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リストラ×みかん=宇宙人!?  作者: ぼや
変革譚:待ちに待った実りの季節。みかんも愛もトラブルも…
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第11話:嬉しい宇宙初出荷。配送宇宙船接近中!?(Aパート)

挿絵(By みてみん)


アニメだと第11話Aパートに相当

「あー、これは人間だめになるなぁ~」


思わず口にだしてしまう。人類はなんてものを発明してしまったのだろう。


今は師走の中頃。中生のみかんを食べながら、ノートパソコンで作業をしているテーブルが、その、人類最高の発明品の「コタツ」である。


去年までは無かったのだが、せっかく潤沢にみかんが手に入るようになったので、取り敢えず買って導入してみたのだが、これが実に魔的である。高性能のデスクトップパソコンではなく、わざわざ低スペックで画面も狭いノートPCを使っての作業を選んでしまうくらい、この呪いのアイテムは快適なのだ。


ということで、今日もコタツで作業をしている訳なのだが。


『カリカリ』


コタツの中の足を引っ掻くモノあり。これは「みかんが欲しい」の合図と思われる。コタツの上の籠からみかんを一つ取り出すと、握った手を、そのままコタツの中に突っ込む。すると、待ってましたと手からみかんを奪っていく。そう、コタツのもう一つの定番は、「ネコ」である。


ネコが素足に当たる感覚が気持ちいいい。ふさふさした毛の感覚の時と、ぺたぺたとした皮膚の感覚の時がある。


みかんを失った手で、そのまま適当に撫でてやると、気持ちよさそうに身震いする。こちらが手を動かさなくても、自ら撫でられたい場所を向けてくるから楽ちんだ。なるほど、こんどはそこを撫でられたいのか。こんどはぴちゃぴちゃと湿った感触。コタツの中から、気持ちよさそうな声も聞こえてくる。


思わずマウスを持った手もコタツに入れて、両手で全身を撫でる。あー、こらこら、そんなところを舐めるんじゃないよ、まったく。


そうして駄目な時間が、ダラダラと過ぎていくのである。我が家を滅ぼすには、コタツ一つで十分だな。


「そんなわけで、年末に、いよいよMuuChart社が宇宙に向けてみかんを初出荷することになったよ」


1時間後、やっと「ネコ」が大人しくなったので、けなとのDMを再開する。やっと、宇宙人の好みの晩生(おくて)も収穫が始まったのだ。まぁ、まだちょっと早いのだが、取り敢えずはテスト出荷というところらしい。


「ほんで、宇宙へのみかん配送って、実際はどないするねん。別の宇宙人が来たりするんか?」


「実際は軌道上のMuuChart社の宇宙船のそばに、出荷先から無人の宇宙船が飛んでくるらしい」


なんだ無人なのか。ちょっと会ってみたかった気もするが。


「量が少ないから、無人で良いみたい。返送用の宇宙船を向こうからカタパルトみたいなので狙って飛ばしてくるみたいだよ」


「カタパルトで狙って飛ばす?」


地球だと、空母から飛び立つための初速を稼ぐのに使ったりするが。母星からの第三宇宙速度を稼ぐのだろうか。


「まぁ、単純な慣性飛行じゃないらしいけど、イメージはそんな感じだって。行きはカタパルトのエネルギーだけで地球まで無制御で飛んでくるらしいよ。地球にはそんなカタパルトはないから、帰りは自力飛行らしいけど」


