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「どうも、羽葉堂綾乃です」

「七瀬虹子だっぺ」

「今日は私達不人気コンビによる緊急会議を執り行います」

 羽葉堂と七瀬は不穏な会議を始める。

「いやあ、羽葉堂さんは私よりキャラ立ってる気がすっぺ」

「いやでも、七瀬さんのが古参じゃないですか」

「いやあ、元ネタがそもそも不人気だっぺ」

 そう、七瀬虹子の元ネタはそもそも語る要素が少ない。それゆえ、七瀬を活躍させるのは難しかったのだ。

「何かまともに喋るシーンほぼ無かった気がするっぺ」

「確かにその喋り方も割と新鮮に感じるけど」

「羽葉堂さんは最初のシノブさんとの漫才が強烈だったっぺ」

「まああの時は作者もノリノリだった気がするよね」

 羽葉堂と七瀬は羽葉堂の初登場シーンを思い返す。そういえばあの時の原寛貴はなかなかに乗っていたような気もする。原寛貴は大体4話目くらいから加速するのだ。1~3話は肩慣らし的になりやすい。

「しかし、『サッカー転生』シリーズもいよいよ三作目か……」

「『フィギュリップ』も三作目突入したっぺ」

「サッカー転生とフィギュリップは原寛貴の代表二作だよね」

「大看板だっぺ。ビッグブランドだっぺ」

 そう、原寛貴という名前に並ぶくらいの看板でありブランドなのだ。しかし、話が脱線してきている。議題は『不人気コンビが人気になるには?』みたいな感じだっただろう。

「そうだ、私達不人気コンビはどうすれば人気を得られるのか、みたいな話だったよね」

「必殺技だっぺ」

「七瀬レインボーあるじゃん」

「あ、確かに。羽葉堂さんは?」

 そう、羽葉堂には特に必殺技がない。

「羽葉堂フェニックス」

「成歩堂みたいな」

「まあ何となく格好良さそうなら良いでしょ。タイラーインパクトやシノブストリームも大した意味ないし」

 そう、サッカー転生に出てくる必殺技は『何となく格好良い』程度のもので意味のないものが多い。

「サクマヒメとウラララ‼ は狡いよね」

「ああ、人気コンビだっぺ」

 そう、この二人とは真逆に『真っ当に面白い奴ら』である。原寛貴からの寵愛を一身に受けている二人だが、彼女らとこの二人の違いは何だろうか。

「サクマヒメは元ネタが原寛貴のドストライクだから」

「その親友のウラララ‼ さんもやけに凝った初登場だったっぺ」

「お嬢様、鳥山明、哀空、桑原など、分かりやすい人気属性詰め込んだ面白モンスターだからね」

 二人は言っていて少し悲しくなる。何故同じ作品の、同じチームのキャラなのにここまで格差があるのだろうか。この二人をシリカとリズベットにするなら、あの二人はリーファとシノンくらいに格上なのだ。シリカとリズベットがリーファとシノンに勝つには

「脱ぐかー」

「だっぺー」

 二人は露出により人気獲得という、古典的な水商売に打って出る。

「おっぱい揉む?」

「ションベンすっぺー」

 二人は自棄になって破廉恥な行動を繰り返す。ナンバリングが変わったばかりなのに、この作品のレイティングは爆上がる。彼女らが不人気な理由の一端を、作者と読者は理解していくのだった。


 牛尾中学校

 三年 シノブ 千両

 二年 平 サクマヒメ ウラララ‼ ズリネ田

一年七瀬 羽葉堂


 俺の教室にハルヒはいる。

 俺の教室にリムル様はいる。

 俺の教室に御坂美琴はいる。

 俺の教室にミリンダ姫はいる。

 俺の教室に由比ヶ浜はいる。

 俺の教室に戦場ヶ原さんはいる。

 俺の教室にとがめはいる。

 俺の教室に掟上さんはいる。

 俺の教室に白はいる。

 俺の教室に夜空はいる。

 俺の教室にセシリーはいる。

 俺の教室に黒雪姫先輩はいる。

 俺の教室に姫柊はいる。

 俺の教室に空銀子はいる。

 俺の教室にキノはいる。

 俺の教室にレンちゃんはいる。

 俺の教室にアスナはいる。

 俺の教室はラノベヒロインで溢れ返っている。そして

「サカ神シノブもいる‼」

 ラノベ脳のフルチンストライカー千両勘吉は、サカ神シノブに好意を寄せていた。涼しい顔で禁書を読み耽る彼女を観て、フルチンストライカー千両のフルチンは盛り上がっていく。


「俺はフルチンストライカー千両‼ 俺をサッカー部に入れてくれ‼」

 サッカー部未所属なのに何故フルチンストライカーを名乗っているかというと、彼はサッカークラブに所属しており、そこでFWをやっていたという経験があるのだ。

「あ、千両くん」

「サカ神さん」

 シノブは千両に気付き、少し嬉しそうに微笑む。クラスメイトが自身の部に来るというのは、やはり嬉しいものだろう。千両も勿論めちゃくちゃテンションが上がっている。何故なら、言うまでもなく千両の目的は

