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4

 サーロインは警察官数名を爆破し、

 警察署も爆破し、

 爆速ターボで牛尾中学校へ向かう。

 今は夜だが、グラウンドにはあの二人がいるはずだ。そしてその片割れこそが

「サカ神シノブ……‼ 待っていろよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」

 サーロインはフル勃起してフルバーストする。千両くんといい、シノブには男子を勃起させる性質があるようだ。


「タイラーインパクト‼ タイラーインパクト‼」

「シノブストリーム‼ シノブストリーム‼」

 平はシュート、シノブはドリブルの練習だ。

「いやあ、この乗りも懐かしいな」

「ね。原点って感じがするよね」

「ああ。俺達の始まりだよな」

 そう、平とシノブの物語の始まり方は、大体こんな感じだったのだ。

「いや、終わりだよ」

 そこにサーロインが割り込み、雰囲気を台無しにする。爆風を纏う全裸の少年の召喚に、平とシノブはスタンバイフェイズを余儀なくされる。

「ドロー‼」

「いや、遊戯王の要素はない。俺はただ、お前と融合したいだけだ」

「融合カード⁉」

「いや、そういう意味じゃない。青髪と融合して、究極のモンスターに」

「青髪の究極龍⁉」

「いや、ブルーヘアーアルティメットドラゴンとかではない」

 シノブとサーロインの漫才を横目に、平は焦る。

「いや、マジでやべえぞシノブ‼ こいつ、爆風を纏っていた‼ 全裸だし『成り』を使えるんだ‼」

「成りだけではないぞ平。その気になれば『宮』にだって多分成れるだろう」

「マジですか! ありがとうございます!」

 サーロインが平の師匠になってしまった。

「いや、俺はお前の師匠ではない。というより、死ぬか?」

「とうとう正体を表しやがったぜ!」

「いや、さっきから表していたが」

 そこでサーロインは爆風を纏い、爆破宮へ変身する。その途轍もない爆風の嵐に、シノブと平はガチでチビる。

「やべえぞシノブ‼ 俺らもアレになるんだ‼」

「うん‼」

「アレ?」

 二人の衣服は同時に弾け飛ぶ。

「神成りか。下らん」

「まだだぜ」

「?」

 そこから平は電撃を、シノブは疾風を纏い

「雷と風か」

「まだだぜ」

「?」

 そして二人は融け合い、

 嵐神ハロー・ヒッキーへと変貌する。

「成り同士の合体か。まあそれなら、宮に近い力を引き出せる。俺と戦う資格くらいはあるか。よし」

 しかし、爆破宮は嵐神を

 即座に爆破し、二人は成り以前の元の状態に戻った。

「無理やろ。こんなん。勝てんやん」

「アシトか? まあお前らなどアオアシだ。ブルーロックには勝てんさ」

 そしてサーロインはシノブを吸収しようと、

 彼女の衣服を乱暴に剥いでいく。

「これ、どうすれば吸収できるんだ?」

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」

「挿入すれば良いのか?」

「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」

「うるさいな、お前」

 サーロインは平を爆破する。その現場を目撃した

「何しとるんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 サクマヒメの隠していた感情は悲鳴を上げている。

「サクマヒメか。サッカー転生の名物キャラ。平やシノブを食う人気キャラで、貧乏神のような存在だな」

 相変わらず桃太郎電鉄で比喩するサーロインだが、サクマヒメは桃太郎電鉄ごっこをしている場合ではない。平が、キャプテンが、友達が爆破されてしまったのだ。サクマヒメの純情な感情も爆発する。

「サクマモン、超進化ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「人は進化しない」

 しかし、その瞬間大地が震えるような衝撃を、

 サーロインが、シノブが、

 全人類が受ける。

 サクマヒメの衣服は弾け飛び、

 股間から小さな世界樹が生える。

「世界樹成りか」

 しかし、その世界樹がどんどん肥大化していき、

 まさに世界樹とでも称すべき超大樹へと変貌した。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「これは、原罪か。差し詰め、『サクナヒメの原罪』」