無制御でいったいどうやって止まるのかが良くわからないが、そもそも飛行の仕組みが違うらしいから、考えるだけ無駄だろう。私は物理も苦手だし。


「さすが宇宙人。よく、そんな遠くから無制御でピンポイントを狙えるもんだ。ちゃんと、地球も配送先になってるんだな」


「いや、さすがにこんな銀河の外れの未開の地までは網羅してないらしくて。今回ミっちゃんが頑張って、MuuChart社の座標を登録したみたい」


よくそんな地球を見つけたな、MuuChart社は。新大陸で香辛料を手に入れたコロンブスってところか。


「でも、宇宙に売っても地球の現金にはならんやんか。農協からの借金はどないすんねん」


「今年はまだ対宇宙へはテスト販売だから、出荷額多くないし。それに返済期限はずっと先だから。あとはぼやたちのマネーロンダリングに期待かな」


自分でマネーロンダリングって言ってどうする。今度は金以外の商品も扱わないど駄目かもな。


まぁ、みかんが順調なのは良いのだが、もう一方はどうだろうか。


「ところでミチの方はどうなんだ」


美香からつわりがひどいと聞いているのだが。


「相変わらず、絶賛つわりで苦しみ中。幸いみかんは食べれるみたいなので、ぼやと同じく中生(なかて)のみかんを食べて頑張ってるよ」


どうやら宇宙人にはこの地球の肉体は酷なのか、ミチのつわりは平均よりきついみたいだ。


「とりあえずぼやと美香が頑張れって応援してたって、ミチにもよろしく伝えといてくれ」


「了解。伝えとくよ、ありがとう」


けなとのDMは今日はこのあたりで終了である。


しかし、さっきの話と合わせると、ミチはつわりの中、頑張ってMuuChart社の仕事もこなしたってことだな。そういえばMuuChart社には産休はあるのだろうか。場合によっては美香に宇宙人を説得してもらわないといけないかもしれない。


「んー、けなちゃん何て?。ミっちゃんは相変わらず?」


そう言いながら、コタツの中から私の腹の上に顔をだしたのは、もっぱら最近コタツの住民と化している「ネコ」の美香である。ご丁寧にネコ耳としっぽを装着して、自ら「ネコ」を宣言している。


ちなみに、それ以外は何も装着していない。そして、顔も出さずに基本コタツの中で丸まっている。本人曰く「クーラーの効いた部屋で食べるなべやきうどんくらい快適」らしい。まぁ、わからんでもないけどな。


「年末に宇宙に初出荷だって。だからまた資金洗浄よろしくって。あと、ミチはあいかわらずミカンの星のお姫様だって」


頭を撫でながら、さっきの話を要約して説明する。


「ふにゅ~ん。まぁ、ミっちゃんの為にも、私の楽園の維持の為にも、頑張らないとね」


どうやら「私たち」じゃないところを見ると、私も楽園の「住民側」みたいなだ。このままだと「ネコ王国」になりそうだが。


そういえば、けなに「火災保険」に入るように言うの、また忘れたな。村の住民は、一応皆火災保険に入ってくれてるのだが、けなたちは、無理やり新居に突っ込んだから、まだ火災保険に入ってないハズだ。


まぁ、貸してる側としては燃えられて困るような家ではないが、家財の問題もあるから、一応入っておいた方が良いはずだ。あれは借主の保険であって大家の保険じゃないから、本人達に手続きしてもらわないと進まない。


とりあえずネットで安くて良さそうな保険を探して、けなにDMを追加しておく。しかし、しばらくして来た返事は


「めんどくさい。金ない」


だった。仕方ない、金は家賃から回してやるか。一応家賃は格安とはいえ払ってもらってるからな。


そうしないと税務署に目を付けられちゃうからであって、奴からの利益を期待してるわけじゃないから、1,2ヵ月分そっちに回しても何の問題もないからな。ミチへの「お見舞い」として渡してやろう。


その旨をDMすると


「わかった、申し込むから支払いよろしく」


との返事。しかし、相変わらずギリギリの生活をしてるな、奴は。今後の家族の為にも、貯蓄を覚えさせないとな。


例年なら、わりと暇な師走なのだが、今年はnegi.moeとMuuChart社との取引があるので、年末の書類整理が結構ある。しかも、地主にもなったから、個人の確定申告用の書類も結構な数になりそうだ。


