表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
127/127

最終話


「えっ、えっ!? も、もう子供の姿に戻らなくても大丈夫なのか!?」

「戻っても戻らなくても魔力消費はないよ! その代わり、私は女神の力が使えなくなったの!」

 ……おい? ちょっと待て。女神の力が使えなくなったってそれ物凄く重大な事なのでは?


「やばくない?」

「大丈夫っ! シンシアちゃん大人になりたがってたよね」

「た、確かにそうだけど……」


 シンシアはしばらく考えた。

 サラが女神の力が使えなくなり、その代わりに俺は子供の姿にも大人の姿にも自由に変身できるようになった。

 その場合、もし危険な状況になったらサラに頼れない訳で……。


「よし決めた。俺、大魔道士の夢を諦めてサラを幸せにする」

「あ、諦めちゃうの? 大人になったら大魔道士になれるかなって思ったんだけど……」

 サラが気を利かせてくれたのだろう。しかし、俺にもちゃんと理由がある。


「そもそも俺は1人で自立して生きる事も夢だった。でも今はサラがいないとダメダメな人間だ。なら、サラを幸せにする為に大魔道士の夢も諦めて付き合うしかない」

「大魔道士の夢を諦めるのは……私の為……?」

「そうだ」

 シンシアは力強く頷いた。


「シンシアちゃん……」

「サラ……」

──ガチャッ

「2人ともそろそろ起き……」

 暑い視線を絡ませていた時、姉ちゃんが部屋に入ってきた。それも俺とサラは全裸で、俺がサラの上に覆い被さる形の時にだ。


「ぎゃあああああっっ!! レズカップルがいるっ!? 」

「ね、姉ちゃんこれは違くてっ!!」

「羨ましいっ!」

「……へ?」

 姉ちゃんの口から出たの罵倒や暴言ではなく、うらやましい、だった。


「シンシアとサラさんはそういう関係だったのね……私の方がずっと昔からシンシアを思っていたのに……」

「えへへへ……ごめんね。……あっ、じゃあコリンさんも服脱いで一緒に寝ようよ!」

「やめろぉぉお!!」

 これ以上罪を重ねたくない! 家族に変な目で見られたくない!!


 シンシアはすぐに子供の姿に戻って、投げ捨ててあった服を着ると部屋から走って逃げていった。


「……今の変身速度と早着替え……凄い……」

「サラさん。シンシアとの夜の話……詳しく聞かせてもらえますか?」

「えへっ、いいよ!」



 シンシアは後ろから姉が追ってきていない事を確認すると、食堂に向かった。


「……ん?」

 近くにやってくると、食堂から聞きなれた声が聞こえてきた。


「良かったですね」

「もうシンシアちゃんったら女神様にデレデレでね!」

「あぁ〜私もシンシアちゃんに甘えられたい……」

 なんとそこにはクラリスさんとアイリがいて、セシリータと話していた。


「あら、丁度シンシアさんが来たみたいよ」

「っ! シンシアちゃ〜ん!!」

 こちらに気づいたアイリがすぐに走ってきてシンシアに抱きついた。


「サラさん、帰ってきたんですってね」

「あ、あぁ。クラリスさんとゼウスのお陰だよ……アイリ苦しいっ……」

「すんすん……この匂い……サラ先生の匂いがプンプンする! 昨日の夜何したの?」

 流石元FBI、鼻が良い……って違う! なんでバレるんだ!


「なんでもいいだろ……」

「あっ、そうそう! 私騎士団の訓練兵に合格したの!」

「おぉっ! おめでとう! って事は後は訓練を重ねていけば正式な騎士になれるのか?」

「そうっ! 応援してね!」

「勿論だ!」

 アイリが無事に仕事を始めて、シンシアは嬉しいような……でも何故か置いていかれてるような複雑な気持ちになった。


「それでね、クラリス先生とイヴちゃんはまた魔王城に帰るんだって」

「えっ、そうなのか?」

 クラリスに尋ねると、こくんと頷いた。


「魔王様も随分と成長しましたしね。シンシアさんも……大人になったみたいですし、そろそろ魔王の仕事に戻らなければなりません」

「クラリスさん何で知ってるんだ……?」

「いえ何も……」

 明らかに頬を赤くして目を逸らしている。白い肌のせいでバレバレだぞ。この野郎。


「ってことは、皆それぞれ自分の道を見つけたんだな」

「アデルはまだ学校で勉強だって。頭悪いから」

「シンシアさんはどうするんですか?」

 俺はこれからどうするのか決めているが、サラがそれをOKしてくれるかどうか、だな。


「前住んでた家に戻って、サラと一緒に学園で先生をしうと思うんだ。これまでの旅の中で学んでさ、俺、大魔道士の夢を諦めることにしたんだ」

「えっ……折角シンシアちゃん魔法得意なのに……?」

 確かにこの技術は勿体ないだろう。


「その代わり、学校で生徒達を育成して有望な魔法使いを育てようって思ってな」

「シンシアさんらしい考えね。きっとサラさんも認めてくれるわ」

「ありがとう」

 皆それぞれの道を進む事になって、俺もこれから何をするのか決めることが出来た。それも皆のお陰だ。


「シンシアちゃ〜ん! 一緒にご飯食べよ〜!」

「丁度サラさんも来たみたいだし、皆さんで一緒に食べましょうか」


 朝食を食べながら、サラに昨日の夜の事を意気揚々と語られて死にたくなった。


「シンシアちゃんは一方的に攻められるのが好きみたい!」


 昨日の夜、突然サラから押し倒されて反撃された時を思い出し疼いてしまった。


「っ……やめてっ……恥ずかしい……」

「このバカップル……妬ましい」

「シンシアちゃんは受け……なるほど!」


 姉ちゃんもアイリも、クラリスさんみたいに目を逸らして……クラリスさんまで興奮した顔で興味津々に聞いてやがる。

 死にたい。

予想以上に早く終わってしまいました。

ここまで初心者作者の小説を読んでくださり本当にありがとうございました。


Twitter @Novel_croquis

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