「ん? 何だこれ?」

 平は蘇生された。

「馬鹿な、生命を与えた……? 命に干渉する力……? ま、まずい……‼」

 そしてサクナヒメの原罪は、

 サーロインに正しい死を与えた。


 サカ神シノブ

 とある魔術の禁書目録の原罪

 とある科学の超電磁砲の原罪

 西のオフサイドの原罪


 平京崩

 おれはキャプテンの原罪

 ブルーロックの原罪


 サクマヒメ

 サクナヒメの原罪

 ドラゴンクエストの原罪

 進撃の巨人の原罪


 春麗ウラララ‼

 ドラゴンボールの原罪

 進撃の巨人の原罪

 幽遊白書の原罪


 羽葉堂綾乃

 はねバドの原罪

 ソードアート・オンラインの原罪


 七瀬虹子

 ブルーロックの原罪

 ソードアート・オンラインの原罪


 佐々木貴志

 進撃の巨人の原罪

 夏目友人帳の原罪

 ワンピースの原罪

 有吉の壁の原罪


 千両勘吉

 ブルーロックの原罪

 こち亀の原罪


 哀空

 ブルーロックの原罪

 デスノートの原罪

 名探偵コナンの原罪


 ズリネ田スカト郎

 デスノートの原罪

 名探偵コナンの原罪

 ルパン三世の原罪


 空久貴央

 天久鷹央の原罪

 ドラゴンクエストの原罪

 デスノートの原罪

 保健室の死神の原罪


「何かアレ思い出すな」

 という平に

「アレ?」

 と聞き返すシノブだが、

「ああ。タイガーアンドバニー」

 平の返答は呑気なものだった。その気怠さで攻略していくのだ。サッカー転生を。


「何だ、この空間は。俺は死んだのか?」

 戸惑う平に

「平くん」

 全裸の美女が話し掛ける。

「誰だ⁉ お前は‼」

「私はフールバスト・フルバースト。人造人間フルバーストシリーズを製造している博士だよ」

 馬鹿乳全爆発。成る程、確かに爆乳だ。平はついつい豊かな乳房を揉んでしまう。

「あ、君も、あ、物好き、あ、だな、あ」

「ちゃんと喋れよ‼」

「あ、ど、あ、Sか、あ、君は、あ」

 何となく罪悪感が目覚めた平はフルバースト博士を適当に逝かせ、

「で、何の話だ?」

 とすぐさま話を摩り替える。

「はあ、はあ、変態変態と思っていたが、はあ、ド変態か君は、はあ」

 フルバースト博士はしばらく話せないようなので、場面転換して全裸待機する。


「で、何の話だ?」

「ふ、原罪の話さ」

 さっきまではあはあ言っていたのに、いきなり格好を付けるフルバースト博士に

「食らえ‼」

「あ、あ、あ」

 少し苛ついた平の追撃が始まる。またしばらく喋れなくなってしまったため、場面転換して全裸待機する。


「つまり、サクマヒメにはサクナヒメの原罪が目覚めた、と」

「そうだ。何で君は全く説明してないのに正しく理解できるんだ?」

「読んだから」

「過去回を読み返すな‼」

 フルバースト博士は平からスマホを没収する。

「俺はおれキャプとブルロって書いてあったな」

「ああ、その二つに目覚める可能性が高い。というより今から目覚めてもらう」

「え?」

「私が目覚めさせてやろう」

「え、ちょ、ま」

 全裸のフルバースト博士は平の身体をまさぐる。

「まずはステータスの確認だ。やはりシュートが武器なだけあって、脹脛の筋肉が逞しいな。膝も強靭だ」

 平は全身をまさぐられ、

「何かシノブを思い出すな」

 シノブを思い出していた。この無垢な探求心には厭らしさは微塵もなく、ただただ好奇心に燃えているのだ。子供のように。サッカーという競技は思ったよりも幼稚なものなのかもしれない。球を蹴るだけで世界は広がるのだから。

「お、玉がたぷんたぷんだな。出してやろうか?」

 男というものは思ったより単純なのかもしれない。玉を愛撫されるだけで新世界へ逝けるのだから。


「みんなでウラララ‼ の家に行くんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「ウラララ‼ の家?」

