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第三話:犠牲の代償

和司は困惑していた。あの男が邪魔しなければ、確実に止めを刺せていた。

そんなことを思っていると、バイクがこっちに向かってくる。バイクはライスコーピオンの背に乗り上げ、男は和司の右腕を引っ張った。和司は引っ張られ、ライスコーピオンの背中から転げ落ちた。

「何をするんだ!」

和司は男に向かって怒鳴った。あと少しで止めを刺せたのを邪魔した挙句、ライスコーピオンの背中から引きずり落とすなんて。男は黙ったままだった。

男はバイクから降りると、背中に背負っていたモスバーグM590を取り出し、構えた。ライスコーピオンはこっちの方を向く。銃口から火が噴き出す。銃弾はライスコーピオンの装甲に命中し、兆弾する。男は全弾撃ち終えるとモスバーグM590を捨て、腰に装着してあったシグザウエルP299を構えた。ライスコーピオンは鋏を振りかざし、男は鋏を華麗に避けて引き金を引いた。銃弾は寸分の狂いも無く露になった梅干に命中した。

核である梅干が砕けると、ライスコーピオンは呻き声を上げ、その場に倒れる。鋏と尾はだらんと垂れ下がっていた。

「あんたは何者なんだ?」

和司は男に聞いた。

「俺を忘れるとは和司もひどいなぁ」

男はそう答えるとフルフェイスのヘルメットを取った。その顔は見覚えのある顔である。

「リョ・・・スケ」

和司は驚きを隠せなかった。リョスケは二年前のコメシスとの闘いで行方不明になっていたはずだ。どうやって俺達がいるサハラ砂漠まで来たのか。

「全くあんな無茶して悪かったな。ライスコーピオンが尾で和司を刺そうとしていたからな」

あの時銃弾でナイフを弾いたのは俺に危険が迫っていたことを知らせるためだったのか。

「今回の闘いは犠牲が大きすぎた。二人死んじまった」

和司は悲しそうに呟く。純も和磨も死ぬなんて。

「いや一人だ」

リョスケは言った。

「どういうことだ?」

和司は涙ぐみながら聞き返した。

「純は助けられなかったが、和磨を助けることはできた」

この朗報に和司は少し救われた。和磨は生きていたのか。

「こっち着いて来な」

リョスケの言われた通りに着いて行く。

リョスケが立ち止まった家に入ると、家の奥にはうつ伏せになって背中に包帯を巻いた和磨の姿があった。怪我はかなり酷いが命に別状は無いようだ。

「さあ、早く皆を呼んでくるんだ。和磨はここから動かせないしな」

和司はリョスケに言われたとおり、皆を呼びに行こうとした。

「それと純の墓を作らないといけないな」

リョスケの一言を聞いた和司は、初めての犠牲の大きさに痛感した。

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