第1話:リストラされた同僚の再就職先が宇宙人経営?!(Bパート1)
アニメだと第1話Bパート。
モデルの友人がロゴ(仮)を作ってくれたので挿入。挿絵は本文にしか入らないのか?
追記:「5分で作ったロゴが使われるのは不本意」ということなので差し替え。
「へー、面白そう。」
夕食時、昼の宇宙人マネーロンダリング?依頼の件を美香に話してみると、思った通りの返事。
「宇宙人とかはええの感想が?」
「私の顧客はみんな宇宙人みたいな変わり者だから気にしない。とくに旦那がそうだし」
だそうで。変人とは良く言われるが、宇宙人レベルだったのか、私は。
「取り分とかは?」
「18金として時価分は払う。あとはこっちの取り分ってことで」
「良心的やな」
「そんなことないよ。最低2倍の価値は生み出してみせるから。それに、本来加工賃が必要なんだし、アクセサリーとして売れなくても金として確実に回収できることを考えれば、こんな美味しいビジネスはないよ。ノーリスクハイリターンじゃん」
最低2倍とは凄い自信だ。こういう才能と自信は美香には敵わない。
「ちなみに私のの取り分は?」
「スキャンとかぼやが手伝ってくれた案件は利益を折半。そのかわり、けなから仕入れたのを直で捌く場合は全部私ってことで」
「Ok。いつも通りってことやね。じゃぁ、アクセサリー以外での私直の案件があったら、それは全部貰うてもええねんな」
「いいよ」
というわけで、家庭内契約は終了。あとはMuuChart社との契約が必要か。
「宇宙人側にはどんな契約にしてもらう?」
「普通の卸売買契約でいいんじゃないの?」
ふむ。私は彼女の言う普通の卸売買契約がどんなものか知らないから良くわからないが、ちょっと気になることがある。
「それだと、美香しか取引がないの不自然だし、加工賃を払ってないのも、見る人が見たら不自然かもよ?」
「あー、なるほど。さすがぼや、細かいね。どうしよう」
仕事柄といか性格というか、粗を探すのが得意なのだ。石橋の傷は見逃さないぜ。
「とりあえず、negi.moeで受けて、3D純金プリンターの市場性調査協力とかにしとくのはどないや?」
negi.moeというのは私と美香でももってる合同会社である。個人受だと問題ある案件を処理するための会社で、ぶっちゃけ殆どペーパー会社である。BtoBの委託案件にしてしまえば、多少は不自然さがなくなるのではないかという話である。
「なるほど。ぼやさんのいつもの仕事系にするのね」
「そういうこっちゃ」
いつもの仕事っていうのは、私が基本研究職で、新しい技術の評価とかを会社でよくやってることを指している。というか、このままだと仕事とほとんどやること変わらないかもしれない。
「いっそ『史上初純金3Dプリンター製』を売りにするか?」
「いや、それ売りになるのは、ぼやさん界隈だけだから。アクセサリーにそれ不要だから」
そりゃそうか。スペックで売る商品じゃないからな、アクセサリーは。
「契約、どないする?。メールでやる?」
「その前に、一度ちゃんと会って話をしたいな。宇宙人といえども、一応相手が取引で信頼できるかは見極めないと」
まぁ、美香ならそうなるかな。私とかできるだけネットで済ませたい派なのだが、人脈重視の商売人はそうもいかないだろう。
「それじゃぁ、GWあたりに行ってみる?」
「5月はイベントあるから、4月中に戻って来たい。ぼやさんUQ取って、前倒しで行こうよ。取れるでしょ」
UQというのは「有給休暇」の事である。私は研究職で裁量労働なので、比較的自由にUQが取れる。今の案件も締め切りはまだ先だし、進捗打ち合わせだけ調整すれば問題ないハズである。
「Ok。じゃぁ、けな経由で先方と日程調整しとくわ。事前確認事項とかあったら出しといて」
「わかった。24時間以内に用意するね」
そんな感じで、傍から見ると「ランチミーティング」にしか見えない夫婦の夕食が終了した。ちなみに、こういう流れ日は、夜は各自宅で別々就寝である。彼女はいそいそとナイトワークに勤しむことになる。
とりあえず一緒に食器を片付け、一緒にお茶を飲んで、一緒にお風呂に入ってから(一応「別々にお風呂を沸かすのはもったいない」という表向きの理由は述べておく)、おやすみのキスをして(だからラブラブだって言っただろう)、私は隣の自宅へ退散したのだった。