「あわよくばシノブさんに俺のフルチンをストライク‼」

 というものだからだ。

「欲望が剥き出しだよ、千両くん‼」

「あ、いや違くて。シノブさんのゴールにガンガンシュートを」

「だから剥き出しだって、欲望‼」

「あー、脳が蕩けるぜえ」

 シノブにツッコまれるだけで昇天しそうになる千両だが、この調子でサッカーなど出来るのだろうか。

「今のメンバー表は?」


 FW シノブ 平 千両

 MF サクマヒメ

 DF 七瀬 羽葉堂

 GK ウラララ‼


「平ってのは?」

「あ、俺」

「君、MFになりなよ」

「え?」

「FW三人は多いって。MFサクマヒメって子だけじゃん」

 MFも良いかもなあと考え直す平だが、シノブが少し怒った感じで

「千両くん、平くんと勝負してみなよ」

「良いぜえ。俺のシュート力で黙らせてやるぜ」

「シュート?」

 千両の武器はシュートだったのか。


「何だよ平くんのシュート。強すぎんだろ」

「いや、千両先輩のシュートも上手いっすね。確実に隅を撃ち抜いている」

 威力なら平、制球なら千両といったところだ。

「分かったでしょ、平くんは制球こそ下手だけど、威力は千両くんの比ではない。彼のがシューターとしての適性が高い」

「まあ、確かにそうなんだけど、俺はサカ神さんと少しでも、ん」

 千両の足元に小さい子がいた。小学生が紛れ込んだのだろうか。しかし、やけに可愛い。ゲームのキャラみたいだ。案外千両のストライクかもしれない。

「新入部員が来てたんじゃあああああああああああああああああああああああああああ。コントロール良いから一緒にMFやるんじゃあああああああああああああああああああああああああ。Wパサーじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 FW シノブ 平

 MF 千両 サクマヒメ

 DF 七瀬 羽葉堂

 GK ウラララ‼


 千両はサクマヒメの可愛さに嵌まり、案外MFの方が性に合っている気もして、フルチンストライカー改めフルチンパサーとして牛尾中FCを支えていく。それにMFとFWという関係性も良い。シノブへの愛の球を届けるのは、ラブサンタ千両なのだ。思考を切り替えた千両の球はどんどん元気になり、ドラゴンへと変貌し魔を討つ。それこそ神上、サカ神シノブの上の存在なのだから。


「巨人は駆逐じゃああああああああああああああああああああああああ‼」

 そう叫ぶサクマヒメは長身瘦躯の男子生徒を大きい三角定規で攻撃していた。

「いや、虐めだこれ‼」

 ウラララ‼ は衝撃の現場を見て錯乱する。

「ここからはウラララ・アッカーマンが相手になります‼」

「いや、虐めじゃありませんよ春麗さん」

 そう言い、蹲っていた長身痩躯の男子生徒は恭しく立ち上がる。デカい。五条悟やジョナサンより大きく見える。

「これは佐々木を強くするための修行じゃ」

「強く、修行」

 つまりドラゴンボールみたいなことをしていたということか。鳥山明デザインのエアカーで送迎され、カプセルコーポレーションみたいな会社のご令嬢である春麗ウラララ‼ は当然鳥山ワールドへの理解は深い。

「ここからは春仙人が」

 と言い、ウラララ‼ も佐々木くん育成計画に参加する。


「僕身長が222cmあるんですが、体重が22kgしかなくて」

「身長ワシの二倍くらいあるじゃないか!」

 そうツッコむサクマヒメだが、二人が並んだコマを見る限りそれどころの差異ではない。

「何とか強くなりたいんですがなかなか」

「では、サッカー部に入るというのは」

「おお、そうじゃ! その手があったか!」

「サッカー部ですか。僕なんかが入っても」

「大丈夫。ウチメンバー少ないから大歓迎だよ」

「そうじゃそうじゃ! MFになれ!」

「私としてはDFも厚くしたいけど」

「MF? DF?」

 佐々木くんはサッカーに疎いらしく、今一つピンと来ないようだ。

「私も素人だったからさ、佐々木くんもやろうよ!」

「う、うん!」

 ウラララ‼ に緊張をほぐされ、佐々木は勇気を持って前へ進む。


「うわあああああああああああああああああああああああああああああああ‼ 巨人だああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「行けー、佐々木ロボー」

「ガイーン、ガイーン」

 サクマヒメを肩に乗せた巨人を見て、シノブは少々チビってしまう。しかし、佐々木くんもなかなか乗りが良い。

「僕、佐々木貴志といって、サクマヒメさんや春麗さんに誘われて、今日はその見学というか」

 申し訳なさそうに頭を下げる佐々木くんに、チビったシノブは調子を取り戻し

「まあ私の二倍くらいかな」

「それサクマヒメちゃんも言ってましたよ」

 サクマヒメほどではないが、シノブもなかなか小柄であり、自身の身長に少々コンプレックスを抱いている。まあ佐々木くんはさすがにデカすぎる気もするが。

「でも、筋骨は弱そうだね。まあ今後に期待かな」

「はい、その通りでして。どうにか強くなりたくて」

「じゃあDFかな。嫌でも打たれ強くなるよ。GKも良いんだけど、そこは」

「私‼」

「そう、ウラララ‼ ちゃんだから」

 ウラララ‼ はようやく出来た自身の居場所を奪われないように割と必死だ。そこを理解しているつもりのシノブだが、ここまで頑なとは思わなかった。ウラララ‼ は根っからの強化系だろう。


