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こんなにも虚しいものだったなんて

作者: アリアン

ふと思いつき書き出したものです。

続編なんてモノは期待しないで下さい

下らない人生を送っていた俺は一度死んで転生した。


世界の意思だかなんだかのかなり想定外な致命的なミスで死んでしまい、そのお詫びで望んだことを叶えてもらい、そして人間に転生したのだ。


テンプレキター!とか、これで次の人生は勝ち組確定!そんなことを思っていた。


事実、転生してから中学を卒業するまではそうだった。イケメンで、運動能力も高めで、結構モテる。何をやっても人並み以上のことが出来る。実家も普通の家庭よりは裕福で、両親と姉にも好かれている。こんな勝ち組みたいな人生を過せるのだから本当に勝ち組確定だ。


そう、思っていた。


それなりに有名な高校に入学し、少し経ったくらいの頃だ。何をやってもダメダメで、バカで能天気なあいつに出会ったのは。


成績が優秀だったのを買われて生徒会の庶務を任された時にあいつも一緒に紹介された。一人だと大変だと思うからと会長に一緒に任されたのだが、あいつは頼まれた事をやるにはやるのだが簡単なミスなんかを連発してその都度俺がその尻拭いをするべく奔走する羽目になった。


何度も何度も間違うけれど、その都度本当にごめん、次はないように必ず直すからと謝る姿に仕方ないと思う反面イライラすることも多かった。


だけれど、月日が流れ、学年が上がるにつれてあいつの周りには人が溢れていった。


あいつには自分が居ないとしょうがないと思う奴。

あいつに好意を持っている奴。

あいつを支えたいと思う奴。

あいつに恩を返したいと思う奴。


様々な人間があいつの周りに集まっていった。


何をやってもダメダメで、バカで能天気なあいつだが、それ故に愚直に、ただ真っ直ぐに思い進んでいく様は…それはもう溢れんばかりに輝いていた。


これまで勝ち組確定!と思っていた自分を情けなく思う程に。


俺は人並み以上になんでも出来る。出来ないことの方が少ない。

だけれど、その結果何があったのだろうか。

積み上げてきた努力のない実績が、どうしようもない意味のないものに見えてきた。

あいつは自分の力で俺と同じ以上のことをする。

けれど、俺は同じことをしようとすれば人並み以上の結果になるがそれは望んだチートのおかげ。俺自身は何もしていない。

俺は初めて自分の間違いに気がついた。

転生チートなんてモノに手を伸ばしたが故に、俺は人生で得られる大切なモノを全て捨ててしまったということを。


自分で望んだチートが、こんなに虚しいモノだった事に後悔をした。

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