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少女聖愛  作者: 玄一朗
2/2

接触


~回想~


女は怖い。いや、女性に限らず他人が怖い。もちろん全員が悪人なわけないし、その逆も然り。ただ、これっぽっちの罪悪感を感じずに他人を傷付ける人は多い。

それは無意識に行われるとても残酷な行為だ。責任の所在は曖昧で、十人が十人とも「そんなことで」とこちらを責める。誰かが責任を負うでもなく、心を痛めることもない。そして繰り返される。


人の汚いところばかり見た人間が、どう間違えれば人を好きになるのか・・・。人間は素晴らしいなんて言葉にどう感銘を受けるというのか。


俺の言葉がモテない男の言い訳と思うなら、貴方は充実した素晴らしい人生を歩んでいるのだろう。実際に俺はモテないしその通りだと思う。


そして、捻れた。歪んだ。


人生を投げ出す勇気もないから、怖くて嫌いな他人たちに溶け込んで生きてきた。いじめられることもなく、なんとか生きてきた。


その裏で美少女ゲームにどっぷりと浸かった。都合の良いゲームの世界。その中ですらさらに純粋で幼い少女がヒロインのゲームばかりを探した。


あぁ、小学生の彼女欲しいなぁ。




徹夜明け。日課のラジオ体操見物を終えて布団に入った俺の耳に、チャイムの音が聞こえてきた。無視したかったが、母親の客だったとしたら後々うるさくなるので、頑張って起きることにした。


「すいません、母さんいま留守で、」


そこまでいいかけて、訪ねてきた人が母親の客ではないとわかった。というか、麻衣ちゃんだった。俺が毎朝まいあさ窓から覗いてる小学生の麻衣ちゃんだった。


「あの、こんにちは」


こちらの反応を伺うように、はにかみながら麻衣ちゃんが言った。それだけで俺はなにも言えなくなってしまった。


「わ、私、麻衣って言うんです!」


「え、あっ、はい!」


「あぁ、そうじゃなくて、あの、お母さんに言われて、涼さんにお願いがあって・・・」


そう捲し立てると、彼女は俯いてしまった。慌てた彼女を見て、俺は少し落ち着いた。


「えと、俺に用があるってことだよね?よかったら上がっていきなよ、玄関じゃ暑いし、麦茶でもだすよ」


信じられないほど自然に言葉が出た。彼女が明るい笑顔を見せてくれたおかげで、自分が的外れでなかったことに少しほっとした。




彼女が言うには、うちの母親がラジオ体操のはんこ係を担当した時に彼女の携帯の着信音を聞き、それが俺の聞いている曲と同じだったので、そこの家でゴロゴロしてるからよかったら遊びにこいと言われたそうだ。

さすが田舎だ。本当に来る彼女も彼女だが。


「あのぅ、ご迷惑でしたか?」


麻衣ちゃんの困った顔も可愛かったので、俺は深く考えないことにした。

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