で、自宅に戻った私は、とりあえず美香の反応をDMでけなに送ってみることに。
返事はほどなくやってきた。
「なるほど。Ok。その提案で大丈夫だと思う。とりあえず書類も用意できたら送って」
とても一介の原住民とは思えない快諾っぷりだ。とりあえず理由を聞いてみると
「だれが原住民かっ。いや、単に MuuChart社の宇宙人は、経済とかに執着がないから。実行不可能な内容じゃないかぎり通るんだよ」
とのこと。なるほど。これは、うまくやるとたんまり儲けられそうだ。
「でも、旦那も、お金とか執着ないでしょ」
「まぁね。普通に生きて行ければ十分だけど」
そう、楽しく生きれればそれで充分。いざとなったら美香がなんとかしてくれるし。
「ただ、取引を順調に進めるには、まずMuuChart社が村の人に受け入れられる必要なんだよね。そもれ以前に、まずは俺自身が村に溶け込む方法を考えないといけなくて。よそ者だし、MuuChart社に雇われてるのはすでに村中に知れ渡っちゃっててね。なかなか難航してるんだ」
まぁ、いきなり知り合いの居ない田舎に行ったら、普通はそうなるだろうな。
「とりあえず、だれか一人、理解を示してくれそうな奴を味方に引き入れるっちゅーのはどうよ?」
何事も突破口が必要だ。
「味方ねぇ。そんなにうまくいくかな」
「それはターゲット次第やろ。だれか村で浮いてそうな奴おらんの?」
突破口は弱いところと相場が決まっている。
「なにその腹黒発言」
「ほっとけ。とにかく一人味方をつけて、敵の内情を探れや。お前、餌付け得意やろ?」
「餌付けとは失礼な。単にお菓子作るのが好きなだけなんだけど」
そう、奴は昔からクッキーとか作っては会社に持ってきていたのだ。しかも、お菓子が好きとか、皆に配りたいとかじゃなく、単に作るのが好きなのだ。まぁ、エンジニアとして気持ちは分からなくもないのだが、別にお菓子じゃなくてもいいんじゃないか、とは思っていたのだが。意外なところで役に立ちそうだ。
「まぁ、とりあえずそれで行っとけ。あーでも、爺婆相手じゃ、クッキーだと効果ないか。羊羹でも作るか?」
「いや、流石に羊羹は作ったことないけど。でも、一人若い子が居るから、その子をターゲットにするかな」
ほほう。限界集落なのに若い子が居るのか。
「どんな子?」
「金髪」
は? どういうことだ?
「アメリカから村に農業研修で来てるんよ。なんか役場に押し付けられたみたい」
発展途上国からならわかるが、アメリカからとは珍しい……気がする。よく知らないけど。
「ちなみに巨乳?」
「うん。Eカップはありそう」
「ほほう。けなのストライクゾーンやな」
そう、奴は昔から金髪巨乳が好きだった。会社の有志とお金を出し合って、新宿であやしいビデオを買っては、よくみんなで見ていたはずだ。
「いや旦那、それ誤解だから。確かにAVは海外の金髪巨乳ものが好きだったけど、別にリアルでそれが好みというわけじゃないよ?」
そうだったのか。まぁ、どっちにしろターゲットには好都合だ。外人なら日本固有の面倒臭い人間関係とか気にしないだろう。
「よし。とりあえずその子で行けや。検討を祈る」
「らじゃー」
とりあえずGW前までに、村人との関係を改善しておいて欲しいものだ。そうしないと尋ねた私と美香まで村八分になってしまう。まぁ、住むわけじゃないが、一応峠を越えた先とはいえ実家は隣。どこで何が伝わるかわからないからな、田舎は。
かくして、リストラされた友人が再就職したみかん農家が宇宙人経営という、なんだか怪しい事態に、私も嫁共々首を突っ込むことになるのだった。
予定と違ってぼやと仮想嫁がメインになってきました。そして進まない話。アニメ第1話でMuuChart社のスタッフを出さないわけにはいかないのだが…。skypeの予定が、いきなり行くと言いだした美香に翻弄される著者w
追記:残りで何とかしようと思ったものの、どうにもならなかったので男2人、女1人の3人しか出演者が居ないという、なんとも盛り上がらないままの第1話になってしまった。まぁ、俺の嫁が超絶可愛いからいいか(空しい)