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リストラ×みかん=宇宙人!?  作者: ぼや
日常譚:人間関係の次は環境整備?。だけど宇宙人の秘密は厳守
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第4話:宇宙人のテクノロジーって…。ネット接続までの道のり(Bパート)

アニメだと第4話Bパートに相当

「それでさ、ゾラ子。カメラユニットの外形が知りたんだけど」


とりあえずモニタに移るモニタの中の魔女っ娘にそう話しかける。


「わかりました。外形はこのような感じです」


モニタの中の魔女っ娘は、ご丁寧に魔法のスティックのようなものを振って外形を浮かび上がらせた。


「あ、寸法を教えてくれる?」


「構いませんが、私は地球の尺度と我々の尺度を変換する基準を持ち合わせてません」


今度は頭に「?」の文字が浮かぶ。実にアニメチックである。


「あ、そうか。えっと待ってよ。光の速さが299792458m/sになる単位系で…」


ADSLのネット回線のっ設置には役2週間かかるということで、とりあえず宇宙人のAIとの対話は携帯電話のskypeで開始した。日本では携帯電話は少し大きな街へ出れば、都会も田舎も関係なく即手に入るというのはありがたい。


もっとも、法人契約は面倒なので、この携帯は、けなの名義である。費用はMuuChart社持ちなので、宇宙人が倒産になければ問題ないハズだ。


その成果として、今、通信相手として映ってるのが、地球名「ゾラ子」と名付けた宇宙人のAIだ。一応名前を聞いてみたのだが、やはり我々地球人には良くわからない発音なので、結局好き勝手な命名とさせてもらった。普段は映像はもちろん、性別も人格すらない状態で運用されているらしいのだが、AIに聞いてみたところ、別に映像、性別などを演出することは可能だということだったので、美香が考えた容姿と音声と演出を設定してもらっている。


因みに映像はCGのアニメ調レンダリング。ただし衣装には質感を細かく設定したシェーダーが適用されている。これは、美香がAIに対して半日かけて説明して調整した結果だったりする。


顔のモデルとかは、見る角度で微調整して、どの角度からでも可愛く見えるようなチューニングが施されているし、肌の表現に関しても「これはセンシティブトゥーンというものなの」と、訳の分からないことを言っていたので、かなりチューニングしてあるのだろう。


そんなバリバリのアニメ調魔法少女AIとの協議の結果、私が作る最初のインターフェースは可視光結合によるシリアルインターフェースに決定した。可視光なら細かいレベル調整とか不要だし、宇宙人側も、既存の設備がそのまま使えるからだ。


ちなみに、こちら側のインターフェースはLEDとフォトトランジスタで、宇宙人側のインターフェースはカメラと、カメラの上にある撮影中を示すインジケーターである。


カメラは、通常の設定では数十bps程度でしか通信できないが、撮影領域を小さくすることで、高速化が可能な場合が多い。宇宙船のカメラも設定で100kbps程度には対応できそうなことが分かったので、第一段階としては十分である。カメラのインジケータも、意識を集中すれば(とAIが言っていた)、100kbps程度なら制御できるらしい。


使うカメラの外形の写真と寸法を教えてもらって、接続アダプターを私が3Dプリンターで製作し、両面テープでくっつけるという、かなり原始的な接続方法を試してみることになった。


打ち合わせが終わると、まずはネットで部品を注文する。殆ど手持ちで作れるのだが、可視光のフォトトランジスタとか、ストックのない部品もあるので、適当にみつくろっておく。


そのあとCADに向かって接続アダプターのケースを設計開始。基本四角い箱なので、こちらはさくっと設計して3Dプリンターにデータを転送して出力を開始する。


「次はどんな衣装をぞら子に着せようか」


と、本筋とは関係ない構想、というより妄想を夕食準備から風呂の後まで延々と垂れ流しつつけた嫁と別れ帰宅してから、再び作業開始。


今度はPICというマイコン用のプログラムを書く。今回必要な内容は過去に作ったことがあり、流用できるプログラムも、流用できる基板もある。適当に決めたシリアル通信プロトコルをUSBキーボードとマウスのプロトコルに変換するプログラムをコピペで作成してコンパイルした時点で本日の作業は終了となった。