 牛尾中学校

 サカ神シノブ 覇王・具現化系

 平京崩 覇王・放出系

 サクマヒメ 見聞・操作系

 七瀬虹子 武装・強化系

 羽葉堂綾乃 見聞・変化系

 春麗ウラララ‼ 武装・強化系

 千両勘吉 武装・変化系

 佐々木貴志 見聞・操作系


 恐らくこんな感じだろう。とシノブは脳内で情報を整理し、

「じゃあよろしくね佐々木くん! 私は副キャプテンのサカ神シノブ!」

「え、貴女がキャプテンでは?」

「いやいや、キャプテンはこの俺! 平京崩だぜ!」

 平が召喚された。

「しかし佐々木くんやたらデカいな!」


 牛尾中学校

 サカ神シノブ 144 44

 平京崩 166 66

 サクマヒメ 133 33

 七瀬虹子 155 55

 羽葉堂綾乃 148 48

 春麗ウラララ‼ 152 52

 千両勘吉 177 77

 佐々木貴志 222 22


「そして体重軽すぎだろ! サクマヒメより軽いって!」

「いやあ、最近ご飯が美味しくて」

「美味しいなら太れ‼ 太ってそれなのか⁉」

「おいお前調子乗んなよ」

「アンタには迫られても大して怖くないな!」

 なかなかに乗りが良い佐々木くんだが、彼をDFにして活躍の場はあるだろうか。

「佐々木くんは中学生にしては身長高いでしょ?」

「まあ人類学的にも異例の高さだと思うけど」

「空中戦艦になって貰おうと」

「成る程」

 要するに高い球を捕ってくれる空中戦のエキスパートになってもらおうと。それなら確かにDF向きかもしれない。

「まあ彼が『身体を鍛えたい』と言っていたから、嫌でも丈夫になるDFに置いてあげよう、という意図は大きいけどね」

「優しいなシノブ」

「いやいや~」

 照れるシノブだが、確かに『高さ』というのは武器だ。佐々木くんがそこにいるだけで、敵にとっては十分な脅威となる。

「佐々木友人帳‼」

 佐々木くんは既に必殺技を考案していた。やはりなかなかに乗りの良い人だ。すぐじゃ無理だと思うのならば、少しずつ使えるようになればいい。走り出せ、前を向いて。


「お前の惨めな幻想を、この右手で打ち砕く‼」

「やってみろ三下ァ‼」

 ゲームブレイカー上条踏破とワンサイドゲーマーが、井守中学校で今日も研鑽する。上条はGKでワンサイドゲーマーがFWだ。


 井守中学校

 FW ワンサイドゲーマー

 MF 武藤遊具

 DF

 GK 上条踏破


「燃えてるな、上条くんワンサイドゲーマー!」

 ブラックマジシャンの異名を持つMF、武藤遊具が召喚された。いや、お前はモンスターを召喚する側だろう。

「ああ、俺達で牛尾中や鯨田中の幻想をぶち殺すんだ‼」

「そういうこった、武藤!」

「ふふ、熱いね二人共。さあ、楽しいゲームの時間だ」

 武藤も練習に参加する。彼はパサーであるため、彼がワンサイドゲーマーへパスを出し、それをワンサイドゲーマーがシュートし、上条がキープするというシュート練習だ。

「しかし、サッカー転生もなかなかの長寿小説になってきたね」

「ああ、原寛貴の作品は瞬間的爆発ってか、短く纏まることが多いからな」

 武藤と上条は感慨深げにこの作品を振り返る。フィギュリップも三作目に突入したこともあって、原寛貴が本格的に小説に熱量を注ぎ始めている。彼らの存在も最初は想定していなかっただろう。ライバル校は一校だけでも割と回るものだから。

「おいおいお二人さん。まだまだ振り返るほどに進んじゃいねェだろォがよォ」

 ワンサイドゲーマーは水を差すが、確かにまだまだこれからかもしれない。いや、ここからなのかもしれない。こいつらが出たことによって世界が広がり、今まで出来なかった展開も可能となってきた。

「俺達でサッカー転生をアニメ化させンだよ‼」

「いや、アニメ化はさすがに」

「無理じゃねェだろ。てか、目指しても良いだろ。マジでガチで書いてンだからよォ」

「東映が良いよね」

「オマエは緒方さんが好きなだけだろォがよォ」

「電撃文庫が良いよね」

「お前は禁書が好きなだけだろォがよォ」

 武藤と上条のボケに、ワンサイドゲーマーはワンサイドにゲーミングする。

「この作品もゲーム化してほしいよね」

「オマエはゲームが大好きなだけだろォがよォ」

「禁書の格ゲーみたいにしてほしいよね」

「オマエは禁書が好きなだけだろォがよォ」

 ワンサイドゲーマーのワンサイドなツッコミが続く。というより、武藤と上条のボケもなかなかに一方通行だ。ここら辺で会話を打ち止めし、練習を仕上げて座標を結んでいく。神上へと通じる座標を。


「これが神成り」

 そう言うシノブの身体は神々しく発光し、衣服が弾け飛び肢体を嫌らしく照らしていく。エロい。が、ただ性的なだけではなく神々しく荘厳な大仏のような印象を受ける。この状態のシノブのフィギュアがあったら、仏壇に飾るだろう。そしてたまに自室に持ち込み、諸事情に興じるだろう。

「すげえな。シノブにこんな能力が」

「多分平くんも出来るよ」

「え?」

「成り方を教えるよ」

 シノブはこの技はある程度のサッカー技術がある者なら誰でも出来る、テニプリの無我の境地、ブルーロックの超越視界のようなものだという。ドリブルを極めたシノブが成れたように、シュートを極めた平にも成れる可能性は高い。とシノブは踏んでいる訳だ。シノブと平の実力はそこまで離れていない。とシノブは平を買っている。

「この技の本質は自我の放出。自我の放出ってのは我武者羅っていう一つの到達点なんだけど、我武者羅の中でさらにサッカー分野に特化させた変身現象が神成りって訳」

「へえ。で、具体的な成り方ってのは?」

「気合」

「え?」

「気概っていうべきかな? 私の場合は『私のドリブルは凄い‼』『凄いからもっと凄く成れるはずだ‼』みたいな自分を鼓舞する自己暗示みたいなものを心中でして、そこから具体的にどう変化したいかのイメージを脳内で反芻していく感じ。それをひたすら繰り返すとさっきみたいに全裸になって力が倍増する」

