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14話 救出


 どうやら手足を拘束している縄は魔道具という物らしく、それもかなり強力な魔道具な為に魔法が使えないらしい。


「魔法が使えたら逃げれるんだけどね」

「サラは何してるんだろうな」


 サラくらいの強さならあっという間に助けに来てくれそうなのだが、まさか俺達が誘拐された事に気づいていないのだろうか。いや、まさかな。


──カチッ、ガチャッ

「っ!?」

「誰か来る……」


 この部屋の唯一の出入口の鍵が開く音がした。俺とアイリはすぐに警戒する。


「2人とも大丈夫〜?」

「……サラ?」


 入ってきたのは俺たちを誘拐した犯人、ではなくサラだった。

 不思議に思っていると、サラの後ろからも1人の男がやってきた。小太りで汚い顔をしている。


「ごめんよ二人共。おじさんが間違ってた。すぐに家に返してあげるからね」

「……? サラ、この人は?」

「シンシアちゃんとアイリちゃんを誘拐した犯人だよ」


 犯人? それにしては随分と穏やかな言葉を喋っているが。


「何かしたのか?」

「ふふ、秘密」


 そういって笑ったサラの顔に、何か深い闇が見えた気がする。この話はこれ以上聞いてはいけない。本能的にそう感じ取った。


「他にも誘拐した人いるんだよね?」

「はい。皆すぐに解放して、私は自首しにいって心を改めようと思います」

「皆は私が解放するから、もう自首しにいってもいいよ? 貴方くらいの重犯罪者なら死刑になるかもしれないけど」


 重犯罪者で死刑!? も、もしサラがいなかったら俺達どうなっていたんだ?


「死刑になったとしても、それで私の罪が償えるのなら軽い物です。どうか皆さんを解放してあげてください。では私はこれで」


 そのおじさんはサラに鍵を渡すと、1人でどこかへ言ってしまった。


「助かったな、アイリ」

「そ、そうね……」


 もう安心だというのに、何故かアイリは先程よりも怯えているように見える。


「どうした?」

「今の男……世界的に有名な犯罪組織"Lucifer(ルシファー)"の1人よ。もしあの男が死刑になったりしたら、私達が狙われる可能性が十分にあるわ」


 ルシファー? でも俺達にはサラがいるから大丈夫だろ。


「サラに任せればいいだろ」

「そうだよ。シンシアちゃんは保護者の私が守るんだもの」


 なんで俺限定なんだよ。


「駄目。Luciferの幹部クラスには悪魔が付いているって噂があるの。その証拠も本に載っていたりするから、私達が手を出すべき組織じゃないわ」


 悪魔……? でもサラは女神だ。多分悪魔より神様の方が強いだろう。


「サラ、大丈夫だよな?」

「あっははは……それが本当ならあんまり関わらない方が良いかもね」

「……嘘だろ?」


 サラは苦笑いを浮かべながら額に少しの汗を流していた。


「ま、まあ1人くらい大丈夫だよ! 早く皆を解放して逃げよう!」


 サラがこんなに動揺している姿初めて見たな。これは相当やばい奴らの1人と出会ってしまったようだ。


 サラと一緒に暗い部屋の外に出ると、薄暗くて長い通路があり。その壁に鍵のかかった部屋がいくつも並んでいる。


「まるで牢屋だな」

「すぐに皆を助けましょう、サラ先生」

「鍵は一つしかないから急がないとね。それとここの人達を助け出した後にどうするかが問題だよ」


 見たところかなりの数の人がここに閉じ込められているようだし、解放してこの国に野放しにしてもお金も何もないのだから餓死してしまう。


「とりあえず近くの衛兵基地に預けるか。急ごう」


 急いでこの建物内にいる人達全員の救出を行った。ほとんどが女性で、小さな女の子から18前後の人ばかりだ。


◆◇◆◇◆


「ご協力ありがとうございます!」

「いえいえ〜、当然のことをしただけですよ」


 衛兵基地に助け出した全員を連れていくと、サラはとても感謝されていた。しかし衛兵達も約30人以上はいる人達をどうするか困っているようで、基地の中では相談している姿が見える。


「凄いですね。あの犯人組織の1人を自首させるなんて」

「まあ私にかかればちょちょいのちょいよ」


 あ、サラが調子に乗ってる。


「サラ、もう暗くなるしアイリを家に送らないと」

「そうだね。アイリちゃん、家に来るのはまた今度でいいかな? 家に送っていくよ」

「大丈夫です。ここから家は近いので」


 アイリは俺達に手を振って帰っていった。


「じゃあ私達も帰ろっか」

「そうだな」


 今日は色々な事があった。そのどれもが嫌な事ばっかりたったけど、やっぱり1日の終わりが近づいてくると満足感という物が得られる。

 今日は気持ちよく眠れそうだ。

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