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第三十四話 シルア、拳の意味を識る(投稿遅延しちゃう...詳しくはあとがきから!!)

少し残酷かも...っていうのを念頭に読んでくだされば幸いですっ!!

SIDE シルア


「だって――殺しちゃえば、いいだけの話だもんね?」


残酷に鳴る呪いの片鱗。

妙に軽やかな響きが、耳の奥に棘となって突き刺さる。


ぽたりと落ちた声が、世界の底を抉る。

静かに、じわじわと――世界の理ごと腐らせるように。


虚空に嚙み砕かれていくような感覚。

秩序も、正義も、正しさも、感情すらも。

この世のあらゆるものが――否応なく、吞み込まれていく。


塩のように鋭く、皮膚を灼くような嘲り。

まるで、濁った濁流に垂れた一滴の毒が、空気全体を泡立たせるように。


その中心に、エミレが――いた。


血に埋もれ、笑う。

唇だけを異様に吊り上げて、狂美に。


――嘘だよね?


心が、否定しきれずに軋む。

痛みは、もう傷口からじゃない。

心の奥、願いを閉じ込めていた場所から、染み出すように熱く痛む。

現実を塗りたくって、染み込ませるように。


ジンジンと、熱く……まだ幻を孕んだまま。


「まずは、あんたからッ!!」


エミレが、跳ねた。


壊れた人形のように、歪みを纏って突進してきた。

骨のきしむ音が、幻聴のように耳の中で響く


見慣れた声。見慣れた身体。

なのに――その全部が違くて。


凶器のように、よろめきながら踊る。

その勢いが、いつ壊れても厭わないと言わんばかりで。


足はもつれそうなほど不安定なのに、信じられないほど速い。

一歩ごとに、関節を逆に曲がるんじゃないかと思うほど不自然で、

だけど、確かに一直線に、僕に向かってくる。


身体の重心が、ふらついたまま定まらない。

けれど、剣だけはまっすぐで。

迷いも、躊躇も一切ない。


ただ在るのは、怒気と狂気と、得体の知らない悪意。

そして――僕を『排除する』という明確な意志。


その彼女に渦巻く感情が、僕から気力という気力を全部剥ぎ取っていく。


「「シルア!!」」


ぽわタンと、ミカレの声が重なって響く。

でも、その声は、どこか遠くて、沈む水の中で聞いているようだった。


足が、動かない。

腕が、伸びない。

声も、でない。

心までも、どこかに置き去りにされたようで――


――動けない。


錆のこびり付いた鎖が、全身を絡め取るように。

――息をすることすら苦しい。


「……シルアは、待ってていいでごわすよ。」


「ここは、僕たちに、まかせ……てっ!!」


「キャハハ、死んじゃえっ!!」


――冗談だよね?


僕の心の叫びを無視するように、エミレが剣を振るう。


「いっけぇ~い!!」


剣が、奇妙な軌道を描いて旋回する。


回避の隙がない一撃でも、魅せるような美しさもない。

乱暴に、雑に、容赦なく。


剣を叩きつけるといった方が、正しかった。


それでいて、妙に滑らかで。

まるで――壊れたオルゴールが、不協和音奏でる手前のような歪さを秘めていた。


そして何より……


――バギッ。


乾いた、鈍い音。


思わず顔をあげる。


その先には――関節が逆に折れ、だらりと垂れ下がったエミレの腕が。


不自然にねじれて、肘が真逆を向いている。


骨が皮膚を押しあげ、裂けかけていた。

その周りを覆うように、紫色の染みが彼女の皮膚にこびり付く。


風が吹くと、腕が煽られる。

ぶらりぶらりと紙のように力なく、無慈悲に。

ただ、指先だけが抵抗するように、ぴくぴくと痙攣していた。


なのに。


「あれれっ!?

 折れちゃったのっ!!」


無邪気な声。

悪びれもせず、怖がるわけでもなく。


「も~、まったく……脆すぎだってば!!」


エミレは、ふざけているみたいに腕をぐいと掴む。


――バギャギイイイイッッ!!!


ぐしゃ、と嫌な音が耳を刺す。


骨と骨が、砕け合いながら擦れ、軋み、不協和音のような奇怪な唸りをあげる。

皮膚の中で崩れた何かが音を立てて、染み出すように空気を濁らせた。


……腕を、もとに戻した。

力ずくで、無理やりに。


骨と骨は、噛み合っていない。

皮膚と筋肉がずれて、血管が伸びきって、内側から裂けそうなほど脈打っていた。


湾曲したままの骨の周囲に、赤黒い内出血の跡が広がる。

真っ白い雪に、泥がこびりついたような異質さが皮膚で蠢く。


身体が、泣いていた。

悲鳴をあげていた。

このままじゃ壊れると、必死に訴えていた。


なのに、彼女はその声すら踏みにじるように――


また、跳ねた。


バネの切れた人形のように。

軋む関節を引きずって、しなる。

地面を蹴るたびに、何かが瓦解していくような気がした。


――ねぇ、なんで。

なんで、そんな風に戦うの?


