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117話 罪悪感


「良い? シンシアちゃんの中身は男。私の弟、分かる?」

「……うん……ぐすんっ」

「弟は女の子が好きなの。でもまだ女の子に慣れてなくて、女の子に責められるとオドオドして顔真っ赤にして恥ずかしがるの」


 俺の姉ちゃん……弟フェチだったんだな。全く知らなかった。いや、知りたくなかった。


「シンシアちゃんはお姉ちゃんの私を好きになりなさい」

「でっ……でも……昨日の夜アマデオと寝たし……裏切れ──」

「はぁっっ!?」


 思わず呟いたその言葉のせいで、姉は鬼のような形相でシンシアの肩を掴んだ。

 シンシアもつい言ってしまった言葉の恥ずかしさに顔を真っ赤にする。それが余計に姉の怒りに触れたのか、肩を握る力が強まる。


「いぃっ痛いよっ……」

「アンタそこまで落ちぶれたのね」

「お、落ちぶれたって何だよ……」


 必死に肩を握る腕を引き剥がそうするも、力では叶わない。魔法を使ったら怪我してしまいそうだからと、なんとか耐えた。


「もう本当に女の子になっちゃったのね」

「女に……ちっ、違う! 俺はまだ男で──」

「でも男の子が好きで、それをノーマルって言い張ってるでしょ? それって結局自分を女の子だと認めてるって事だからね?」


 うっ……そう言われれば確かに。自分の発言は矛盾だらけの我が儘だ。


「でもこの気持ちが分かんないんだよ……俺はアマデオが好きになっちゃったし、でも姉ちゃんの言う通り女の子を好きになるのが男で……」


 もう自分を男として見ればいいのか、それとも女として見ればいいのか分からなくなってきた。これが性同一性障害を持つ人の悩みだろうか。こんな事になるなら確かに俺だって男の身体に戻りたい。

 ……でも、この身体で男の人に好かれるのも嬉しい。


「……そもそも姉ちゃんと俺って姉弟じゃん」

「レズならなんでもいいのよ」

「あれ? 姉ちゃんも俺を弟として見てるのか妹として見てるのか分からないじゃん」


 これはガバだな。


「はぁ……あのね。私はアンタの中身を好きな訳」

「中身を……」


 その事にドキッとしてしまった。


「あの男はアンタの見た目、つまりは身体が好きな訳」

「う、うん……」

「アンタはさ、見た目と中身。どっちで好かれたい訳?」


 くっ……流石だな。でも結局は好きになってくれればそれが1番なんだよな。

 いや待てよ。もしアマデオが俺の見た目で好きになったとして、それから付き合って中身まで好きになる確信はあるか? もしそれで別れる事になるとしたら、俺は姉ちゃんを選んだ方が正しいんじゃ……。


「じゃあ……姉ちゃんにする」

「っ! 言ったわね!?」


 姉ちゃんが突然ベッドの上に立ち上がった。


「い、言ったよ。アマデオには俺から付き合えないって伝えるから」

「じゃあじゃあ! コリンお姉ちゃん大好き! って上目遣いでお願い!」


 い、言えばいいのか……? 姉に? 流石に恥ずかしいけど……でも姉ちゃんと一緒にいると気持ち良いことできるし……それくらい良いか。


「コ、コリンお姉ちゃん……大好き」

「っ────!!」


 それを聞いた姉は、突然艶かしい声を漏らしながらその場に倒れた。

 身体をビクンと痙攣させて、目は虚ろになりながら気持ちよさそうに…………絶頂していた。


◆◇◆◇◆


「まさか姉ちゃんが言葉だけで絶頂する人間だとは思わなかった……あのクールな姉ちゃんが……」


 姉が幸せそうに自分の部屋に帰っていってから、シンシアは色々と考えていた。

 アマデオにどうやって伝えるのか。どう言えば傷付けることなく断れるのか。


 男としてのプライドがシンシアの心に火を付ける。

 女々しくなんてなるものか。


 そんな事を考えていると、部屋のドアがノックされてアマデオの声が聞こえてきた。


「シンシアちゃんいるか?」


 その瞬間、心拍数がギュンと上がる。寿命が存在しなくて助かった。じゃないと今ごろ死んでるぞ。


「い、いるけど……どうしたの?」

「会いたくてきた。それだけだけど良いかな」


 わ、わざわざ俺に会いたいだけで来たのか。そんなに俺の事を……っと、いかんいかん。伝えないといけない事がある。


「とりあえず……入ってどうぞ」

「ありがとう」


 アマデオは顔を赤くして恥ずかしそうに部屋の中に入ってきた。

 とりあえず昨日のようにベッドに座らせて、シンシアはいつもより少し離れて座る。


「あれからどうかな。少しは気分良くなった?」

「う、うん。あんまり思い悩む事がなくなって、充実してるっ」


 緊張して目を見ることができない。それになんか……足が内股になってきた……。アマデオの目線を意識してるから……?


「良かった。俺シンシアちゃんの相談にならなんでも乗るよ。いつでも助けてあげる」

「ありがとう……」


 それに関しては本当に感謝している。しかし、それと恋愛とは別だ。


「ねぇシンシアちゃん」

「っ! ひゃいっ!?」


 突然アマデオが距離を詰めてきて、シンシアの手を握った。


「俺さ……シンシアちゃんの事好きなんだ」

「そっ……そそそ、そう……なんだ」


 動揺するな! ドキドキするな! 何かを言われても断れ!! 俺!!


「シンシアちゃんは俺の事好き?」


 ど、どう言えばいい!? 嫌いって言ったら絶対に傷付くよな!? だって昨日、一緒に寝ようって誘ったの俺だもんな!?


「いや、例え俺の事が嫌いでもいいんだ」

「えっいや……そんなんじゃ……」

「今から惚れさせる」

「っ──!?」


 嫌いでもいい、という言葉に反応してそれは違うと言おうとアマデオの方を向いた瞬間。何故か目の前にアマデオの顔があり、そのまま唇同士が触れ合った。

 本当は頬にキスしようとしたのだろう。アマデオも驚いていた。


 しかし、やっちまったものは仕方ないと、アマデオは目を瞑り思い切って舌をシンシアの口の中に入れた。


「んっ!?」


 アマデオの暖かくて柔らかい下が、自分の下や歯茎を舐めたり吸われたりする。段々とシンシアは頭の中がポーッとしてきてトロンとした顔付きになっていき、アマデオの身体に力無くもたれ掛かる。


 子供に口の中を犯されている。そんな背徳感がシンシアの快楽を更に大きくさせていった。

 子供の下手くそなキスもシンシアにとっては初体験のキスであり、それ以上のキスを感じたことのないシンシアにとっては物凄く気持ちよかった。


「んっ……はっ……はっ……」


 気持ちの良いキスから解放されたシンシアは、完全に乙女の顔となりアマデオの胸に倒れ、顔を見つめていた。


「ごっ……ごめん……」


 アマデオも人生で初めて女の子の口にキスをして、更には本で読んだだけの知識であるディープキスをしてしまい、完全に腰が砕けたシンシアを見て罪悪感を感じていた。

 しかしアマデオは男。そんなに弱々しい目で見つめられれば下半身が反応してしまう。


「ほ、本当にごめんっ!!」


 しかし、アマデオは罪悪感に耐えきれなくなりその場から逃げ出した。

 部屋に残されたシンシアは、思考が上手く回らずにただ気持ちよさそうに自ら快楽を求めて動いていた。

えっちだ……これはまずいですよ! 少年には見せられない! キスがセーフなのかアウトなのか分からないんですけど、多分大丈夫だと思います。

キスは性行為に入りません!

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