旅立ち
そんなやり取りの後、アカネは寝室で、ナイアは元いた場所で眠りにつき、そして朝にはそれぞれが朝食をとった。
アカネの朝食は昨晩のビーフシチューのの折をパンにつけて、ナイアは固形栄養食品を食べた。
そうして、アカネは愛刀紅霞を腰から下げ、玄関から外に出た。
そこは広大な荒野で、枯れ木や枯草は見えるが町のようなものは周囲にない。
どころか四方を見渡しても同じ景色が続いているだけだ。
「……ナイアぶった切る」
不穏なことを呟きながら、今後のことを考える。
町、街、村、集落、とにかく何でもいいから人のいる場所を。
そう考え、腰の紅霞を鞘ごと引き抜く。
そして地面に立たせて、手を放した。
「こっち」
紅霞がバランスを崩し、けたたましい音を立てながら倒れた方向に向かって歩みを進めた。
普段であれば刀にこのような仕打ちをすることはないが、この紅霞はナイアの力の一端らしく恐ろしく丈夫にできていると昨晩のうちに聞き出していたため手荒な扱いをしている。
またその頑丈さは、ナイア相手に実験済みなのでアカネも安心していた。
「……せいっ! 」
一時間ほど歩き続けたアカネは徐に紅霞を引き抜いて空間をたたききる。
そして出来た亀裂に手を突っ込み、ナイアを引きずり出した。
「その呼びだしかた本当に怖いんでやめてもらえますか! 」
ナイアは涙目になって抗議するも、アカネはどこ吹く風と口笛を吹いている。
その様子に早々にいうだけ無駄とあきらめたナイアはため息をついてから用件を聞こうと姿勢を正した。
「暇だった」
「あなた私より混沌の神向いてますよ」
アカネの言葉に、ナイアがすかさず突っ込みを入れた。
互いに淡々とした言葉でありながらも、簡潔だったために奇妙な空気がその場に漂う。
「旅飽きた。
もっとイベントとかないの」
「ありませんよ、あってたまりますか。
むしろ私と会ったことがエンカウントみたいなもんじゃないですか。
というか私にとってはあなたとの出会いがエンカウントみたいなもんですけどね」
ナイアのあまりな言動に、アカネは紅霞を構えるがナイアは一歩も引かない。
正確には並んで歩いているために引いたところで追いかけられてしまうので意味はない。
「まあ漫画やゲームじゃないんで大きな事件なんてのは起こりようがありませんけどね! 」
自信満々といった様子で言ってのけたナイアの、その後方から火球が飛んできた。




