIってのは、海外のネットでアニメの代わりに使われるローマ字の奴ね」


あぁ、HENTAIてやつか。でも、あれはどっちかというと18禁で使う用語だよな。そうな要素はどこにも……、と考えたところで思い出した。そういえば尻尾付けたな、あの衣装。


「あー、マデ。あの衣装を用意したのは、私じゃない。私の嫁だ。ほい、自己紹介」


そう言って私は、横で無遠慮にマデを上から下まで舐めるように見ている我が嫁の肩をつついた。


「あーめんごめんご。私は美香。このぼやのお嫁さんです、一応。よろしくね、マデちゃん」


一応って何だ?


「Oh!、ミカね。なんだか『みかん』みたいな名前ネー。あの衣装はあなたが用意したの?」


「そうよ。可愛かったでしょ」


自信満々の美香。一方マデは、ちょっとボリュームを落として上目遣いで


「あの尻尾も?」


と聞いてきた。やっぱりマデは正しい装着方法が理解できてたんだな、あれ。


「そうよ。『良かった』でしょ、あれ」


と、ちょっと口角を持ち上げて聞き返す美香。あー、悪い顔してるなぁ。


「なるほど、わかりましタ。みかんのお姉さんがHENTAIなのですね、ぼやさんじゃなくて」


「そういうこと。害はないけど気を付けてくれ。気を抜くとその道に引きずり込まれるから」


「はい、気を付けまース」


両手で自分の体を庇うような仕草で答えるマデ。しかし色が白い外人は、頬が赤くなるとすぐわかるな。しかも、そのポーズは胸を強調するから、かえって美香が喜ぶぞ。こいつ基本Sだし。


「あ、そうそうマデちゃん。今日はマデちゃんにお土産持ってきたのよ」


そういって大きな袋を持ってきた。何かと思ってたのだが、そうか、マデへのお土産だったのか。


「はい、これ。マデちゃんに似合うと思って作ってきたの」


そう言って取り出したのは……、メイド服?。昔はやったデザートパイで有名なレストランの制服のような、胸が強調される上部と、ミニのスカートで、色はオレンジというかみかん色。


「なんですか、これハ」


「えっと、作業着、かな」


まぁ、メイドが作業で着るから、作業着かもしれないが。


「これで作業したら、パンティーが見えてしまいまス」


「大丈夫、ちゃんとしたに履くドロワースも用意したから」


そういう問題か。というか、実際にその服で作業することは無いと思うが。


「ま、いいからいいから。あと、3Dのモデル作りたいから、ちょっとヌード写真撮らせて」


いきなりかよ。我が嫁ながら直球だ。


「ええっ、ヌードですか。それはチョット」


まぁ、そりゃそうだよな。初対面だし。


「大丈夫、大丈夫。女の子同士だし、外部に流出させたりは絶対にしないから」


「いや、女の子同士でも、恥ずかしいものは恥ずかしいデス」


「しょうがないなぁ、じゃぁ、私も脱いであげるから」


なるほど、これが美香の手口なのか。


「それは余計に恥ずかしいデス」


「はい、つべこべ言わないで、みかんお姉さんの言う事聞きなさい。あ、けんちゃん、保健室借りるね」


半ば強引に美香に連れていかれるマデ。あれでも嫌われないというか、たぶん戻ってくるころには手名付けてるんだよなぁ、あいつは。


ちなみに「外部」に俺は含まれてないんだけど、まぁ、それは黙ってよう。けなにも悪いしな。


いよいよ宇宙人にご対面。ですが、宇宙人の詳細は書く気なし(おい)。設定してないもので(おいおい)。きっとアニメ化されたら、その時に設定されるでしょう(されないし)。実は第5話Bパート終わりから第6話が重要なんですけど、これだけカエリ村の住民やMuuChart社の社員が設定されてないと、書きづらいかもしれませんね、第6話。詳細考えてないから、固有名詞が必要になるかどうかも現時点では分かってなくて。これから考えますけど、何も思いつかなーい。現時点で頭にあるのはぼや美香の変態ネタだけ…

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