 サクマヒメの宣言に、平は首を傾げる。確かに興味深いが

「いいの?」

「ええと、良かったら来て下さい」

「いねえよなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「何が⁉」

「行きたくない奴……いねえよなああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ⁉」

「春麗潰すぞ‼」

「潰さないで下さい‼」

 平の怒号に呼応したシノブだが、ウラララ‼ がガチでチビるので適当に流しておく。絡まった会話は取り敢えず流しておけばいいのだ。


「あらあら、この方達がウラララ‼ ちゃんのサッカー部の」

「俺は……この人と結婚する‼」

「千両くん⁉ どうしたんですか⁉」

「ああ、いや。あまりに理想のヒロインすぎて……」

「あらあら、ヒロインだなんて」

 ウラララ‼ の母親春麗アラララ‼ は照れる。

「クハハ、初見で告るとかブッコみすぎだろ」

 ウラララ‼ の父親春麗麗悟は爆笑する。麗悟は総資産0円の状態から起業して一兆ドルを稼いだトリリオンゲーマーだ。

「悪りぃけどこいつぁ俺の嫁だからよお」

「あらやだ、麗悟さん」

 麗悟はアラララ‼ の身体を抱く。おまけに胸も揉みしだく。

「なら俺もだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 千両くんはアラララ‼ の下半身を攻略する。スカートを捲し上げ、パンツを脱がしていく。

「そこまでですよ、千両くん」

「ええ⁉ せっかくまんこ見えたのに‼」

 ウラララ‼ は千両くんのセクハラ攻撃を静止する。千両くんは精子を静止する。我慢汁で床を濡らしたため、メイドのロッテンマイヤーさんが床と千両の股間を掃除していく。

「クハハ、面白え奴らじゃねえか、ウラララ‼ よお‼」

「うん、今の所面白いのは千両くんだけだけど」

「そうだ、サクマヒメファームに面白い野菜が生えてたぞ‼」

「本当か、麗悟さん!」

 麗悟の言葉にサクマヒメは興奮する。そう、ウラララ‼ の親友であるサクマヒメは定期的に春麗邸に来ているのだ。それゆえ、サクマヒメファームなるサクマヒメの牧場みたいな場所も作らせて貰っているのだ。

「みんなでサクマヒメファームに行こう‼」

「サクマヒメファームかあ」

 サクマヒメの牧場。そこには一体何があるというのだろうか。見たいような見たくないようなよく分からない感覚に包まれた平達は、取り敢えず次回へ持ち越す。オチに困った時は取り敢えず次回へ送ればいいのだ。


「お、うまそう」

 サクマヒメは自身にくっついてきた子豚を抱き上げる。

「食べるのか?」

「いやいや、古典的な返しじゃのう」

「古典的なネーミングだからな」

「お前らあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼ うまそうを食べるのかああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ⁉」

「いやだから食べないって。え?」

 誰だろうか。大声を出した人物はサクマヒメではなく、長髪に上半身裸の原始的な少年だった。

「ジヌシィじゃ」

「サクマヒメええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼ 誰だよこいつらあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「私の友達じゃ」

「よしよし」

 シノブがジヌシィの頭を撫でると、ジヌシィが気持ち良さそうに顔を歪める。

「お前、女だけど良い奴だな!」

「お前もな!」

「俺ジヌシィ! 好きなだけ見て行ってくれよ!」

 NHKアニメみたいな速度で友達になってしまった。ナディアが観たい気分だ。

「くええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼」

 ドランゴも元気そうだ。そしてしばらく見ない内に大分大きくなった。背中に乗っている全裸の少女は誰だろうか。

「あの原始少女は?」

「ラナだ」

「超能力者じゃなかったっけ?」

「ああ、だから『恐竜と心を通わす超能力者』という設定だ」

 平に適当に説明するジヌシィだが、ラナはそういう扱いで良いのだろうか。メインヒロインの割には扱いが雑な気がする。

「コナンは?」

「まだ続いてるよ」

「いや、名探偵の話じゃなく」

「ああ、未来少年の方か!」

「何でお前が他人事なんだよ!」

 自作愛のないジヌシィにツッコむ平だが、全裸でドランゴを乗りこなすラナを見ていたらもうどうでもよくなってきた。

「てか、お前は良いのか?」

「何が?」

「いや、もう他の連中ブルーロックコーナーに向かったぞ?」

「いや、そんなUSJみたいな」

 しかし、その言葉を理解して平は心が震えた。まさかブルーロックを春麗コーポレーションの最先端技術で再現したというのだろうか。サクマヒメファームになどいる場合ではない。

