91話 物資捜索
昼食の時間になり、皆が起きてきて食事を取り始めた。といっても洞窟に生えていたキノコや火で温めた水くらいだ。
「こんなんじゃ腹たまらねぇよ……」
「皆に食べさせないといけないから仕方ないよ。ほら、私の食べる?」
サラがキノコを渡してきた。
「……いやっダメだ。サラだってお腹空いてるだろ?」
「私は大丈夫。シンシアちゃんが食べたいなら食べていいんだよ」
「じゃあ…………やっぱりサラが食え。魔力消費を抑えれば良いだけだ」
そういって自分の分を食べ終えると、シンシアは立ち上がった。
「サラは待っててくれ」
「?」
シンシアは今から外の様子を見に行こうとしている男の人に話しかけにいった。
「ちょっといいか?」
「ん? 何だ」
「俺も一緒に行っていいか?」
すると男はシンシアの身体を見て目を細めた。
「子供には危ない」
「見つかったらどの道危ないだろ? 小さい身体で隠れる事には自信がある」
「……そうか。俺はアドニスだ」
「シンシアだ」
アドニスと握手をすると、外に出る扉の方を向いた。
「俺達の村に行く。まだ探していない建物に食料が残っているかもしれないからな」
「どのくらいの距離なんだ?」
「それ程遠くはない、念のため剣は持っていけ。それとそのローブと仮面は邪魔になる。置いてけ」
あまり仮面とローブは外したくないのだが、こんな状況で小さな事に拘っていても仕方が無いだろう。
シンシアは仮面とローブを脱いでサラに渡すと、再びアドニスの元に走って戻った。
「子供の癖に頭の良さそうな目をしてるな」
「魔女に魔法を教わったんでな」
「ハッ、冗談はよせ。行くぞ」
剣を持って扉を開ける。外に出る時にサラの方を見ると、心配そうにこちらを見ながらローブの臭いを嗅いでいた。
そういう所は全く変わらないんだな。
◆◇◆◇◆
昨日は夜だった為分からなかったのだが、改めて外に出ると木がボロボロになっていたり血痕が付いていたりしている。
「森の中では武装したゴブリン達が複数集まって巡回している。見つからないように草に隠れて進むぞ」
「分かった」
常に姿勢を低くしないと、この森はかなり見通しが良い為ゴブリンに見つかってしまうかもしれない。
ゴブリンは視力が悪いのだが、それでも注意して進まなければ命取りだ。
シンシアはアドニスの後ろを追いかけて、無事に村に到着した。
「たまに家の中にもゴブリンがいる事がある。あそこに一番小さな家がある、見えるか?」
「ああ、見える」
「今日あそこを探索すればこの村は全て調べた事になる。早く行って終わらせよう」
周りにゴブリンがいない事を確認して、一気に小さな家の中へ走ってむかう。邪魔なローブがないのでとても動きやすい。
小さな家とはいえ中は2つ部屋がある。
「シンシアは右の部屋を頼む。俺は右を見る」
「了解だ」
手分けして持ち帰れそうな物を探し始める。
本当にただの民家のようだが、棚の中を見ると小動物の骨なんかが入っていた。ゴブリンがこの中に隠したりしているのだろう。
武器のような物も無ければ、食料になる物もない。
「はぁ……」
──ガタッ
「っ!」
背後から物音がした。ゴブリンかと思い即座に振り返ると、アドニスさんがいた。
驚かせるなと言おうとした瞬間、アドニスはシンシアを押し倒し口を抑えた。
「──っ!!」
「静かに。ゴブリンがすぐ近くに来ている」
「っ……んぶ」
アドニスに襲われる事を想像してしまった自分の脳を潰したい。
1度頷いて周りの音に耳を澄ますと、確かに地面を踏む音が聞こえる。それも複数だ。
家に入ってこないか。バクバクと心臓の音が激しくなり、心臓の音でゴブリンに気づかれそうだ。
ゴブリンの足音はしばらく村の中を歩き回った後、遠くへと消えていった。
「もう大丈夫だろう……」
「ぷはっ……急に押し倒してくるから驚いたじゃねぇか」
「俺に子供を襲う趣味はない。他の村の男はどうか知らねぇから気を付けた方がいいな」
しかし、いつの間にか緊張で汗をびっしりとかいている。人は命の危険が迫るとこれ程までに集中力が高まるのだな。と、どこか成長したような気分になった。
「結局この家には何も無かったようだな」
「そうみたいだ。何なら今のゴブリン達を尾行していって物資を奪うのはどうだ?」
「やめとけ。女が武器も持っていないのに見つかれば村の男じゃなくゴブリン達に襲われるぞ」
「うっ……」
それなら死んだ方がマシだな。
前世の俺だったら、 「ゴブリンの子供産んで完全に警戒心解かれてから逃げれば良いんじゃないか? 寝てる隙を狙ってよ」 なんて言ってたに違いない。
女になって分かる事は沢山ある。とにかく今は生き延びる事だけを考えよう。
「ゴブリン達がどっちに向かったかは分からない。慎重に帰るぞ」
「ああ」
結局無駄に体力を消費してしまっただけだったな。
しかし、こういう物なのだろう。役に立つか分からない事を何度も繰り返して、いつか希望が見える。それまで諦めずに進み続ければきっと助かる。
「アドニス、また次外に行く時も俺も行く」
「それは無事に帰る事ができてから言うんだな」
「そういう事言うと進んだ先に本当に死ぬ旗が立つぞ」
まるで帰るまでが遠足、みたいだ。
うぅ〜ん、そろそろ鬱展開に持っていっても良い頃かな(ゲス顔)
いや、まだ分かりませんよ? 作りたいな〜とは思ってるんですけど、どういう風にするか迷ってるんですよね〜。
これ以上シンシアちゃんにトラウマを増やさせたくないのでね。
それと最近1話1話が短いのは話が思いつかないからです。毎日投稿してるので許してください。