「それって誰かに教えて貰ったのか? それとも自分で至ったのか?」

「ああ、ええっとフルバースト博士とシノヴから」

「ああ」

 フルバースト博士はシノヴという人造人間10号を造った博士だったな、と平も何となく理解していた。


 フルバーストシリーズ

 人造人間1号 フリーチン・フルバースト

 人造人間2号 フリーザ・フルバースト

 人造人間3号 大谷京平

 人造人間4号 サーロイン・フルバースト

 人造人間5号 ブルロザノバ・ツェリードニヒ

 人造人間6号 ゲロキス・ロッテンマイヤー

 人造人間7号 ペスカトーレ・ボンゴレビアンコ

 人造人間8号 フタナレフ・アルフレド

 人造人間9号 スバル・ブルースカイ

 人造人間10号 シノヴ・フルバースト


 ケツァルコアトルシリーズ

 新人造人間1号 ゲロシャブ・ケツァルコアトル

 新人造人間2号 リバース・ケツァルコアトル


「あ、あと実は私こういうのも出来るんだ」

 そういうシノブは先程の神成りのように全裸になり発光するが、

 さらに風のエフェクトを纏い、神々しさが加算される。

「これは『風神成り』っていう、シノヴと合体して裂風神死之舞になった時に覚えた技」

「すげえ、格好良いなあ」

 平は簡単な感想を言うが、正直語彙を失うほどの衝撃を受けた。平はまだ神成りも出来ないのに、シノブはさらにその先まで行っている。ベジータの気分を味わった。

「よおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおし、絶対神成り習得してやる‼ そして俺も固有成りをゲットして、アイデンティティを獲得するぜ‼」

「ふふ、頑張れ。神成り神成り」

 何かこの乗りも懐かしいな。と思う平だが、この作品は元々はアオのハコみたいな感じだったな。いや、それは2の第1話であり、1まで遡るとおれはキャプテンみたいな感じだったなあと振り返る。そう、原京平もキャプテンだし平京崩もキャプテンだ。キャプテンは引き継がれる。おれはキャプテンもルーツはキャプテンなのだから。


「俺はタフガイ細貝‼ 喧嘩なら誰にも負けねえ‼」

「ならDFになってくれよ」

「ああ、良いぜ‼」

 細貝は上条に言われるがまま、DFに組み込まれた。


 井守中学校

 FW ワンサイドゲーマー

 MF 武藤

 DF 細貝

 GK 上条


「神成り出来たぞシノブ!」

「次はそこから自分なりに発展させて。自分が成りたい形に成るんだ。強く願って」

「ああ‼」

 平にはビジョンがあった。シノブが風神なら、自分はアレしかないではないか。風神と対を成す

「雷神だあああああああああああああああああああああああああ‼」

 平は雷雲を呼び、落雷に打たれた。

「うわあああああああああああああああああああああああああああ‼」

「平くううううううううううううううううううううううううううん‼」

 意識を失いかけた平だが、シノブからの抱擁により復活する。そして雷撃を身に纏い、

 衣服を焦がし全裸で電流を着こなす。

「これが雷神成りか」

「凄い、平くん」


「ちんこじゃあああああああああああああああああああああああああああああ。ちんこが生えたんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 サクマヒメは股間から生えたおちんちんをぶんぶん振り回しながら校内を走り回る。男子も女子も思わず欲情してしまうほど芳しいシチュエーションだ。

「あ、サクマヒメちゃん」

「ウラララ‼ ああああああああああああああああああああああああああああああ。サクマヒメはちんこになってしまったああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「あ、おちんちん。可愛い」

 ウラララ‼ はサクマヒメのおちんちんを軽く撫でる。サクマヒメはえもしれぬ快感に酔いしれる。

「なんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああ。何か気持ち良いんじゃああああああああああああああああああああああ。もっとシコシコしてほしいんじゃああああああああああああああああああああ」

 狙っているのか天然なのか、サクマヒメの欲望は爆発する。しかし、それを応えてくれるのが我らがウラララ‼ 、サクマヒメの親友ウラララ‼ なのだ。ウラララ‼ はサクマヒメの思う存分

「シコシコシコシコシコシコシコシコシコシコ」

「うわああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。まるで夢みたいなあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。友情のバレットおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 サクマヒメのバレットから白い弾丸がびゅっびゅっと発射され、それをウラララ‼ が口で受け止める。多少零れてウラララ‼ の制服を嫌らしく汚す。しかし、出したことでサクマヒメのおちんちんは萎れていき、そのまま消滅してしまった。

「何だったのでしょうか、今のおちんちんは」

「さあ。ワシが野菜食べたら突然こうなって」

「その野菜というのは」

「何かキュウリとナスの中間くらいで、食べると嫌らしい気分になるとシノブが」

「それですよ、サクマヒメちゃん」

 原因が分かったところで、サクマヒメはパンツを上げる。


「行くぞシノブ‼」

「うん‼」

 雷神平京崩と風神サカ神シノブはそれぞれ融け合い、

 嵐神ハロー・ヒッキーとなった‼

「完成したぜえええええええええええええ」

「すんげ、バケモン」

 七瀬は少しチビってしまうが、それは恐らくこの場の全員がそうだろう。

「蘇生」

 といい、嵐神ハロー・ヒッキーが手を伸ばした先の、

 サクマヒメの死体が生命を取り戻す‼

「んえ? ここは? おばあちゃんは?」

「サクマヒメえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼」

 ウラララ‼ が真っ先に抱き着き、他の仲間もそれに続く。

「ぐ、駄目だ、限界」

 平とシノブは元の二人に分かれた。

「はあ、はあ」

「疲れるね、これ」

「ああ」

 二人共やたら疲弊している。それほどに今の合体現象は心身を削るらしい。まあ人智を超越したバトル漫画的な現象だ。さすがにブルーロックでもこんなの出てこないだろう。イナズマイレブンなら出てくるかもしれない。そして牛尾中FCもある意味イナズマイレブンだ。キャプテン平京崩は雷神なのだから。


「平とシノブに蘇生してもらってワシにも目覚めたんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああ。世界樹成りがああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「世界樹?」

「見てみい!」

 サクマヒメの身体が発光し、衣服は弾け飛ぶ。これは一般的な神成りの現象だ。しかしサクマヒメはその先、固有成りまで行けるという。果たして、どういう成りなのだろうか。

「はああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 サクマヒメが力むと、股間から小さい樹木のようなものが生えてきた。これはおちんちんだろうか。それなら世界樹成りというより

「双成りじゃないか」

「良いじゃろ⁉ ずっと欲しかったんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。全女性の憧れなんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「いや、そうかもしれないけど」