「俺も行くよ、じゃあなジヌシィ!」

「ああ、また来てくれよ!」

「ああ、またな!」

 陽気に大手を振るジヌシィに、平は適当に会釈を返す。ジヌシィはアニメ通り良い奴で少し心が温かくなったが、平はそれ以上に熱く燃える世界を体験しに行く。世界一熱い場所にしか世界一のストライカーは生まれないのだから。


「潔‼ ここは俺に任せて先へ行け‼」

「イガグリ……お前……」

「イガグリだけじゃねえぜ」

「國神‼ 千切‼」

「世界一の夢は……お前に託す‼」

「行け、エゴイスト‼」

「マジ最高かよお前ら……」

 潔は仲間達を後にし、最終選考へと進む。


「おめでとう、才能の原石。いや、鉱石といったところか」

「来たぜ、絵心さん‼」

「ああ、ここが最終選考の戦場だ。お前にはこれからこいつと戦ってもらう」

 絵心さんが示す方向には、ブルーロックマンがいた。

「あれはブルーロックマン。ではなく、アルティメットエゴイストだ。俺が思い描く理想値を設定してある。今からアイツと1on1だ。百球の内、一球でもゴールを奪えればお前の勝ちだ。そしてその時点でブルーロックプロジェクトは終焉し、お前は世界一のストライカーとして日本代表に加えられる」

「やべえ、いよいよか」

「潔世一。お前は今までの選考で確実に強くなったが、ここで負けたら全て振り出しだ。心の準備は良いか?」

「ああ。早く始めようぜ絵心さん。とっととクリアしたくてワクワクしてるよ」

「その意気だ、エゴイスト」


「くそ、何でブルーロックマン如きに」

「アルティメットエゴイストだ。アレは恐らくノエル・ノアより格上だぞ」

「ノエル・ノア。世界一のストライカーになるためには」

 ノエル・ノアすら凌駕しなければならない。それは潔も分かってはいるのだが、

「くそ、勝てるビジョンが浮かばない‼」

「考えろ、挑め、諦めるな。お前なら解けるはずだ、このラストパズルを」


「パラメータが……違い過ぎる‼ 俺の身体能力では、如何に戦略を練っても、考えて動いても、地力の差で確実にヤラれる‼」

 今までは何かを閃いて、それを実践したら何とか上手く転がって、それが勝利に繋がってようやくここまで来られた。しかし、自分より明らかに高い能力設定の、しかも外的要因もない1on1では策略の介入する余地すらない。凪のトラップや千切のスピードみたいに、圧倒的な才能は潔にはない。そもそも潔のダイレクト技術は、他者からのパスがないと成立しないのだ。

「1ゴール、一発でイケるのに。その一発が、壁が、高すぎる‼」

「潔世一。お前はこれまでの戦いであらゆる技術を培ってきた。それならば、それら全てを応用させ発展させれば、1ゴールを奪うことは不可能じゃない」

 絵心のアドバイスに、潔はまた一から思考する。潔の武器は超越視界にトゥーガンボレー。しかしトゥーガンボレーはパスの来ない今は使えない。超越視界も今使っても特に意味はない。いや、俺はダイレクトシュートに拘っていたが、普通のシュートならどうだ。ダイレクトでなければゴールを奪えない訳ではない。ただ、ダイレクトの方がゴールの確率が高いというだけだ。ボールさえ奪えれば、俺のシュート技術でも1ゴールくらいならイケるんじゃないか。いや、待てよ。

