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100話 テスト


「そろそろテスト受けてみる?」

「あぁ〜テスト……まあ早めに終わらせた方が良いよな」


 テストと聞くと全身が痒くなるんだけど、それは俺だけなのだろうか。身体が拒否反応を起こしてしまう。


「2枚書けば終わりよ」

「2枚か……じゃあなんとかやれそうだ」


 シンシアとセシリャはテストを受ける為の部屋へと歩き出した。

 シンシアの足取りは重く、頭の中はテストで一杯一杯になっている。そんなシンシアの後ろを数人の男子グループが尾行しているが、シンシアはそれに気付いていない。


「怪しい……」

「あの仮面を剥がしてやろう」

「チン〇ン蹴っ飛ばせば舎弟になる」


◆◇◆◇◆


「それじゃあそこに座って」


 広い教室の真ん中の席に座らされて、セシリャさんは棚から2枚の大きな紙を取ってシンシアの前に置いた。


「……うわぁ」

「見ただけで苦しんでちゃ魔法使いになれないわよ」

「と、解けない訳じゃないんだけど……結局こんなの将来なんの役にも──」

「大事なのは頼れる頭脳を持っているかどうか、なのよ。頭が良いのなら仕事でも優秀だと思うでしょう?」

「う〜ん……まあいいや。頑張る」


 別に学校の勉強と頭の良さは関係ないと思うのだが、仕方ない。世の中はそういう物なのだからと割り切って動いてかないと孤立してしまう。


 小さな教室で世の中について悟り始めたシンシアは、渡された鉛筆と消しゴムを持って早速テストの解答欄に書き始めた。


◆◇◆◇◆


「終わった〜……ってあれ、セシリャさんいつの間にかいない……」


 頑張っている姿を見てくれているのかと思ったが、流石にテスト中教室で暇してる訳ではないようだ。

 なんとかテストを終えたシンシアは、一先ず2枚のテスト用紙を前の教卓に置いて教室から出ることにした。


──ガララッ

「はぁ疲──」

「確保〜っっ!!」

「なっ、なんだ!?」


 突如横から現れた大勢の男達が流れ込んできて、シンシアは教室の中で押し倒されてしまった。

 両手両足を体重で床に押し付けられ動けなくなる。


「痛っ! ちょっ、なんだっ」

「怪しい奴めっ! 正体を暴いてやるっ!!」


 シンシアに馬乗りになっているリーダーのような少年がシンシアの仮面に手を触れた。


「なっ、やめろっ!!」

「「うわぁっ!!」」


 シンシアは咄嗟に風魔法で全員を吹き飛ばし、息切れしつつ立ち上がった。


「な、何なんだお前ら……」

「このっ……覚えてろよっ!」

「次は絶対仮面を剥いでやる!」


 少年達は捨て台詞を吐いて一目散に逃げていってしまった。

 普通逃げるべきなのは大勢の男に襲われた俺なのだが、見事に返り討ちにしてやったみたいだ。


「……またあの子達ね」

「あ、セシリャさん」


 丁度セシリャさんが帰ってきた。どうやらあの少年達は問題児らしい。


「大丈夫? 怪我とかしてない?」

「あ、あぁはい。大丈夫です」


 男達に踏まれた腕を揉みながら答えるシンシアを見て、セシリャはふっと微笑んだ。


「今日はテストだけやったから部屋でゆっくりしなさい。数日間は慣れるためにのんびり過ごしてていいわ」

「じゃあこの後は何の予定もないんですか?」


 セシリャはこれからの事を思い出して、コクンと頷いた。


「何も無いわ。あの女神様とゆっくりしても良いし、食事は食堂で取れるわ」

「ありがとうございます。じゃあ夕食は皆で食べましょうか」

「そうね」


 こうして少しずつ大人を味方に付けていく事が、こういう場所で生き延びる1つの手段だ。


◆◇◆◇◆


 暗い階段の裏、少年達はまた会議を行っていた。


「ぐぬぬぬ……声変わりしてないくせに……」

「力は全然無かった。やっぱり魔法少し使えるからって調子乗ってる」

「俺達にかかればあんな雑魚すぐボコボコにできるっ! 次行くのは最も油断している時だ」


 少年達は、仮面の怪しい人物の弱点を考えながら次の作戦を練り始めた。

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