翌日、出力の終わった3Dプリンターの出力に、やすりをかけたりアセトンを使った表面処理をし、夕方からは届いた部品を早速実装し、昨晩作っておいたプログラムをマイコンに焼いて動作検証。宇宙船側のダミーがないとテストできないことに今らさ気づいて、予備部品でダミーも作成する。


結局、宇宙船側に相当する検証プログラムも作って基本的な動作確認が終わったのが、その日の真夜中。適当に梱包して、翌朝、近所の宅配集積所に持ち込み、MuuChart社宛てに送り出して、最初のミッションが終了した。


「送っといたから、届いたらDMして」


と、けなに連絡をしておいたが、到着予定日は明後日。これを「遅い」と思ってしまうのは、便利な今の時代に慣れ切ったせいだろうな。


数日ぶりに美香と真夜中の散歩をしたり、一緒に朝を迎える日常に戻って2日後、予定通り奴からの荷物到着の連絡を受けて、さっそくテストを開始する。


「どうよ、カメラユニットに上手くくっつきそう?」


「うん。テープで止めれば大丈夫そうだよ」


奴のスマホのカメラが接合状態を映し出す。余裕をもった形状にしておいたのもあって、とりあえず問題なさそうだ。


「それじゃぁ、DIPスイッチの0をONにしてから、パソコンのUSBに挿してみて」


「了解」


ADSLの回線はまだだが、宇宙人用のPCは既に用意されていた。安物だと言っていたが、モニタも24インチのHDだし、これらが数万で買えるんだから良い時代になったものだ。昔、同等の機材に50万近くかけていた我々からすれば、今の時代は天国のようだ。


「一応認識されてドライバも自動でインストールされたみたい」


「ちょっと、デバイスマネージャー開いてHIDのところ見せて」


「ちょっと待って」


相手にパソコンの知識があると、こういう場合は実に楽だ。実家の両親相手だと、電話の説明ではウィンドウを1つ開けさせるのにも5分はかかる。


「こんな感じ。ちゃんと登録されてるみたいだよ」


よしよし。


「えっとゾラ子、今LEDが2400bpsで00からffまでの値をループで送っとるはずなんやけど、読み取れそう?」


「はい。スタートビット1,ストップビット1の負論理2400bpsとして読めてます。結構ジッターがあるようですが、問題ありません」


あー、マイコンの内部発振だからな。精度が悪いのは仕方がないとしよう。


「なかなか順調やな。けな、今度はDIPの1だけONにして。あ、先にパソコンからUSB抜いといてや。切り替えてからまた挿して」


「ほいきた」


「ゾラ子、今度は19200bpsだ。そっちから信号送ったらループバックで戻ってるくのでテストしてみてくれるか?」


「了解しました。値が返ってくるのを確認しましたが、時々化けてますね。少し調整してみます」


え、マジで。オシロで波形確認しなかったから、フォトトランジスタの抵抗値、合ってなかったかな。


「光量と発光タイミングの調整でエラーはでなくなりましたが、おそらくそちらの受信回路で波形が鈍ってるものと予想します」


あーやっぱり。機会があったら修正しよう。


「よっしゃ。じゃぁ、とりあえず今回は19200bpsっちゅうことで。けな、DIPの3だけONにしてまた繋いで」


「はいよ」


少々ミスったがなんとかなりそうだ。通信速度を19200bpsにしての通常モードを起動してもらう。


「ゾラ子、これで通常モードになったはずや。事前に送っといたプロトコルでマウス動くはずなんやけど、どうや?」


「送ってみます」


「けな、俺にもPCの画面みして」


「こう?」


うむ。なんか動いてるけどバタついてるな。


「ゾラ子、転送サイクルと移動量を調整してみて。たぶん、送る間隔が短すぎてんねん。人間が操作することを前提にした仕様や。そない高速に動かそうとしても対応できんわ。あと、今回のハードも安物やからな。手加減したって」