「そうか。俺のトゥーガンは」

 パスが来ないとトゥーガンボレーを撃てない。というのは勝手な先入観だ。


「敢えてポストを狙って。疑似的なダイレクトシュートを⁉」

「これが俺の培った全てだ‼」

 潔のダイレクトは決まり、最終選考をギリギリで切り抜けた。

「おめでとう、才能の鉱石。これでブルーロックの全選考が終了した」

「これで俺は日本代表の……世界一のストライカー⁉」

「ああ。まあそれは今後のお前の努力次第だがな。ブルーロックプロジェクトは終わったが、プロとしてのお前のサッカーはまだ始まったばかりだ」

「プロ、か。よし、よし!」

 潔はガッツポーズする。これでブルーロックプロジェクトは全て完了した。


「と、ここまでで最終回予想アニメ上映会終了です」

 とウラララ‼ がまとめ、シノブ達はようやく現実へ帰って来られた。

「いやあ、泣ける~」

 シノブはガチで感動してしまった。

「俺は途中からだったけど、結構熱かったな」

 平も適当な感想を投げる。

「ワシはもうこれ百回くらい観たがのう」

 サクマヒメは欠伸する。まあ三者三様だが、なかなか満足して頂けたようだ。ウラララ‼ はほっと一息し、

「いやあ、安心しましたよ。アニメ作るの初めてだったので」

「お前が監督⁉」

 監督 春麗ウラララ‼ と大きく表示される。その後に

 制作 春麗コーポレーションと出る。

「私の夢、アニメ監督になることなんですよね」

「意外な夢だな。春麗コーポレーションは継がないのか?」

「継ぐのも悪くないんですが、お父さんが好きなことやりなさいって」

「良いお父さんだな」

 ジヌシィで温かくなった心がブルーロックで燃え、また温かくなる。やはりサッカーやアニメは我々の心を強く揺さぶる。ゴールネットのように。


「聖頑宮さんエロいよなあ」

「頼めばヤラせてくれそうだよなあ」

「ん? ヤリたいんですか?」

「せ、聖頑宮さん‼」

「ヤリます?」

 そう言い、聖頑宮さんはモブの手を自身の豊かな乳房へ当てる。

「揉んで下さい」

「は、はい」

「良いなあ」

「貴男はもう片方の乳房を揉んで下さい」

「俺達は?」

「尻でもマンコでも腰でも、手触りでも見抜きでもご自由に」

 大盤振る舞い。エロの大盤振る舞いだ。しかし、これは聖頑宮さんの頭がおかしくなったから起きている現象ではなく、聖頑宮さんの頭が正常だからこそ発生している症状だ。つまり、彼女はヤリマンなのだ。頼めばヤラせてくれるし、頼まなくてもヤラせてくれる。

「加わりたい人どんどん来て下さい‼ マンコ急募‼」

 そう言うと、他の女子も性欲に負け加わる。これが聖頑宮さんの神域展開だ。彼女の神域に入ってしまったものは、皆エロい気分になりエロい行動を起こしてしまう。エロ同人的神域、紅葉O神洞だ。

「マンコ足りて来ました‼ どんどんイカせて行きましょう‼」

 マンコの数が足りてきたため、聖頑宮さんの回転率が爆上がる。聖頑宮さんは男子生徒一人一人を丁寧にイカせていく。満足してもらわないとエロではない。エロは嫌らしいものではなく好まれるものでなければならない。それが聖頑宮さんのエロ哲学だ。

「ヤリたい人どんどん来て下さい‼ 男子も女子も‼」

 ヤリたい奴にはヤラせてやる。それこそが聖頑宮さんの心意気なのだ。


「私は聖頑宮槍子‼ 私をサッカー部のマネージャーにして下さい‼」

「ああ、いいよ」

「平くん‼」

 あっさり了承した平の手を、聖頑宮さんは自身の豊かな乳房へ当てる。

「揉んで下さい」

「ああ、うん」

 平は聖頑宮さんとクラスメイトであるため、彼女の性質を熟知している。彼女が「揉んでくれ」と言った場合は、本当に揉んで欲しいのだ。そこに善悪や好悪、駆け引きは介在しない。純粋なエロの求道者であり伝道師なのだ。