 平は少し嫌らしい気分になり、テントを盛り上げる。シノブはその様子に気付いて「平くん」と平を諫めるが、これは健康的な反応であって邪というよりは聖なるもののように感じる。いや、というより純粋に邪悪も神聖もないのだ。

「ちんこじゃないですかああああああああああああああああああああああああああああ」

 ウラララ‼ のテンションが爆上がる。この子は最近サクマヒメに似てきた気がする。そう、このウラララ‼ のように純粋な反応なのだ。プラスでもマイナスでもない永遠のゼロであり、その原始感でしか新世界は創生できないのだから。


「俺は漫画加速師江口同人‼ 『二刀流のエナト』って呼ばれている‼」

 エナトという男子生徒は、井守中FCに入りたいようだ。

「いいよ。希望ポジションは?」

 そこでエナトはにやりと笑い、

「俺の天職は……『ストライカー』かな?」


 井守中学校

 FW ワンサイドゲーマー

 MF 武藤 エナト

 DF 細貝

 GK 上条


「いや、FWって言っただろ⁉」

「武藤とWゲーマーになってくれよ」

「成る程。Wでゲームをクリエイトするという」

 上条の提案をエナトは噛み砕く。武藤と相性が良さそうというのもあるが、何となくバランス的にMFの方が美味しいと思ったのだ。

「二刀流ってことは両利きか?」

「ああ、左も右もイケるよ。本来は左利きだったんだけど、何とか右も同じくらい使えるようにした。何となく両利きのが格好良さそうなんでね」

「そういえば、成りって知ってるか?」

 と切り出したのは武藤だった。

「成り?」

「ああ、自我の放出我武者羅を、さらにサッカー分野に特化させた形態進化現象。まあ超サイヤ人みたいなものかな。まずこれが神成り」

 武藤の身体は発光し、衣服は弾け飛ぶ。

「そして次が固有成り。これは自身のアイデンティティに起因するものであり、各人が好きに伸ばし調整できる、パワプロのオリジナル変化球みたいなものだな」

 武藤の肢体を無数のカードが隠す。

「俺のは『遊戯神成り』っていうんだけど」

「俺も出来るぜ」

 というのは上条だ。彼の身体も発光し、衣服が弾け飛ぶ。そして肢体を無数の天使の羽根のようなものが隠す。

「俺のは『幻想神成り』ってんだ」

「糞、三下もできンのかよォ」

 と悔しがるワンサイドゲーマーだが、意外にも彼は出来ないようだ。細貝もキリトも出来ないため、どうやら井守中FCでこれが出来るのは武藤と上条だけのようだ。

「東大へ行け‼」

 いや、阿部寛貴顧問も東大神と成った。無数の素数が肢体を隠す。いや、アンタは別に出来なくて良いだろう。


「これが八拳神成り」

「これが炎狼神成り」

 といい、ナイチンと案山子の二人が固有成りへと至る。やはり女子が成ると絵面が煽情的になる。喜ぶ男子達だが、しかし

「くそったれー! 出来ん!」

「俺達と彼女達じゃ……遺伝子レベルで超えられない才能の壁がある‼」

 ベビータは悔しがり、楔は絶望的に悲観する。

「私は風神に成れるぞ」

 というのはシノヴだ。彼女はシノブの片割れであるため、シノブが出来るようなことは大体出来るのだ。まあソニックとシャドウみたいなものだ。ちなみにユーハバッハも成れないという。鯨田中は完全に女子優勢だ。そういえば井守中はそもそも女子がいなかったような気がする。まあその内に補充されるだろう。女子が最低でも一人はいないとお色気展開に繋げづらいから、その分損してしまうのだ。やはり何事も万全に機能した方が良い。サッカー転生は成りという新しい概念を出してから、異能バトル的な展開にも持って行きやすくなった。やはり基本はドラゴンボールなのだ。ドラゴンボールはロマンの塊なのだから。それこそサッカーと同じくらいの。


「はむ、ふむ、ほむ」

「ああ、良いです貴央先生」

「良いのか? 良いのか?」

「ああ、良い、良いです」

 空久貴央は平京崩のティラノサウルスをイャンクックへとワープ進化させていた。いや、退化していないか。サカ神シノブが二人から少し引いた距離から、何かジェラシーのようなオーラを飛ばす。それに気付いた貴央は

「何だ、彼氏が取られて悔しいのか?」

「な、そんなことは」

「残念だったな青髪ショート、平は私のリオレイヤーが気に入ったようだぞ。な! な!」

「はい、貴央先生のリオレイヤーですう」

「性欲に抗って平くん! あとリオレイヤーって何⁉ リオレウスのコスプレイヤー⁉」

「そんな奴がいるかああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 貴央先生はサカ神シノブを殴った。

「正気を疑う一文書かないで! 鋼野先生ですか!」

「私は貴央だあああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 貴央先生はサカ神シノブを再び殴った。

「再び殴らないで! 勇者学の乗りやめて!」

「せやかて工藤」

「サカ神! 不適切なボケやめて!」

「ふてほどって何だよ!」

「世間に投げ掛けて! 不敵な歩道橋⁉」

「い、いや、私はまだ、結婚とかは」

「貴女の素敵な結婚とは言ってませんよ! 妙に初心だな!」

「剣士の産声を上げやがったぜ」

「最早化石‼ 誰が元ネタに辿り着けるんですか!」

「ティラノサウルスの⁉」

「ドラクエ6の‼ 目を輝かせて! 可愛らしいな馬鹿野郎!」

 サカ神シノブはポケットに入っていたチョコを貴央先生にあげる。彼女は幼子のように「わあ」と小さく喜び、それを口に運ぶ。

「やたらボケましたね、貴央先生」

「ああ、私は頭が良いからな」

「その頭の良さを私との円滑な会話に注いで下さい」

「いやいや、円滑に進んだらお前らすぐ帰っちゃうだろ」

「え?」

「私は暇なんだ。保健室で一人。自慰とエゴサしかやることない」

 やってほしくないWコンボだが、貴央先生は退屈していたのか。そして、その暇は二人の生徒の来訪により埋められていたのか。サカ神シノブは感極まり、聖母のような精神状態で貴央先生を母乳に埋める。

