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誠意談義。


オリジナルであれ、二次創作であれ、書いたり読んだりする上でこれだけは、と思うものが私にはある。

それは「誠意」だと思う。


書き手であれば、読んでくれている人への誠意、応援してくれている人への誠意。

あるいは、自分の創作意欲を触発してくれたり、影響を与えてくれた人への誠意。

ときには、書くにおいて相談に乗ってくれた人への誠意。

二次創作だったら、元の原作者、あるいはそれに携わった方々への誠意、そして原作品そのものへの誠意。

読み手であれば、書いている作者本人への誠意、同時に自分以外の読み手への誠意。

この「小説家になろう!」のようなサイト上ならば、サイトを経営している方への誠意。


これさえ胸にあれば、大抵のトラブルは避けられるし、作品を書いたり読んだりしていても、誰かに不快感を与えるといったことはないはず、というのが私の考えだ。

逆を言えば、この誠意が欠損した作品や、作品に対する評価・感想は、一種の「冒涜」へと転落する。


読んでくれている人、応援してくれている人を大事にしない作品。

原作者、そして原作そのものへの愛が感じられない作品。

書き手がどんなに誤魔化して取り繕っても、「誠意の無さ」は必ず読み手に察知され、作品は見捨てられる。

そして、書き手の心境、作品へ込めた思いを完全無視して、言いたいことだけを一方的に並べる感想。

他の読者を攻撃するような遠慮のない中傷。

たとえ、書き手が感想・評価投稿者に対して敬意を払わねばならない立場だからといって、こういった「誠意を忘れた」読み手は、必ず書き手に不快感を与え敬遠させる。



私も今現在やっている二次創作は、そういった誠意の有無に左右される要素が多いと、日頃から感じる。

私は、二次創作は「扱う原作が好きだから」作るものだと思っている。

例えば、原作に対して「嫌いなキャラがいるから殺してしまえ」「この設定が気に入らないから改変しよう」というふうに考えて二次創作を手がける、というのは言語道断である。

時には、ある程度の補正をかけなければならないこともある。しかし二次創作はあくまで、原作を尊重し、その設定に則って手がけるべきだ。

そうでなければ、その「原作が好きで」、作品を見に来た読者が不愉快に思うだろう。

同時に、自分は元の原作者が最初に考えた世界観を"借りて"書いているのだということを自覚しなければいけない。だから、原作者への敬意は決して忘れてはならない。

そうなれば自然と、二次創作は原作を細部まで知り尽くした上で書かなければならない――

これが、ここ数年さまざまな二次創作に触れ、同時に執筆に試行錯誤してきた、私の結論である。


今でも他の作品を読んでいて、登場人物のキャラや性格描写が、原作からあまりにも逸脱していたり、元の設定・世界観をまるで無視して、ご都合主義というにも酷すぎる二次創作を目にすると、「この人はちゃんと原作を読んでいるのか?」と苛立ちすら覚える。

特に、原作の中で重要なアイテムや場所などの固有名詞が丸っきり間違っていたら、その作品の作者は「原作を"知っている"だけで、"読んでいる"わけではないのだ」と解釈し、ほぼ確実に読むのを放棄する。

オリキャラを登場させるにしても、やはり原作に溶け込めるような設定のキャラでなければいけない。そうでないものを無理矢理押し込めば、その二次創作は必ずといっていいほど完成度がガタ落ちする。


そしてこれは、二次創作に限らず、読み手に関してのことだが。

これは私のユーザー情報欄にも書いているが、私は好きな作品を見つけると、それに投稿された、他のユーザーの感想やコメントも読み尽くしたいという性分を負っている。

そうしていると、時々

「こんな言い方はあんまりじゃないか……」

と眉を顰めたくなるようなコメントにぶち当たることもある。

特に癪に障ったのが、ある二次創作の感想として投稿されていたもので、

「○○○(原作に登場するキャラ名)は出ないんですか?早く出してください」

という内容。

書き手には、作品を綴る上で練った予定やプロットというものがある。

原作のキャラを登場させるにしても、本人が「ここだ!」と考えるタイミングもある。

それを無視して一方的に要求するのはマナー違反ではあるまいか。

他にも、「~をしてほしい(or言ってほしい)」「~のシーンを入れてほしい」といった、ただの希望要望オンパレードな感想投稿者も見かける。

書き手には、読み手の希望や期待に応えるという義務はあると思う。しかし同時に、書き手自身の想像力に任せて、自由に作品を書き上げるという権利もある。

「自分が読み手である」という立場の優位性にかこつけて、次々と自分本位な希望ばかりを書き並べ、読み手を翻弄させるのは完全にマナー違反と思うのは、間違いだろうか?

私も何度か、読んでいた作品の今後の展開に対して「~が~したりするといいな」などと、作者に対する希望じみたコメントを書いてしまい、後日の更新でそれが実際に反映されているのを見つけると、希望が叶って嬉しい反面、作者本人に対してものすごく申し訳なく感じたことがある。

「本人の予定やプロットを無視して、勝手なことを」と思い、今でもなるべく発言には気をつけている。

また、本人に悪意はないとは分かっていても「これから~するってことでしょうか?」と、今後の展開や核心に対し、予想めいたことを書くのもどうか、と思ったりする。

作品は、「その後どうなるか」が分からないから楽しいのに、こういった予想を無闇に書くと、返信する作者本人も回答せざるを得なくなる。うまくぼかした答えもできるだろうが、それでも不十分なこともある。

そして、その感想と返信のやりとりが(このサイトでは特に)他の読者の目に触れることになると、その後のストーリーが読めて期待が半減する。

感想は「何を書いてもいい」わけじゃない。書き手の身になって、同時に自分の書いた感想を他者が読む可能性も考えて、投稿するべきだ。

誰に言われなくても、ルールとして明文化されていなくても、そういうのが「暗黙の了解」というものだと私は思う。



ものすごく偉そうなことを長ったらしくつらつら書いている、と自分でも思う。

多分、矛盾も破綻もした主張だろうし、ここで言っていること全てが絶対に正しいわけでもないだろう。

しかし書きながら、私は同時に不安にもなっている。

実際、ここで書いた内容に、私自身はちゃんと即して作品に触れているだろうか?と。

ただ自分では「そのつもり」なだけで、実は第三者から見たら、書き手としての誠意にも読み手としての誠意にも反した言動をとっているのではないだろうか?

自分で作品を執筆していても、他の作品を読んでいても、いつもこんなことばかり考えている。




(初出・2009年11月18日付報告記事「大事なこと。」より)



補足

記事内で触れた、感想欄での一方的なキャラ出演強要の件には、さらなる続きがある。


「○○○は出ないんですか? 早く出してください」と強く要望。

 →すぐ後日の更新で、実際にそのキャラが登場させられる。

 →しかし、要望を言った本人はそれに関して全く触れずに感想投稿。


「一言お礼くらい入れなさいよ……絶対に無理して出したぞ、この作者……」

と、見た瞬間に目元が引きつりました。

せめて「希望に応えていただきありがとうございました」「○○○が登場してうれしいです!」とでも添えればいいものを、まるで「出して当然」と開き直るかのような我が物顔。

私の中で「ハラワタ煮えくり返るモラルハザード・ワースト5」の上位にランクインした最悪のパターンでした。まじでふざけるなと思いました。



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