「何か聖頑宮さんって、シノブとウラララ‼ を掛け合わせたようなキャラだよな」

「トリリオンゲームのハルくんみたいな」

「ああ、アイツは龍水とゲンらしいからな」

 平は聖頑宮さんと適当な会話を交わす。そう、彼女は全く話が通じないタイプではない。こういうオタクトークにも対応してくれるタイプのエロ娘なのだ。

「しかし、何でサッカー部のマネージャーになろうと?」

「そ、それは、その」

「?」

 恥ずかしがる聖頑宮さんだが、彼女に羞恥するようなことはあるのだろうか。聖頑宮さんは比較的分かり易いキャラ造形だが、こういうところは平にはよく理解できない。いや、平だから理解できないのだ。何故なら聖頑宮さんは

「平の彼女じゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「お、サクマヒメ」

「サクマヒメちゃん」

 聖頑宮さんはサクマヒメを抱っこする。いや、ぬいぐるみじゃないんだから。

「聖頑宮さんは平の彼女なのか?」

「い、いや、まだ、その」

「まだ?」

「あ、いや、違、その」

 聖頑宮さんはサクマヒメに追い詰められる。平はまだまだピンと来ない。彼は令和を生きる超鈍感系ラブコメ主人公なのだ。

「マネージャーになってくれるってよ」

「本当か⁉ じゃあ野菜の栽培手伝ってくれ‼ あとモンスターズのレベル上げも‼」

「は、はい!」

 サクマヒメは聖頑宮さんを便利屋みたいに扱うが、それに応えてくれるのが聖頑宮槍子だ。彼女はサービス精神の塊なのだ。そして門倉翼もサービスシーンを多用するため、聖頑宮槍子と門倉翼は同類なのかもしれない。神のような力を人間界で発揮し、空の上から愛の種を撒き散らす、旧時代の天使なのかもしれない。段々と心惹かれていくのだ。何故ならこの小説自体が、この星の希望の欠片なのだから。きっと誰もが


「聖頑宮さん、これ」

「これは?」

「いつも野菜の栽培やモンスターズのレベル上げを手伝ってもらっておるから、そのお礼じゃ」

 と言い、サクマヒメはキュウリとナスの中間みたいな野菜を聖頑宮さんに手渡す。有難く受け取る聖頑宮さんだが

「まあ後で食べてみてくれ。後でな」

「は、はい」

 サクマヒメは何となく「今」ではなく「後」の方が美味しい気がしたのだ。野菜がではなくシチュエーションがだ。


「つまりうめえ飯をいっぺえ食べると強くなれると」

「何かお腹空いたなあ。そうだ」

 御供先生の気功学を聞いていて空腹に気付いた聖頑宮さんは、鞄に入れておいた例の野菜を取り出す。それを躊躇いなく頬張ると

「ん? んん?」

 股間がもっこりしてしまう。いや、聖頑宮槍子は女子であって、もっこりするような異物は生えては。ああ、成る程。そういう効果のある野菜だったのか。と聖頑宮さんはエロ同人的思考転換で即座に理解する。しかし、まずい。フル勃起状態だ。これではまるで変態ではないか。さすがの聖頑宮さんも少し焦る。

「あの、先生、ちょっとトイレに」

「便所ならここですれば」

「行ってきます」

 野生児的な発想の御供先生を他所に、聖頑宮さんはトイレへ向かう。しかし、女子トイレに入るべきか男子トイレに入るべきか。いや、待てよ。

「ここは」

 状況に甘えるか。男子トイレならば、念願のアレが出来るではないか。幸い、今は授業中で誰もいないはずだ。

「よし、誰もいない」

 聖頑宮さんは爆発しそうな男性器を解放する。これだけで我慢汁が熟練の強化系念能力者の如く溢れ出してくる。

「じょぼ、じょぼぼ」

 心なしか、いつもよりも量が多いような気もする。いや、立って小便などいくら聖頑宮さんでも経験は。経験はあるが、それは女性器での話だから、男性器だとやはり違う。勢いが、気持ち良さが。

