方向音痴かよ!!
本日2話目です。
「自己紹介しよう、私はフィ・ロートという魔術師だ、こんな見た目でも40を超えているおっさんだ」
そう言って自己紹介をしてきたのはズボンが見えるタイプの青のローブに黒のズボンとブーツ、茶のクロークを着て、茶の帽子を被っている見た目20台の40歳以上のおっさんらしい。歯が光ってるんですがどういう原理なんでしょうね?
「アリスです……えっと7歳ですね、命を助けていただきありがとうございます。一応お礼は言っておきます」
自己紹介されたので此方も自己紹介を、ちなみにですが私を助けてもらった話は大まかに聞いています。
自己紹介を終えるとフィさんはストレートに聞いてきました。
「ふむ……アリス、君は怒ってるのか?」
「理解は出来ても感情の制御は難しいんですよ……私の体に刺青彫ったり、触ったり、ラッキースケベ起こしたり……何て主人公体質なんでしょうねこの人!って思って怒ってますよ」
「よく分からない単語が出てきたが怒っているのは分かった……が、それにしても君はチグハグだな、本当に7歳なのか?」
肉体的には7歳ですよ……前世あわせれば中身はどれ位か分かりませんけどね。まぁそれでもフィさんよりは年下だと思いますよ。
「少なくともこの世界で誕生してから数えて七年ですね……それよりもフィさんはなぜこんな寂れた村に来たんですか?」
「ふむ、面白い例え方をする子供だ。そして私がここに居る理由なのだが、私はイシス帝国からの旅人でね、サンティール王国の首都を目指していた途中でこの村を見つけたので寄ったという感じだ」
フィさんの話を聞いて『はぁ!?』となってしまった私がいた。
なぜそうなったのか……それはフィさんの説明がおかしかったから。
この世界の人間なら子供でも知っているんですが、この世界には4大国家が東西南北にそれぞれあるんです。で、イシス帝国は西に存在しサンティール王国は東に存在するんです。
フィさんの説明の通りなら西から東に行く旅路のはずでこの村に立ち寄る事は決してないのです。
この村はサンティール王国の東の端、ここからだと王都まで西に進んで一月かかるのです。
なので地理的にこの村に来るには王都を基本経由してるはずなんですよ。つまり王都に向かう途中でこの村に来るのはおかしいのですが?
その説明をフィさんにしたら思いっきり驚愕していました。
「ば……馬鹿な!!そんな王都といえるような大きい街は見かけなかったぞ!!」
「ん~……街と言うよりはこの国の王都は鉱山都市なんですよね、王自ら石炭堀に行くとか聞いてますよ。その所為で王都は山の中にあるって言う事らしいですよ……まぁそれでも王都なんで分かりやすくされてるはずなんですが……気づきませんでした?」
「……もしかして途中にあった馬鹿でかい山なのか?確か名前が『王山』だったような」
「…………旅をするなら地理位把握しておく事をお勧めしておきますよ、『王山』ってこのサンティール王国の首都の名前ですよ」
「マジで?」
「マジですよ」
「…………何てこったぁぁぁぁぁい!!既に七ヶ月以上旅してるからおかしいなぁとは思っていたが通り過ぎてたんかい!!」
私は思った……この人、色々残念な人だ、でもこの人の残念な部分に私は助けられたわけで……複雑です。
「……でもまぁいいか、結果としてアリスを助ける事に繋がったのだ、道に迷うのもたまにはいいものだ」
「……そうですね、そのおかげで私は命を繋ぎ止められました。本当にありがとうございます」
私は素直にフィさんに感謝の気持ちを伝える事にした。出会い方はちょっとあれだったが本当に感謝はしているのだ。
「いや、まだ私は本当の意味で君を助けられたわけじゃない、君に施した処置なのだが、まだ君に話していない事がある。これは君の命にかかわりのある事でもある」
「え?私の命……」
寝耳に水だった、私は治ったわけではなかったの?
「私が施した処置により君は魔力過剰蓄積症状からは回復したが、それにより一つの爆弾を抱える事になってしまったんだ」
「爆……弾……、私の体に何が起こっているんですか……」
突然の事に私は一気に不安になっていった、私はやっぱり死んでしまうのだろうか
「君の抱える事になるもの……それの正式名称は魔力枯渇欠乏症と言うものだ」
フィさんはゆっくりと説明しだした。