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121話 性欲による変化


 部屋でアマデオの事についてずっと悩んでいると、クラリスさんがやってきた。


「シンシアちゃん、今日は一旦帰るわね」

「あっ、ああ。気を付けてな」

「学園長が学校に来たら話をするから、その時に呼びに来るわ」

「ああ」


 するとクラリスさんはシンシアの部屋を見渡して、満足そうに口元を緩めた。


「良い部屋ね」

「あ、ありがとう。何なら泊まっていけばいいのに……いや、なんでもない」


 もっとクラリスさんと一緒にいたい。そう思って誘ってみたもののクラリスさんもする事があるから迷惑かと思いすぐに撤回した。


「ふふっ、今度暇が出来たら来るわね。それじゃ、元気でね」

「ああ。アイリ達にもよろしく伝えといてくれ」


 そうしてクラリスさんは帰っていった。


 再びシンシアはアマデオから拒絶された理由を考え始める。

 自分の今までの行動でアマデオを不快にさせる事はした事がないし、基本的にアマデオからは一方的に……あんなキスとかされたし。


 ダメだ。思い出したら好きになってしまう。


「キスくらいなんだっ! 冷静になれっ!」


 熱くなった自分の頬をパンパンと叩いて落ち着かせる。


 このままアマデオの事を考えてたら余計に好きになってしまうばかりだ。1度アマデオと話を付けないといけない。


「よし……アマデオの部屋に行くか」


◆◇◆◇◆


「と思って部屋を出たものの……アマデオの部屋ってどこなんだ……」


 この施設で覚えているのは、基本的に自分の部屋、玄関、食堂、父の部屋、サラの部屋だった場所くらいしか覚えていない。


「……あっ! そこの君!」


 たまたま、いつもアマデオと一緒にいる少年を見つけて声をかけた。


「あっ! リーダーの彼女さん!」

「かのっ……違うけど、アマデオの部屋ってどこか分かる?」

「リーダーの部屋なら1階の3号室です!」

「ありがとう」


 シンシアは少年にお礼を言って、すぐにアマデオの部屋へ向かった。


「……何かが起きる予感……皆を集めないと!!」


 少年もまた、他の少年達を集めに向かった。


◆◇◆◇◆


「アマデオ! 話したい事があるんだけど〜!」


 アマデオの部屋だと言われた3号室の扉をノックすると、中からガサゴソと音がしてゆっくり扉が開かれた。


「ど、ども」

「……」

「……な、なんかさ。私の事避けてるみたいで……何か悪い事しちゃったのなら謝るからさ、とりあえず中に入れてほしいな〜……なんて」

「中に……分かった」


 今まで眠っていたのだろうか。眠そうな顔をしながらシンシアを部屋の中に入れた。適当に座ってと言われて、また変なことされないように勉強用の机の椅子に座らせてもらう。


「それてアマデオ……なんか、俺アマデオに悪い事したかな。さっきどうして目を合わせてくれなかったんだ?」

「それは……その……この前シンシアちゃんにキスしちゃって……それで罪悪感でどんな顔を向ければ良いか分からなくなって」


 現に今のアマデオもずっと下を向いたままだ。

 それにいつもより元気がない気がする。確かにキスされた事には驚いたし……あれが初めて……だったけど。そこまで罪悪感を感じられると余計に悲しいというか……。


「それであれから……なんかおかしいんだ」

「おかしい?」


 そういうとアマデオは自分の股を抑えた。


「シンシアちゃんとキスした時、ここが大きくなって……」

「そ、それって……」

「触ったら気持ちよくって、最近ずっと……」


 これはまずい。健全な少年に性知識を植え付けてしまった。

 さっきからずっとテンションが低いのは賢者モードというヤツなのだろう。俺も男だからしっかり分かる。


「そ、それはいけない事だから……無理にとは言わないけど、辞めた方がいいよ」

「……シンシアちゃんも自分のおしっこする所触ったら気持ちよくなるの?」

「なっ……!?」


 そう言われた瞬間、シンシアの顔が真っ赤になった。

 この少年はこんなに若いのになんでこうなってしまったんだ!


「あ……あんまりそういう話は……しない方がいい……」

「俺調べたんだ。両思いの男女が何するか……」

「っ! い、言い忘れてた事があるんだ!」


 シンシアはほんの少し身の危険を感じて、言うべき事を今言うことにした。

 男は性欲が高まるとこんなにも豹変するのだと、初めて知ってシンシアは少し驚いているし、アマデオには悪いと思いつつ。アマデオに伝えることにした。


「俺……アマデオとは付き合えない」


 するとアマデオは初めて顔を上げてシンシアの目を見た。


「俺のこと好きじゃないの? 相談にも乗ったし、守ってあげるよ?」

「も、勿論好きだけど……それは友達としてで!」

「そっか……ごめん。俺初めて女の子に頼られて、調子に乗ってた」


 アマデオは悲しそうな顔をしながら再び顔を下げた。この部屋にしばらくの沈黙が続いた後、シンシアが気まずくなって立ち上がる。


「俺こそごめん。でもアマデオには凄く感謝してるし、今こうして俺が元気でいるのもアマデオが相談に乗ってくれたお陰なんだ。だから何かお礼をしたいんだけど……こうしてアマデオを悲しませてしまって……」


 本当は感謝するべきなのに。俺は悲しませてばっかりいる。


「いいよ。シンシアちゃんが元気で居てくれたらそれで俺は嬉しい」

「アマデオ……」


 アマデオのあまりにも優しすぎる言葉に、シンシアの中の罪悪感が更に強くなった。

 しかし自分がアマデオの為に何かしてやれる訳でもない。振った相手に同情するのも失礼だと思い、シンシアは部屋から出ることにした。


「本当にごめん、アマデオ」

「今まで通り友達として接してくれる?」

「ああ。付き合う事は無理だけど友達だ」


 シンシアはそう言って部屋から出た。


「み、皆盗み聞きしてたのか……?」

「恋の予感かと思ったら何もなくてガッカリしたよ」


 俺が男と付き合うわけないだろう。


 しかし、アマデオでもあんなに変わるもんなんだな……。ちょっと怖かった。


 後でセシリータさんに甘えようっと。

男性の皆さん、オナ禁大事ですよ!

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