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82話 ギルドマスターからの依頼


少し宿で休んだ後、サラと一緒に中心街にあるハンターギルドにやってきた。

 中ではハンター達が優雅に寛いでいる。この国は設備が充実している為、ハンターギルドの中で紅茶なんかを楽しむ事ができる。

 ちなみにシンシアは紅茶が苦手である。


「あっ、初めて見る方ですね。どのようなご要件でしょう」

「ギルドマスターに会った方が良いって海沿いの宿の人に言われたんだけど」


 そういって他のハンター達に見えないようにカードを見せる。


「え、えぇっと……あら可愛い。……っ!? ちょっ! ちょ……えっ!?」


 予想通りのリアクションにシンシアは満足する。そして周りのハンター達が、受け付けの女性の驚く様子に反応してこちらに注目しはじめる。


「えぇっと……ギ、ギルドマスターを呼べば……えっ、う、うん。呼ばないとっ……マスターッッ!!」


 まるで助けを求めるかのように喉奥から声を出した受け付けの女性。そして奥からドタドタと音がして、鋭い目付きで怖い男が現れた。

 黒い髪をオールバックにさせていて、細い身体の割りには顔や腕に傷がいくつもあり、かなり長い間魔物と戦ってきたのだろう。片手に巨大な剣を持って周りを見渡している。


「どうした」

「い、いえ。その、これ見てください。この子のハンターカードなんですけど」

「ん?」


 緊急事態ではない事が分かって、大きな剣を下ろしてハンターカードを手に取った。


「ほとんどS以上じゃないか……どういう事だ」


 比較的冷静だが、結構ビックリしている様子だ。


「分からないんです。この子が……な、なのでマスターが調べてくれませんか?」

「ああそういう事か。……シンシア……か。そっちは親か?」

「保護者のサラです」

「そうか。来てくれ」


 ギルドマスターはシンシア達を奥の部屋へ連れていった。

 その場にいたハンター達は、何事かと静かに見つめている。


◆◇◆◇◆


 シンシアとサラが席に座ると、ギルドマスターは早速質問をしてきた。


「2人は何者なんだ? 言えない事があるのなら理由を付けて答えてくれ」

「お、俺は……ただ旅に出てきた子供です」


 2人を見る鋭い目がとても怖く、シンシアはビビりながら答えた。


「私は旅に付いてきた保護者です」

「それだと分かりにくい。特に保護者の方、異様な魔力を感じる。いや、子供の方にも同じような魔力を少し感じる」


 神の魔力だろう。

 シンシアの方にもほんの少し混ざってしまった神の魔力のせいで、尚更サラを女神だとバレせなくなった。


「それは言えません。混乱を避ける為なので」

「そうか。ちなみに聞くが……ここに来た理由はなんだ? 何か起こるのか?」

「いえ、特に理由はないですよ。そうだよねシンシアちゃん」


 俺に話しかける時だけ素に戻るのやめてほしい。


「俺達がここに来た事に特別な理由はありません。ただなんとなくこの国に来て、しばらくのんびりして別の国に行こうと思ってるだけです」


 するとギルドマスターは緊張を解いたように椅子に座り直した。


「そうか。では何も心配はいらないんだな。……しかしだ。それだけの力を持っているのなら、こんな国に居るべきではないのではないか?」


 確かにそう言われてしまえばそうだが、もしそうだとしたら自分はどこに居れば良いのか。それが分からない。自分の役割が何なのかを知る為に旅をしているのだ。


「まだ自分の居るべき場所を探している所なんで、こらからも世界の色んな場所を巡るつもりですよ」

「子供なのにしっかりしているのだな」


 本当は転生者なのだが、わざわざ言う必要はないだろう。


「……そうだ。これから色んな所に行くのなら、是非お願いしたい事がある。聞いてくれるか?」

「なんでしょう」


 するとギルドマスターは席を立って、大きな机の引き出しの中から地図のような物を取り出した。


「すまない。これがないと詳しく説明できないのでな」


 そういって地図を広げて、とある場所を指差した。


「この国のハンターギルドにいるギルドマスターに渡さなければならない物がある。しかし、そこに行くにはかなり危険な道となる。そこで、是非2人に荷馬車の護衛を頼みたい」

「それはいつになる予定ですか?」


 まだこの国に来たばかりなのだから、今すぐにと言われれば断りたい。


「予定はいつでも良いんだ。届けることさえできれは、現地から報酬が渡される」


 ならば次の目的地をそこにすれば良いな。


「分かった。ではしばらくこの国を満喫した後に行くとする」


 少しずつ自分の大魔道士キャラを取り戻してきたシンシアは、次の目的地をする事を頭の中に入れた。


「感謝する。私からはこれ以上話すことはない。是非楽しんでくれ」

「では失礼する」


 話す事を話した2人は、ギルドから出て新鮮な空気を吸う。


「はぁ〜……緊張した」

「シンシアちゃんキャラ保ててないよ」

「そもそもキャラとかもうどうでも良くなってきた。とりあえず近くの店で夕食沢山買って宿に帰ろう」


 明日もしたい事が一杯ありそうだ。

 再び図書館に行ったり、海で泳いだり、ダンジョンにも行ったり。元先生として学校の様子も見に行きたい。


 しかし、今日は魔力を補給して明日の為にしっかり休まないといけない。

 夕焼け空とクラシックのような音楽の演奏が合わさって、優雅に買い物をする事ができた。

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