表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/3

預言の国で見たもの

※01の続きです。先に01をお読み下さい。


 検問所の前に行くと、そこには検問員と二十代半ばの男性がいた。男性は晴れ晴れとした顔つきで検問員と話をしている。しばらく終わりそうにも無い。

「どうします?」

「話終えるまで待っているしかないんじゃないか」

「そうですね…。しかし中々終わりそうにないですよ。彼、まだまだ話したりないって顔してますし。」

あの男性が話し終えるまで何をしていようか。そう考え始めたマグナに、話しかけてきた者がいた。

「あの…。」

「ん?」

振り返るが誰もいない。空耳だろうか。と思った。が、今度は先程よりもはっきりとした声で話しかけられた。その声はマグナが見ていた高さよりも低く、視線を下げていくとそこにはおさげ髪の少女がいた。

「ねぇ、おにいさんは旅人さん?」

「ああ、もうこの国から出て行くけどな。」

そういってマグナは少女の頭をぽんぽんと軽く叩く。その言葉を聴いて少女は

「お願いがあるの」

「なんだ?」

「私も旅に連れて行って」

マグナの裾をぎゅっと握り、真剣な目で訴えかけるように言った。

「お願い。私、もうこの国にいたくないの。」

その言葉に驚きで目を見開き、マグナは少女の視線と同じ高さになるよう屈んで

「なんでこの国にいたくないんだ?家族だっているし預言通りにしていたら安全な暮らしでいてられるぜ。」

「だって、私の預言は、先生になることだって言ってたもん。私、勉強は好きじゃないし、私ピアニストになりたい。なのに、皆預言は、先生になるんだろ。ピアニストになるなんて無理だ。って言うんだもん。」

ピアニストになりたいの…。と少女は言いながら目尻に涙を溜めて、今にも零してしまいそうになっていた。

「…。ピアノが好きなのか」

「うん。ピアノは大好き。でも、ピアノなんか触るな。勉強して先生になれってお父さんもお母さんも言うの。」

そういって少女は、裾を握る手とは反対の手で涙をごしごしと拭う。預言に対して不審感を抱いている子供に、マグナは言った。

「もしかすると、先生でも音楽の先生かもしれないぜ。」

「音楽の先生…?」

「そうだ。そしたらピアノが弾けるし、皆に変な目で見られないぜ。」

「…。そっかぁ。じゃあ私は預言通り、音楽の先生になるために生まれたのね!ありがとう、おにいさん!私皆に言ってくる!」

と、先ほどまで泣いていたとは思えないほど明るい様子で街へと駆けて行った。

その様子を黙ってみていたフェンは、マグナに

「よかったのですか。マグナも預言に対して不審感を抱いているのに。あのようなことを言って…。」

「いいんだよ。預言がおかしいって考えても、周りから排除される運命しか残っていない。だったら、この国のルールを守って生きることが一番だ。なにより、まだあの娘は幼すぎる。親からも見捨てられたら、なにも残らない。」

「…マグナ。そこまで考えていたのですか。」

「ま、それにあの娘が旅に出たいって言っても俺は面倒見切れないしな。」

「そうですね。他人を守っていられるほど旅は優しいものではありませんから…。」

「そういうこった。…お、さっきまでいた男、もう出発したみたいだな。」

「では、我々も出国手続きを済ませましょう。」

「ああ。」

 出国手続きは思った時間よりも早く終わり、検問所から出る。すると国の外にすぐ林があった。そこを通って次の国に行かなければならない。マグナとフェンは荷物をしっかりと持って歩みだした。

林の中は、薄暗く光の射さない場所であった。一歩一歩踏み進む。肌寒さに眉を顰めるが、洗ったばかりの着古したフードを、首元を覆い隠すように着なおす。地面に落ちている枝を踏みながら、前へと進む。そうして数分後、林に入っていくと先ほど出国手続きをしていた男がいた。しかし、様子がおかしい。

マグナはその男に声をかけようとした。が、男はその場に崩れ落ち、倒れた。

「おい、どうした。」

とマグナは駆け寄ると、男はすでに事切れていた。口元から血が吐き出されていた。

「これは一体どういう…。」

「おや、今回は国からさほど離れていないところで死んでしまったようですね。」

突如、後ろから声がして振り向けばそこにはめがねをかけた理学的な雰囲気を醸し出している三十代くらいの男がいた。

「あんた、何者だ」

「私ですか?私はあの国の神官ですよ。」

「…神官ってことは王か?」

「ええ。正確には十二代目神官ですが。」

そういって不敵に笑う神官。神官は笑ったまま、これからお茶でもどうですか?という雰囲気で

「旅人さん。もう二度とあの国に入国をしないという条件で私の話、聞きませんか。」


→03へ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