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4話 シンシアの能力


 アイリによる特別教室周辺の案内が始まってから、色々とこの学園のシステムが分かった。


 この学園はEクラス〜Aクラスと存在していて、優秀な成績な生徒はAに近いクラスへと移動する。年齢による差別化は全くなく、実力主義な学園である。

 特別クラスのみは本当に特別で、基本的に授業を受けるのも受けないのも自由。元から特別な能力を持った生徒のみが特別クラスに入れるという。アイリ達はVIP組なんて呼んでたりするらしい。


 特別クラスの生徒は専用の生徒手帳が配られるらしいが、俺は編入してきたばかりだから後から貰えるだろう。

 それと、この学園ではたま〜に文化祭のようなイベントが開催されるらしい。学園と特別クラスが主催側として企画を考え、他の生徒達は出し物やお店等を開く。他にも赤グループと白グループに分けられた選抜メンバーのトーナメントバトルがある。これは木刀と魔法を使った勝負。優勝グループには学園から何かしらのプレゼントを貰えるだとか。


 いやぁ〜なんとも特別クラスは自由で優遇されたクラスだな。サラに感謝だ。

 と、優越感に浸っていると飲み物を買いに行っていたアイリが帰ってきた。


「はいお茶」

「ありがとう」


 ペットボトル……! やはり一部の物は前世と似ているな。


「シンシアちゃんも転生者って事は、日本人だよね?」

「う、うん」

「なら二次元の文化も知ってる?」

「一応アニメとかはよく見てたよ」


 そういうとアイリは初めて頬を緩めて笑顔を見せた。可愛いな。


「百合ってどう思う?」

「百合?」


 どうしてこのタイミングで花の話?


「ん〜……まあ良いんじゃない? 綺麗だよね」

「ほ、本当? ねぇ私達って良い相性と思わない?」

「相性かぁ〜もっとお互いの事知ってからじゃないと分からないかな」


 花の好みだけで相性を決めるのは初めてだな。意外と意味あったりするのだろうか。


「そうよね。じゃあ今日から私達は友達として仲良くしましょう」

「友達っ……! よろしく!」


 な、なんと! まさか相手から友達になってくれるとは思わなかった! それも女の子からなんて、これは付いてるぞ。


「じゃあ学園案内再開しましょう。手」

「あ、うん」


 手を握ろうとすると、アイリの方から指を絡めて手を握ってきた。

 うっ……わぁ〜……これアイリの指の感触をはっきり感じれて俺には適性レベルが高いな。慣れたと思ったのにまた緊張してきた。


「……かわいい……」

「んっ?」


 お茶を飲んでいると、何か聞こえたような気がしてアイリの顔を見上げる。するとアイリはずっとこちらを見ていたようで、すぐに顔を背けた。


「どうかしたのか?」

「う、ううん? 何でもないよ」


 頭に何か付いてたりするか?

 髪の毛を触ってみるが何も付いていない。ん〜気になる。


 まあいいか。今は学園内の構造を覚えないといけない。


◆◇◆◇◆


「あっ、シンシアちゃんおかえり! アイリーンちゃんも」

「ついでに私の名前付け足すのやめてください……」


 教室に帰ってきた俺は、小さな歩幅で頑張った身体を休める為に机でダラ〜ンと脱力する。


「シンシアちゃん、はい生徒手帳」

「あっどうも」


 サラがテーブルに生徒手帳を置いたので、早速中身を確認する。


「顔写真……?」

「それは念写魔法。といっても私にしか使えないんだけどね」


 流石女神だな。

 生徒手帳には自分の顔写真と名前。その他に能力が書かれている。

 他のページには学園の校則、特別クラスと一般クラスの違い等が書かれており、最後のページには特別生徒という事を証明するマークが書いてあった。このマークは生徒手帳の表紙にも書いてある。


「見せて」

「あ、うん」


 アイリに生徒手帳を見せると、興味深そうに眺めている。


「面白い?」

「シンシアちゃんって、もしかしたらこのクラスの中でもずば抜けて才能があるのかもしれないわ」

「え?」


 立ち上がってアイリの見ているページを覗き込もうとするが、身長差で見れない。アイリが屈んでくれてやっと見れるようになった。


「このページにはその生徒の細かい能力をランクで表してあるの」

「へぇ〜」


 最初見た時はよく分からなかったけどそういう事だったのか。


「剣術S、筋力B、体力C、技術A、魔力SS、知力B……」


 SSってことは結構凄いのだろう。ゲームだと大体そうだ。


「シンシアちゃん戦闘経験はないって言ってたよね?」

「うん」

「もうすでに世界最強の魔術師レベルよ」


 おぉ〜でも戦いには興味ないんだよな。まあでも、魔力SSっていうのは素直に嬉しい。剣術が魔力より下ってのは謎だけど。


「はぁっ!? 待て待て! 魔力SSって言ったか!?」


 今まで教室の端で眠っていた寝癖ボサボサの男、アデルが有り得ないような顔でこちらにやってきた。この人も一応転生者で元日本人だ。


「ほら」


 アイリがアデルに生徒手帳を見せると、目を大きく見開いて今度は俺の方を見てきた。


「……こんなちっこい子がSランク以上を……」

「シンシアちゃん、特別クラスでもSランク以上を持ってる人は1人しかいないのよ。それもSSランクなんてのは誰1人持ってないの」


 アイリにそう言われて自分が異常だという事に気づいた。

 サラの仕業なんだろうけれども、流石にこんなチート能力じゃあっという間に有名人だ。下手したらロリコンに誘拐されるかもしれない。そして大衆の前でこう言わされるのだ。 『よっ! 全国のロリコン共!』 と……そんなの絶対嫌だ!


「この事は誰にも言わないでくれ……アイリとアデル」

「当たり前よ。私達の秘密ね」

「お前何者なんだ……」

「ははは……」


 正直もっと弱いくらいが楽しめそうな気がするが、弱くなりたいとも思わないから隠し通すしかない。こんな化け物がいるとバレない為にも、今後俺はこの力を隠して生きていく。

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