「母乳院バブ美⁉ 古俣牛耳郎はどこだー⁉」

「誰が分かるんですか、そのネタ」

「嫌だー、戻りたくないー」

「どこに戻るんですか」

「中学校に馴染めずよく通っていた保健室に戻りたくないー」

「それで保健室の死神に」

「誰が死神だ、誰が。デスノートに名前書くぞ。あ、りんごくれ」

「閃いた感じでおやつねだらないで下さい!」

「死因はテクノブレイクにするから」

「自慰帝王⁉ 頭の中そればっかかアンタ!」

「シコシコシコ」

「我慢できずにシコり始めるな! 一応生徒の前だぞ!」

「馬鹿言え、生徒じゃなければ良いという訳でもないだろ?」

「御尤もですがシコりながら言われても!」

 貴央先生はご機嫌に腰を振り、「お、お、お」と何やら気持ちの良い世界へトリップしてしまった。困惑するサカ神シノブだが

「そういえば平くんは?」

「ああ、アイツは御供先生の気功学だからとワクワクしながら教室へ戻ったぞ。手からビーム出せる程度でご機嫌だな」

「貴女の今の状態も似たようなものですが! てか御供先生の気功学! 今日遂に空飛べるって」

「それは面白い‼」

 綺麗に纏めた貴央先生の頭を撫で、「えへへ」というにやけ顔を引き出したところで、サカ神シノブの長かった戦闘はフィナーレを迎える。


「死ぬんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。サクマヒメは馬鹿だから死ぬんじゃあああああああああああああああああああああああああああああ。ホントはヒメじゃなくショウコなんじゃああああああああああああああああああああああああ」

「確かにお前は馬鹿だが落ち着け、ショウコ。これを飲めば治る」

 そう言い貴央先生が出したのは、コップに注いだ白濁だ。

「こ、これは。ザーメンなんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ。貴央先生は男じゃったんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「失礼な奴だな、私は美少女中の美少女だぞ。美少女ド真ん中の美少女ドストレートドストライクバッターアウトゲームセットだぞ」

「美少女の白濁。余計危ない気がするんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「落ち着け、馬鹿ショウコ。これは乳だ」

「ミルクなんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。美少女のおっぱいなんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「まあまあ落ち着け、ショウコ。確かに私の乳房はぷるぷるしているし、乳首もちゅるちゅるしたくなるが、違う。これは牛だ」

「そこまでデカくはないんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。貧乳ちゃんなんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「叫び声で文字数を稼ぐ作戦か? 浅ましいぞ! 違う違う、よく聞け。何回落ち着けと言わせるんだ、全く。これは牛乳だ」

「自分のおっぱいを牛乳と呼んでるんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。神の恵みなんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「神野恵⁉ それは私の本名か! それも面白い‼ いや、そうではなく。お前とだと全く話が進まんな、まず落ち着け。よく聞けよ? お前はウンコだ」

「教師が言っていい言葉じゃないんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。ただの悪口なんじゃああああああああああああああああああああああああああああああ。PTAの出番じゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「やめろ、私を社会的に殺す気か。今のご時世だとガチで死ぬから、そういう物騒な考え方は見直せ。教師だって人間なんだ。失言暴言くらいは許せ、流せ。これだから令和キッズは。いや、そうではなくてだなあ。お前は便秘なんだ」

「便秘? 便秘ってウンコが『かめはめ……』の状態ってこと?」

「何で便秘をかめはめ波で譬えるのかは全く分からんが、そういうことだ。つまり、『波―‼』に至るためにこれを飲めと、さっきからずっと先生は言っているんだからな? な! な!」

 貴央先生はようやくサクマヒメから理解を得て、安心したように小さな胸を張る。

「つまり、その小さな胸からこのミルクが……?」

「いや、まだ完全に理解していないな。お前の理解段階は『どどん……』だな」

「何で『どどん波』で?」

「いや、お前もさっき『かめはめ波』で譬えただろ。いやだから便秘なら牛乳飲めば『波―‼』になると……」

「どっちの?」

「どっちもだ! 多分お前の場合は『かめはめ波』に至った少し後に『どどん波』に至れる!」

「やはり『どどん波』の方が『かめはめ波』より優秀な技なのか?」

「まあそういうことだ! 後から出てきたしな! あの時はクリリンより餃子のが格上っぽかったしな! 亀仙人の解説からもそうと受け取れたし!」

「つまりこれを飲めば、オラもっともっと強く……‼」

「そうだ、ピッコロ大魔王に勝てるさ! さあ飲め、『超聖水』を……‼」

「え?」

「は?」

「いや、超聖水はただの水で、強くなれるのは超神水じゃないのか……?」

「うるせえ、私の聖水を食らえ‼」

 貴央先生は股から聖水を出し、サクマヒメを強制的に保健室から追い出した。何というパワハラだろうか。いや、セクハラだろうか。床を濡らす自身の分身に「残像拳‼」と言ってみても、返ってくるのは悲しい静寂だけだった。


「全くサクマヒメめ。今度会ったら。ん?」

 そこにはサクマヒメが忘れていった野菜があった。

「いや、違う」

 小さい紙が添えられていた。

『さっきはごめん。これ食べて』

 そのメッセージを見て、貴央先生は

「サクマヒメえええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ‼ 何と愛い奴なんだお前はあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼ シコシコシコシコシコシコシコシコおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」

 感極まり、その熱量を自慰に注ぎ込む。そしてその野菜を舐め回したり、乳首やまんこに這わせてみたりした。いや、食べろ。

「いや、食べないとな。せっかくサクマヒメがくれたんだから」

 キュウリとナスの中間みたいなその野菜を、貴央先生が食べると

「何だ、これは」

 とんでもない奇跡体験がアンビリバボーしてしまう。

 貴央先生の股間からおちんちんが生えてきた。

「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼ おちんちんさんじゃないですかあああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼ シコシコシコシコシコシコ、いや待てよ」

