第三十七話 バカは、琥珀を矛盾に堕とす(後編)ーー足蹴の繋いだ、星屑の名は。
SIDEシルア
――カチャリ、と扉が閉まる音が、遠ざかる。
余韻の漂う空気。
冷え切った雪が、最後の温もりを追いかけているようで。
その名残惜しさが、わずかに胸の奥を手繰り寄せる。
けれど、その理由を言葉にできないまま、
喉の奥の棘を潰すように、足音だけが積もっていく。
指先には、まだ誓いの薫りが翻っていて。
掌の奥で、熱と重責が、微かに重なる。
「……なんだよ」
口を突いて出たのは、感情の残り滓。
苛立ちでも、安堵でもなくて。
その曖昧さが、どこか余白を造る。
廊下の奥。
ひとつの影が、壁にもたれかかっていた。
――レシャミリア。
相変わらずの、偉そうな態度。
何食わぬ顔で、僕の呟きを払いのけて、続きを求める。
けれど、そこにある影は以前よりも深く――
はぐれた白鳥のような、気品と静けさを宿していた。
「行くぞ、プレミエールに。
……エミレを、助けに。」
淡々とした声。
けれど、それが明確に心を突く。
その響きが、あの時とは違うものに聞こえて。
湧き出た動揺を、さらに濃く彩る。
――まさか。
こいつが、誰かのために動くなんて。
信じられないはずの言葉に、胸がざわめく。
心の表層が、必死に反発する。
けれど。
それでも……その言葉に、どこか安堵している自分もいた。
対する感情が擦れ合い、落ち着く場所を失って。
咄嗟に、拗ねるように口を開く。
「……嘘つけ。どうせ自分のためだろ。」
矛じゃなく、盾を突きつけるような幼さ。
言い捨てた声には、信じたいという希望が滲んでいて。
それを見抜いたように、レシャミリアが鼻を鳴らす。
「ああ、そうだ。悪いかよ。
……ギルド長としてのケジメだ、ケジメ。」
飾り気のない語調。
その軽さが、妙に心地よかった。
――これが、あいつの本音だ。
あの日、熱を交わした拳が、溢す。
「……ま、あの大会の件は……」
声がわずかに沈む。
自信を削いだような声音。
躊躇いが、かつての煙のように、言葉の端に漂っていた。
「正直、かなり悪かったとは思ってる」
肩を落としたまま、言葉を吐き出す。
ごまかすでもなく、怒鳴るでもなく。
雨粒のような懺悔が、静かに、足元へと零れていく。
「でも……謝って済む話でもないのも、分かってる」
その視線は、遠く。まっすぐで。
拳を開いたまま、言葉の重さだけが積もっていく。
その静けさが、逆に痛い。
自分の中の「赦さない理由」が、ひとつずつ崩れていく。
蹴り飛ばされた額が、じんわりと疼いた。
最初から、わかってる。
……わかりたくなんてなかったのに。
「だから、俺様は、今からやるべきことをやる」
「――それだけだ」
乾いた声。短く、鋭く。
けれど、その裏には、焔が灯っていた。
赦しじゃない。賭けるための炎。
そのまっすぐさに、返す言葉が見つからなかった。
ただ、見向きもしなかった面を、まざまざと突きつけられて――
悔しくて、情けなくて。
……顔を、伏せる。
あの日、振りかざした拳を、自分に返すように。
すると、ふっと。
レシャミリアが、肩の力を抜いた。
「が!」
短く、息を整える。
その一拍の間が、
割れたガラスの破片を、代わりに拾ってくれているみたいで――。
「だからと言って、全部俺様のせいにすんじゃねぇよ」
一見、逃げのようでいて、違った。
むしろ、全てを背負い切れないことを、ようやく認めた青年の声で。
「お前も、俺様も――そして、エミレも」
伏せられた瞳に、いくつもの記憶が揺れていた。
痛みも、後悔も、嫉妬も、願いも。
全部を呑み込んで、ようやく立った青年の――まなざし。
「誰も、完全じゃなかった。
……ただ、それだけだろ。」
赦すためじゃない。責めるためでもない。
ただ、前を向くための言葉。
――全部、抱きかかえる。
その覚悟が、ひどく澄んでいて。
僕の中の鎧が、ひとつ、音を立てて外れる。
わずかな赦しの気配。