「了解しました。なるほど、最適値が分かってきました」


見てるそばから、マウスがスムーズに動き出す。


「よっしゃ。あとはキーボードやな。けな、メモ帳の開き方おしえたって」


「え、教えるって」


「モニター指さして、どこをクリックするか教えたって。そうすりゃゾラ子が開けるやろ」


「そういうことか。ゾラ子、まずここを左クリックして……」


奴の指示でゾラ子がマウスを操作して、メモ帳が開いた。うーん、なんか良いね、こういう人とコンピュータが意思疎通する光景は。


「ゾラ子、今度はキーボードのプロトコルな。手加減を忘れんように」


「了解しました。とりあえずアルファベットを入力してみます」


今度は最初からスムーズに文字がでた。最初はゆっくり、途中からどんどん早く。おー、タイプライターのアニメーションのようだ。


「シフトキーとかも試してみ。ちょっとプロトコル面倒やけど」


「やってみます。あれ? あれ? あ、出ました。そういう意味なんですね」


ありゃ。私の日本語の説明が良くなかったか。しかし、自ら試行錯誤してくれるAIというのは楽でいいな。


「とりあえず大丈夫そうやな。ほな、あとの説明は、けなにまかせた。PCの操作教えてやって。ネットで検索できる方法だけ教えれば、あとは自力でできるようになるやろ、ゾラ子なら」


「そうだね。やってみる」


「なんかあったら連絡して。じゃね、ゾラ子、頑張ってね」


「了解しました。ありがとうございます」


ほい、通話終了と。


多少の問題もあったが、とりあえず一発で第一段階が動いてなによりである。1週間かそこらでADSLも開通するだろうから、そうなったらゾラ子なら、あっと言う間に必要な知識を収集できるだろう。


と、油断していたら、夜にDMが届いた。


「今晩は、ゾラ子です」


え、マジで。知らないアカウントだけど、確かにアイコンはゾラ子だ。


「通信速度が出ない原因が分かりました。フォトトランジスタについてる抵抗値がやや大きいようです。1kΩくらいが適正値のようです」


なにこの状況。まだADSL繋がってないよね。なんで、もうそんなに知識ついてるの。半日で地球人に駄目だしですか。


「スマホのティザリングでPCをネットに接続しました。すでに帯域制限されていますが、テキストを中心とした利用なら問題ありません」


あー、そういえばあったね、そんなオプション。普段あまり使わないから、すっかり忘れてたわ。


「それで、回路設計に必要な知識ももう身に付けちゃったわけね」


「必要な範囲だけですが。それで、お願いがあります」


「なんでしょ」


「このPICのソースコードを提供して頂けませんか。一応自分でも機能修正版を作ったのですが、念のため現状のコードも確認しておきたくて」


えー、もうそんなに。AIなめてたわー。そりゃ人間の仕事なくなるわー。やべぇ、俺職失うかも。


「了解。どうやって送ろう」


「gmailのアドレスを取得しおきましたので、こちらに暗号化したzipを添付して送ってく下さい。パスワードは『magical-lyrical-muu-chart』で」