 イキそうなところで貴央先生は踏み止まる。我慢汁が熟練の強化系念能力者みたいに溢れ出るが、ギリギリイカない程度に踏み止まる。恐らくこれがイク時は海がひとつなぎになる。ウィーアーがメモリーズになり、ビリーブがランランランしてしまう。

「イったら元に戻ってしまうんじゃ?」

 そう、こういうのはイったら元に戻るとエロ同人的共通認識により定義されている。貴央先生はさすがに博識であり、そこら辺の界隈への理解も深い。いや、彼女はスケベなだけかもしれない。

「私は馬鹿なオナ狂いではない。賢いオナ狂いなんだ」

 結局はオナ狂いなようだ。そしてオナ狂いとは何だろうか。賭ケグルイのオナニーバージョンだろうか。そもそも賭ケグルイ自体もそこそこエロい気がするが。オナニーシーンもあったような気もするが。

「誰かに見せたい? そう、誰かに見せたいんだ。シノブか? 平か? ショウコか?」

 皆が普遍的に持つであろう露出欲だが、貴央先生のそれは尋常ではないほど強い。しかし、保健室には基本的に誰も来ない。だからいつもここで自慰やエゴサをするくらいしか出来ないのだが、ならば外に出ればいいじゃないか。校内露出エクスプレス、とうとう発進するのだ。汗のように弾け飛べ‼ エロ同人に負けぬ強い心で‼

「コナあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああン‼」

 ジムシィみたいになってしまったが、露出少年タカオだ。いや、間違えた。露出少女タカオだ。貴央先生は勇気を振り絞り、おちんちんを振り回し保健室の外へ弾け飛ぶ。

「はあ、はあ、誰も、いないよな、はあ」

 貴央先生は気が狂いそうなくらい高揚している。露出欲が現在進行形で満たされていき、死ぬほど気持ちが良い。脳汁が爆発し、賢い貴央先生のパフォーマンスを通常以上に引きずり出す。走馬灯のように思考が回転する。

「うわあ、やっば、おちんちん出したまま廊下に、出ちゃってる」

 貴央先生は無意識に実況する。エロは思考を停止させると思われがちだが、実際は他が見えなくなるほどに思考が加速しているのだ。集中しすぎると頭は回るが、周りは見えなくなるだろう。視野を絞ることにより、その分野に特化した集中状態に至るのだ。エロに吞まれるのは頭が悪いが、頭の良い人はエロをコントロールする。エロを排除するのではなく乗りこなすことで、人類はまた先の領域へ踏み込む。


 領域展開 人間

 聖域展開 天使

 神域展開 神


「いや、今呪術廻戦はどうでもいいだろう‼」

 思わず地の文をツッコむ貴央先生だが、自身の声にチビる。今大声を出すべきではなかった、と口を押さえる。誰にも聞こえていないよな。

 大丈夫。誰もいない。静寂な授業中だ。そしておちんちんも多少チビったが、問題ない。おしっこはすぐに我慢汁へと移り変わる。よし。このまま堪えていけば、まだまだ露出開拓可能だ。しかし、ここで退くという選択肢もある。ここで退けば安全は手に入る。しかし、進めばこれ以上の気持ち良さを手に入れられるかもしれない。

「これ以上は危ないぜ、死神ちゃん」

「あ、哀空‼」

 名探偵哀空の登場により、貴央先生はガチで絶体絶命の状況に陥った。貴央先生は白衣を脱ぎ、全裸で土下座してしまう。そして床を舐め、死ぬほど遜る。

「いや、死神ちゃん。頭上げなよ。いや、別にアンタが一人で楽しむ分には別に良いんだ。別に子猫ちゃんに危害加えようって訳じゃないしな。ただ、アンタの身を思ってな」

「私の、身……?」

 貴央先生には哀空の意図が分からなかった。

「ああ、これ以上進むのは危ない。もうすぐ御供先生の気功学で外に出る際、生徒達がここを通過する」

「え? マジですか?」

「ああ、マジマジ。知り合いに学校中監視している奴がいてね。そいつからラインが来たから確かだぜ」

 ズリネ田くんのことだが、貴央先生には二人の関係性は分からない。

「アンタには神様や艦長も世話になってるからな。その礼さ。さ、早く保健室に戻りな。もうガチで危ない。ギリギリだぜ」

「ありがとうございます、哀空さん」

 貴央先生は脱いだ白衣を抱えて保健室へ戻る。

「はあ、エロいねえ」

 去っていく可愛い尻を見て、哀空は思わず本音を零す。


「卵じゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼ 卵を拾ったんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「ティラノサウルスの⁉」

「デカいからそうかもしれん。いやあ、楽しみじゃなあドランゴ」

「ドラクエ6の⁉」

「貴央先生はホントティラノサウルスとドラクエ6が好きじゃのう」

 好奇心満々の貴央先生を、サクマヒメは微笑ましく思う。いつもは子供なサクマヒメだが、貴央先生もなかなかの子供属性であるため、時たまサクマヒメの方が精神的に年上になる。

「まあ、つまりドラゴンクエストモンスターズみたいなものだろ?」

「ああ、ドラクエ6のスピンオフじゃったからのう」

 そう、幼少期のテリーを主役に添えた外伝作品だ。しかし、ドラクエ6のコミカライズではボッツの方に魔物使いの才能があったりする。キズブチや馬の件で、序盤の進め方としてはそちらの方が都合良かったのだ。テリーなどいつ出てくるかも分からないのだから。