けれど、それはまだ、言葉にするには脆すぎて。
だから、そっぽを向いたまま、小さく答える。
「……でも、まだ許してないからな。バカ。」
吐き出した言葉が、柔らかく掠れる。
閉じかけていた扉の隙間から、かすかに期待が差していて――
自分でも、驚く。
素直になんかなりたくない。
けれど、全てを突っぱねることもできなくて。
その境界線で、旗のように、心がふらふらと揺れていた。
「誰が、ガキとなんか仲直りするかよ」
ふいに背を向けたまま返された言葉。
笑い飛ばしたようでいて、どこか照れているみたいで。
その足取りに、ためらいがひとつ混じる。
まるで、落ちていた小石を、そっと拾い上げるように。
そして――
「……バカが。」
ぽつりと、名もなき星屑を置いていくみたいに。
それは、贖罪でも、言い訳でもなく。
たった一言で繋いだ、不器用な手紙のようで。
余白に浮いたままのわだかまりを、
完全に解くことなく、でも手放さずに――
僕たちは、静かに、歩き出した。
読んで下さり、ご覧くださり、ありがとうございます。
どうもっ、ルアンです(≧∀≦)ゞ
やぁあ、イッキ読み勢も、浸ったヨ勢も
お疲れえええ
一緒に水のみ~の
深呼吸やっ(((o(*゜▽゜*)o)))
一緒にせーのっ!!
すううううぼおおおおおおお
……はい、おっけぇ!!
ちゃあんと、のんだ水をむせれたら、完璧だよっo((>ω< ))o((クソ野郎がwww
てなわけで、
いやぁ、濃い濃い濃い濃い
本当に書き直してよかったわぁ、、、
あ、そうそう
加筆と、一部修正してんだよ、実はこれ、サブタイ付けた以外にもね!
特に、前回のシルアのエミレへの『コクハク』シーンとかっ☆w
、、、ってか、今回話したいことだけは、全部あとがきで綴っちゃったからなww
(リンク張っとくべ→ https://ncode.syosetu.com/n9016kh/46/ )
しいて言うなら、今回あとがき、興奮しすぎて、情緒を落ち着かせながら書いたから、かなり時間がかかったとか??
ま、しゃあないよ
うちの子たち、、まじで最高やん??
だから、心拍数あがりすぎて、キモくなるのは自然の摂理って訳ッ♪w
あそうそう、次の投稿、20日かなぁ??
でも遅れる可能性高し
え、これ話す?言い訳させてね?
というのもさ、
いやぁ、これ、あとがき共にだよ?
クセギブが、日本侵食されてるなってスゲェ感じてて、、、
まままま、そこまでは想定内というか、むしろ良なんだけども。
そろそろね、海外の面もパクっていかないとということで!!!((
はい!!
インド神話!!
行ってきますわ!!
なんでインド神話かっていうとね
これ、私の最推しの!!
古事記に似てるからなんすね!!??!?
あのね、どっちもガチで、いい意味でよ?
いい意味で、本当にトチ狂ってるんだわwww
まままま、ちょっというと、
古事記は、そうねぇ。。
夫婦のケーキ入刀感覚で、日本が創られるし
インド神話に至っては、
冒頭が、神がね、踊りながら世界を破壊するわで
もう、がちで最高に、狂ってるんだわwww
本当に、大好きで、こういう意味わかんないクセツヨなのがww
もう、聞くだけで、クセギブに応用できそうなところ多いやろ?ww
なので、夏休みは、クセギブを綴りつつ、副業の色々もこなしつつ、インド神話を履修するというね。
大きな目標があるんすよぉ╰(*°▽°*)╯
ま、クセギブをパワーアップさせるためにも、明日は、インド神話学びに行くんで('◇')ゞ
次の投稿20日ね、遅れても、ゆるしてねっ((それが言いたかっただけだろwww
そして、そして、世界観説明やら、登場人物説明やらね、色々出しましたんで!!
ぜひぜひ、そっちも楽しんでくれたら嬉しいなq(≧▽≦q)
てなわけで、今週は三連休だそうで!!
みんな、ゆっくり休むんだぞ♪
無理せずになっ!!
じゃ、えびりばでぇ、またねっヾ(≧▽≦*)o