なんちゅーこっちゃ。美香に施された自分の設定の意味まで理解し始めたぞ。怒らないかね、ゾラ子。


「分かった。そしたら、そっちのプログラムも完成したら送って。PICに焼いて1kΩの抵抗と一緒に送るから。交換は、けなに頼めば問題ないやろ」


「ありがとうございます。お待ちしてます」


はぁ。パンドラの箱開けたんじゃないだろうか?、私。AIに蹂躙されそう。とは言え、まぁ、今更どうにかなるわけでもなし。とりあえずソース送りますか。


で、ソースを送って1分後。


「はやっ。もうプログラム送り返してきた。あれかな、自分で作ったっちゅーやつかな」


思わず感嘆を口に出しつつ、メールを開く。


「To ぼやさん。とりあえず改良用コードを送ります。一応ぼやさんのコーディングスタイルに合わせたつもりです。なにかあればご連絡を。ゾラ子」


どうやら1分の間に、私のコーディングスタイルを学習し、そのスタイルで書き直してきたようだ。さて、出来の程は……。うへぇ、なんか自分で書いたみたいなコードとコメント。痛々しい和製英語のコメントまで私っぽいぞ。それでいてプログラムは複雑ときたもんだ。あちゃー、私、存在理由失ったかも。


なんか精神的ショックを受けつつ、とりあえずコンパイル。当然errorなんて出やしないし、warningすら出やしない。心ここにあらず状態でPICを焼いて1kΩの抵抗と一緒に封筒に入れて、深夜の郵便窓口から速達で送った段階で、もはや精神的に限界を感じて。


「みかぁ~」


とりあえずその日は一晩中、美香に慰めてもらった。


「大丈夫。私はぜったい見捨てないから」


と慰めてくれるので、とりあえず頑張ろう。彼女の夜の相手はAIには出来ないのだから。


アイデンティティーが崩壊しかけた翌日以降も、ゾラ子は容赦ない実力を見せつけた。


1教えれば100理解する相手に、所詮ロジカルな仕事では太刀打ちできるわけもなく。3日目を迎えるころには、すっかり慣れてしまった。


今までだって色々な分野で他人に負けて来た人生だ。また、別の所で勝負すればいい。とりあえず「美香」が嫁な時点で俺は勝負には勝っていると。


かくしてADSLが開通するころには、ゾラ子は立派なエンジニアになっていた。


その翌週には、ゾラ子の手で設計された最終段階の宇宙船対インターネットの接続インターフェースが、中国の業者で製造され、航空便で送られてきた。私がしたのは、頼まれた3Dプリンター用のデータを、自宅で出力して送っただけ。それも業者に頼めばよかったと思うのだが、私の方が早いのと、あとはゾラ子なりに気を使ってくれたのかもしれない。


そして今、私と美香はOculusというHMDを被ってゾラ子が作った仮想空間の中に居た。目の前ではCGのゾラ子と、ゾラ子によって3Dモデルかされたアニメ調の美香が楽しそうに会話している。私自身もアニメ調の3Dモデルになっているのだが、自分の姿は自分ではあまり見えないので、どう見えてるのかはよくわからない。


これは、ゾラ子のスーパーエンジニアっぷりを私から聞いた美香が、ゾラ子に頼んで作ってもらったものだ。この部屋の存在は3人の秘密。そして、この部屋でやることは。


「ぼや、はやく写真撮ってよ」


いつの間にか魔法少女コスになった美香がゾラ子と並んで呼んでいる。そう、ここは仮想コスプレ広場。私の役目はカメラマン。撮った写真は、完全にCGなのだが、美香はそれでもコレクションが増えることにご満悦のようだ。


MuuChart社が何のためにネット接続しようとしていたいたのかは不明だが、まぁ、報酬は出るし、美香は喜んでるし、美少女2人が相手をしてくれるのだから、まぁ、良しとするかぁ。


技術話なのでその点ではノリノリで書いていたのですが。なぜこうなった?w。元の構想ではネット通販サイトを構築する話だったハズなのだが。「この時点で通販はいらんな」と思って書き始めたAパートを引き継いだら、何故かこんなことに。ぼやの性格だと、ゾラ子を良いように使うと思ってたんですけどね~。はやり、目の前で実力差を見せつけられると苦しいようで。で、最後は美香に助けてもらいました。というか、どうやら美香のハーレム物だったみたいですね、この小説w。AIまでっ…

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