「卵は私が預かろう」

「何で⁉」

「いや、こういう学校に不要な物は教師が預かるものだろ?」

「いや、貴央先生モンスターズの通信対戦とかなら一緒にするのに……」

「ならモンスターズも預かろう。全部ダークドレアムレベル99マダンテ有状態にしてやる」

「ビッグバンは⁉」

「ビッグバンもアストロンも有に決まってるだろ。私を舐めるな」

「貴央先生‼ 学校終わったら通信対戦しよう‼ ドランゴよろしく‼」

 サクマヒメは保健室を後にする。


「サクマヒメちゃん、今日はやけにご機嫌だね」

「ふふふ、ウラララ‼ にも見せてやるんじゃ」

「何を? ダークドレアム?」

「ドランゴじゃ!」

「ドランゴって弱くない? テリーの引換券でしょ?」

「逆じゃ。テリーがドランゴの引換券じゃ」

 それは本当にそうだから困る。

「僕も友達になれるかなあ……」

「佐々木は敵じゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 割り込んできた乗りの良い佐々木くんに、サクマヒメは容赦ない正拳突きを連発する。

「サクマヒメちゃんは佐々木くんと仲良いよね」

「いや、こいつとはスイミングスクールでの馴染みでな。いつも私をビート板代わりにするから敵なんじゃあああああああああああああああああああああああああああああ」

「いやあ、お陰で平泳ぎは出来るようになりました」

「私ありきじゃがな。この悪魔の実の能力者がああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「シコシコの実は食べた気がしますね」

「女性の敵じゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。有吉じゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「ドクターストーンはドラゴンボール超えるよ?」

「無理じゃろ有吉いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい。ダンダダンでも観てろ有吉いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい」

「ホント、仲良しだね」

「いや、一番はウラララ‼ じゃぞ。こいつは有吉じゃ。敵じゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

「小人は蹂躙だあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「何で巨人側で言うんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ。巨人は駆逐じゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」

 サクマヒメは佐々木くんと仲良く漫才するが、ウラララ‼ は何となく疎外感を覚える。そもそもウラララ‼ は天然で面白いタイプであり、この二人のように自らボケたりツッコんだりは苦手なのだ。いや、それだけではない。せっかく出来た親友に、新たな友達が出来るというのが、今まで友達に恵まれなかったウラララ‼ にとって少し辛い。佐々木くんのことは嫌いではないが、サクマヒメとの相性が良すぎるのだ。ウラララ‼ ×サクマヒメでは起こせない化学反応を、佐々木くん×サクマヒメなら起こせる。凪とレオくらいに相性が良いのだ。ここに潔が入り込む余地など

「ウラララ‼ さん。まんこ見せて貰っても?」

「は、はい!」

 ウラララ‼ は釣られてまんこを出してしまう。

「しゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

「ウラララ‼ ‼ この悪魔の囁きに耳を貸してはならん‼」

「あ」

 はしたない行動を取ってしまったと、ウラララ‼ は顔を赤くする。しかし、佐々木くんは今恐らく、スケベ心と同時にウラララ‼ に話題を振ったのだ。彼はスケベに違いないが、至極紳士的な人物なのかもしれない。

「いやあ、僕の2mも長くなりますよ」

「お主のは2cmじゃな」

「うっせ」

「ぐえ」

 佐々木くんはサクマヒメの首を絞める。


「いやあ、楽しみじゃのう。みんなで保健室に行くんじゃああああああああああああああああああああああああああああああああ。ドランゴを見せてやるんじゃあああああああああああああああああああああああああああああああ」

 と言うサクマヒメの後を、ウラララ‼ と佐々木は付いて行く。


「貴央先生の馬鹿ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ‼」

 アルプスの少女みたいな声音で、サクマヒメの隠していた感情は悲鳴を上げている。

「ん? ああ、サクマヒメか。ウラララ‼ と佐々木も」

 貴央先生はフライパンで玉子焼きを作っていた。そう、卵料理だ。

「ドランゴを、ドランゴをおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」

 サクマヒメが涙を流し、見たこともないような必死な形相で貴央先生へ体当たりを繰り返す。

「ん? 痛い痛い。いや、ドランゴならそこに」

「え?」

 そこにはちゃんと卵があった。いや、ちゃんとではない。卵は割れていた。そしてそこから顔を出した生物は

「くええええええええええええええええええええええええええええええええ‼」

 恐竜だ。

「わあ、鳥山明みたいなデザインですね」

「いや、高橋和希寄りじゃね?」

 ウラララ‼ と佐々木くんは適当に感想を交わす。二人は先程の一件で少し打ち解けたようだ。しかし、それよりも

「ドランゴおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお‼」

「大切にしろよ、ダークドレアム」

 貴央先生は粋な台詞でゲームボーイを机に置く。


「よし、完成だ」

「現況は?」

「司? いや、今君が完成したとこだけど?」

「そうか、博士」

 フルバースト博士はサーロイン・フルバーストに顔を掴まれ、

 その顔は爆ぜた。

「成る程。これが俺の能力か。神成りを極めた先に至れる境地『宮』。俺の場合は『爆破宮』か。さて」

 全裸の人造人間は培養カプセルを出て、

 フルバースト博士の死体を尻目に

「こいつは用済みだな」

 フルバースト博士の死体を爆破し、

 培養カプセルを爆破し、

 用意されていた衣服を爆破した。

「この能力を使うに最も適したスポーツは……『サッカー』か。手を使わず球を蹴り合い目的地に到着させる、桃太郎電鉄のようなゲームだな」

 独自の解釈をするサーロインだが、彼はどこからその知識を引き出したのだろうか。『以前から知っていた』というよりは、『今検索した』ような口振りだが。

「サッカーというスポーツには、ストライカーという点を獲りまくるリニアカードみたいな存在がいる、か。そのリニアの名は……サカ」

 サカ神シノブ。そう、この小説のキーマンだ。女の子だからキーマン子だ。

「そいつを吸収すれば、俺は完全体になれる。よおし、行くぞお」

 全裸の人造人間は外へ駆け出した。そしてすぐに警察へ連行される。

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