「はあああああああああああああああああああああああああ、至福ううううううううううううううううううううううううううううううううううう」

「俺も至福だぜ馬鹿野郎‼」

 久々のズリネ田くんも喜んでいる。

「はあ、エロいねえ」

 隣の哀空もまた喜んでいる。やはりエロというものは皆を幸せにするのだ。エロからしか人間は始まらないのだから。


「ウンコ漏れそう( ゜д゜)ウム」

「誰この眼鏡デブ?」

「失敬な! 底辺の番人米吉有無麻呂様じゃ!」

「お腹空いた( ゜д゜)ウム」

「確かに底辺っぽいけど」

「ワシはこやつのお陰でテストで最下位にならんから重宝してるんじゃ!」

「彼女欲しい( ゜д゜)ウム」

「何か色々残念な奴だな」

 平は米吉を抱き締めようとしたが、体臭がきつかったので無理だった。

「サッカー部に入りたいんだろ? 聖頑宮さん目当てだな」

「凄いな、ご名答じゃ」

「てかそれしかないだろこんな奴」

「オナニーしたい( ゜д゜)ウム」

 米吉はチンコを丸出し扱き始める。願望の塊のような気持ち悪い人間だ。

「こいつをボコボコにして目を覚まさせるか」

「それは良い手じゃ」

 平とサクマヒメは米吉をボコボコにする。

「痛い( ゜д゜)ウム」

「痛くしてるからな。少しは直ったか?」

「ウンコ漏らした( ゜д゜)ウム」

「駄目みたいじゃな」

「この人間ゴミをどう処分すべきか」

「ボコボコにすんなら手伝うぜ!」

 千両くんはノリノリで加わる。三人でボコボコにしてみるが

「痛い( ゜д゜)ウム」

「ヤバいな。筋金入りだ」

「駄目人間の極み」

「ゴミじゃな」

 米吉はXに自撮りをアップする。

「うわ、こいつ自分のキモい顔を世界に!」

「限界人間の最低行動の一つ!」

「クズという言葉では言い表せない人間失格!」

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 壊れてしまった米吉はサクマヒメに襲い掛かるが、

「ぐわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 普通に力で返り討ちにされてしまった。

「何がしたいんだ、このゴミ」

「力で女子に負けるって」

「全く力込めてなかったぞ今」

「腕が折れたああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 米吉は腕が折れたらしく、じたばた暴れる。しかし、

「折れてなくね?」

「いちいちうるさい奴じゃのう」

「限界人間だなマジで」

 米吉に呆れる三人だが、まあそれも致し方ない。米吉は駄目人間であり、それを理解しながら改善しようとしないゴミ人間なのだから。サッカー転生に転生要素は薄いが、彼を転生させてみたらどうなるか試してみるのを良いかもしれない。と思った三人は米吉を殺し、死体をバラバラに分解して絶対にバレないように処分してみた。しかし、米吉の死を喜ぶ者こそ多かったが、悲しむ者は全くいなかった。まあそれも当然だろう。その理由はこの話を読んだ人やモデルの人物を知っている人ならば察せられるだろう。本当に生きている価値がないと思うから、この小説で一旦殺してみた。今後この事件がこの物語にどう絡むかは期待していてほしい。

「行こうぜ、サクマヒメ、千両先輩!」

「ああ!」

「うん!」

 平は二人の共犯者と共に、光の道を歩んでいく。闇を葬ったからこそ進める、神へと通じる聖なる道路を。


 サクマヒメのミラクル野菜を食べ、チンコが生えてしまった聖頑宮さんは、

「はひょおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 男子トイレで小便に耽っていた。しかし、そこに

「あれ? 何で聖頑宮さんが?」

「え? 平くん?」

 平が大便室から出てきた。彼はお腹の調子が悪く、しばらくトイレに籠もっていたのだ。花子くんのように。地縛ではなく自爆してしまった聖頑宮さんは、

「あめええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええじんぐううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううううう」