一応協力な助っ人の「ゾラ子」が居るから楽は出来るのだが、ゾラ子も別に経理の経験が長いわけではないわけで。日々私と美香がゾラ子を鍛えてるとはいえ、そのジャンルは非常に偏ってるのもあって、たまに妙な間違いが紛れ込むことがある。


とはいえ基本、地球人のあやふやな思考ロジックに合わせて設計されてないので、この地球人文化に対する理解力は十分に賞賛に値するものではあるが。


ちなみに、取得したカエリ村の不動産は私と美香で分けて登記してある。ただ、今回は珍しく均等ではない。数としては美香の方が多いのだが、居住者がいて、賃料が見込める物件は私の方が多い。結果、美香は固定資産税とトントン、利益は殆ど私に入ってくる分配になっている。


これは、私の将来を案じてくれた美香の心遣い、ではなく、単純に美香の方が収入が多いので、その税金対策である。いや、もちろん心遣いもあるとは思うが。まぁ、その見返りというわけでもないのだが、不動産管理の実作業は私に一任されている。バラバラにやっても効率悪いだけだから当然とも言える。


まぁ、忙しいと言っても所詮その程度、チェックがメインなのでノートPCで十分なわけで、相変わらず「ネコ」の居るコタツで、マウス片手の仕事ともいえないような仕事をこなしているわけだ。


最近の美香は「この調子」なので、私より働いてないように見える。ただ、彼女は元々私の前で働いてる姿を見せることは少ないので、たぶん夜中に働いているのだろう。あるいは、師走はお休みモードなのかもしれない。何事においても緩急を付けるのが上手いからな、美香は。


そんな忙しくも堕落した毎日をコタツで過ごしていた、けなとDMしてから1週間ほどした日、再び奴からDMが届いた。しかも謎の。


「ごめんぼや、美香さん。ぼやたちに買ってもらった土地、なくなっちゃうかもしれない」


はて。土地がなくなるとはどういうことだ。実はシゲさんが地面師で、私と美香は騙されていた、とでもいうのだろうか。


「そうじゃなくて。土地は確かにぼやたちの物だけど、その土地がふっとんじゃうかもしれないって話」


だからそこが分からない。不動産は動かないからこその不動産なわけで。物理的に消えるわけはないのだから、騙されたのでなければ、没収かなにかしか残らないが、別にやましい事はしてないぞ。手続きは全部ちゃんとやったし。


「いや、ふっとんじゃうってのは、その物理的の方で」


物理的?。良くわからないが、なんだか物騒な話だな。


とりあえず、コタツの中の「ネコ」を指先を曲げて「招き猫」する。いつの間にか二人の間で決まった合図だ。程なくしてにょきにょきと私のお腹の上から「美香」がでてくる。とりあえず空いてる左てで胸をホールドして支えて、だっこ状態で、二人でノートPCの画面を覗き込んで奴からの次のメッセージを待つこと1分。


「ミっちゃんが間違えて、輸送宇宙船の到着座標を、軌道上の宇宙船じゃなくて、このMuuChart社を指定しちゃってて。明後日には、その宇宙船がこのMuuChart社に突っ込んで来ちゃうんだ。ゾラ子に計算してもらったら、ちょうどこのカエリ村のみかん畑と住宅地が全部吹っ飛んでクレーターになっちゃうみたいで」


明後日はちょうど師走の31日。


送られた文章の意味をなかなか咀嚼できない私は、無意識に動かす左手に呼応するような美香の強力な締め付けを感じながら、しばらく呆然としていたのだった。


さて、残すところあとたぶん2話。最後の一展開の第11話Aパートです。やっと宇宙が絡みそうですけど、果たしてどうなるのでしょうか(私は知ってますけど、予定通りに進むかは書いてみないとわからないので)。ちなみに私は地主になったことはないので、税金処理をどうするのかは知りません。登記は親の代わりにしたことがありますけどね。ちなみに、最後の一文は普通に書いてから思いつきで書き直しました。隙あらばR15で(をい)。完全に小説の趣旨が変わってしまいましたね。

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