「あ、手品か。て、いや、そうはならないだろ」

「私は聖頑宮じゃないです! 千両先輩です」

「さらっと千両先輩売るなよ!」

 テンパる聖頑宮さんだが、しかしこれはどう切り抜けるべきだろうか。これではまるで聖頑宮さんはド変態ではないか。いや、ド変態ではあるのだが。ド変態ドストレートドストライクバッターアウトでもうゲームセットしてしまいそうだ。人生が。聖頑宮槍子の学校生活が。

「お、ちんこ生えてる。あ、サクマヒメの野菜か!」

「はい」

 聖頑宮さんは渋々白状する。しかし、ちんこが生えたからといってこんな変態活動をしていい訳ではない。ヘンカツは良くない。

「まあ女子がちんこ生えたら嬉しくて男子トイレで立ちションしたくなるよな! 俺も女になったら絶対女子トイレや女湯に入るし!」

「平くん‼」

 聖頑宮さんは確信した。平京崩のこういうところに、心底惚れ込んでいるのだと。

「聖頑宮さん、オナニーしたことある?」

「え、いや、その」

「オナニーバトルしようぜ‼ 早抜き早抜き‼」

「は、はい‼」

 平と聖頑宮さんは男性器を露出させ、隣り合う小便器向かって最高最大にシコり耽る。聖頑宮さんにとっては夢のような時間だ。男性器でのオナニーが気持ち良いから、というのも勿論あるが、それ以上に想い人とこういう悪ふざけが出来るというのが、まるで

「楽しいだろ、聖頑宮さん」

「は、はい! 負けませんよ!」

 平と聖頑宮さんは思いのままオナニーに耽る。やはり自慰行為というものはサッカーと親和性が高いのかもしれない。そう、ジーコ。


「伝説のキャプテン原京平‼」

「岩窟王青野龍聖‼」

「根性の羽生進‼」

「西牛尾時代のビッグ3が来たぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」

「やあ、平京崩くん」

「アンタが、あの原京平‼」

「おや、ご存じかい?」

「当たり前だ。西牛尾時代の伝説のキャプテンじゃないか」

「光栄だね。そして今牛尾中のキャプテンは君、平くんだ」

「ああ、原さん」

「分かっている。今から俺らビッグ3と」

「勝負だ‼」

 相手が三人だから、こちらも


 平京崩

 サカ神シノブ

 サクマヒメ


 というクロノトリガーで言うところの


 クロノ

 魔王

 カエル


 みたいなロマン溢れる定番な布陣で行かせて頂く。

 そしてビッグ3と3on3へと洒落込むが、しかし

 全く歯が立たない。

 敵わない。

「くそ、強すぎ」

「いや、君達も十分強くなったよ、2、3、4と積み重ねてきてね。ただ」

「その間にアンタ達も」

「ああ。俺はバレー部、青野はバスケ部、羽生は剣道部でそれぞれ別系統の技術を手に入れていたんだ」

「サッカーを極めた上で、また別系統の技術を」

 これは、まあ敵わないのも致し方ない。と平は認めざるを得ない。サッカーだけじゃないからこそ、サッカーしかない平達には異次元の化物のように感じるのだ。

「いやあ、君達の活躍ずっと追っていたんだけど、面白かったよ。人によっては一部より二部三部のが面白いという人もいるんじゃないかな」

「四部は?」

「正直ネタ切れだろ。てか、僕達を出すくらいだから、もうこのシリーズは本格的に畳むべきだ。別にこれが終わったからといって」

「ああ。柊沢メルエムのアイデアが尽きることはないし」

「そう。またこれのネタを思いついたら、いつからどこからでも書き進められる。それが柊沢メルエムの強みであり、トップクリエイターの特権だ」

「終わりか。俺達の」

 サッカー転生は。サッカーは転生する。何度でも生まれ変わる。そこに熱量さえあれば、いくらでもどこからでもいつからでも書き進められるのだ。それが人生であり、物語だ。いつ終わってもいいし、いつ始めてもいい。走り出せ、前を向いて。すぐじゃ無理だと思うのならば、少しずつで良いのだ。人間を始めよう。

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