乱れて、煩雑に、そして何より――自分を使い捨てるような戦い方。

『殺す』という宣言が、歯車が、噛み合っていないような感覚。


このままじゃ、エミレが――

エミレという存在そのものが、壊れてしまう。


止めなきゃ。僕が。


でも……。


「お前は、闘わないのか?」


ふと、背後から静かに浴びせられた声。

囁きのような温度でありながら――

その音だけが、僕の心の奥を真っ直ぐと貫いてくる。


レシャミリアだ。


ゆっくりと、振り返ると、彼は僕を一瞥していた。

わなわなと震えて、膝から崩れ落ちた僕を。


その瞳には、冷たさも、優しさもなく。

見定めるような色が、じっと佇んでいた。


「……そうか。

 よく、わかった。」


しばらくすると、レシャミリアは、ひとつ頷いた。


「エミレは、お前に殴られて死ぬほど弱いんだな。」


「それは……」


違う、違うと、心は叫んでいるのに。

言葉が喉の奥にへばりついて、その先の言葉が縫えなかった。


――心のどこかで、何かが止めていた。


「……はぁ。」


ため息がひとつ、頭の上に落ちる。

呆れたようなその声色は、僕の心を容赦なく刺してきた。


その刃が、僕の脆い部分を削って、雫を剥がれ落とす。


「――いないから。」


声にならないほどの嘆き。


「エミレが、いないから。

 ……戦えない。」


言ってから、気づく。

それが、どれほど情けない言葉か。


散々、エミレを守りたいって言っていたくせに。

咄嗟に出た言葉が、まさか、戦えないだなんて。


でも、それが――本音だった。


いつものエミレが、いなくなった。

そのことが、身がよじれるほど怖くて。


だから、心がついていけない。

手も、足も、魂も。

戦う意味が、勇気が――見つからなくて。


瞬間。


――パァンッ!!


頬に走る衝撃。

鋭く、容赦ない平手打ちだった。


反射的に顔が触れる。

視界がゆがんで、熱がひしめく。


湿布のように、じわじわと爽やかさを嗅ぐわせて、沁みる。


「問おう。」


レシャミリアが語りかける。

僕の心の奥に眠る『何か』に。


「お前のエミレに対する気持ちが、殴れないほど弱いのか。」


「それとも――」


ひとときの沈黙。

その間が、僕の感情を目まぐるしいほどに搔き立てる。


この先を、聞いちゃいけない。

そんな気がした。


でも……耳はその先に手を伸ばす。

虚空を振り払うように、添えるように力強く。


「お前とエミレの関係は、殴ったら崩れるほど脆いのか。」


想い出せ。


頬に、手を当てる。

問いかけるように、語りかけるように、そっと。


この痛みは……懐かしかったはずだ。


吞み込まれかけた記憶が、雪に洗い出される。

降り積もっていた想いが、弾ける。


――そうだ。

エミレがしてくれたのも、こんな平手打ちだった。


僕が、『死』を選んで逃げようとしたあの時。

彼女は、怒っていた。

悲しんでいた。


だけど――それ以上に。

僕を信じてくれていたんだ。


殴ってでも、引き戻してくれた。

言葉じゃなくて、拳で。


だから。


「違うッ!!」


身体の奥底から出た叫び。

その勢いが、心にかかっていた歯止めを、一気に薙ぎ払う。


「なら――殴れ。」


レシャミリアの声が、淡雪のように凪ぐ。


「……守るために。」


「ありったけの祈りと、想いを拳に込めて。」


「道を違えかけたら、力ずくでぶつかり合え。」


レシャミリアが、ゆっくりと歩み寄る。


その足音は、小さいのに不思議と重みが宿っていた。

そこには、必要な距離を詰めるような温かさがあふれ出ていた。


「そうすれば、また――繋がれる。」


「それが、『仲間』ってやつだろ。」


仲間。


その言葉が、すとんと心の脆い部分に降った。

ひび割れた部分を癒すように、奮い立たせるように。


暖かくて、少しだけ疼く。

滲み出た後悔の念が、想いを張り巡らされる。


目を伏せる。

震えていた指が、少しだけ静まるのを感じだ。


胸が、そっと押される。


言葉じゃない。

空気でもない。

でも、ちゃんと在る。

ここに、変わらないものがちゃんと生きてるから。


レシャミリアが、静かに告げる。


「取り戻してこい。」


その言葉は、命令と着飾ったひとりの願い。


「エミレを――(まも)れ。」


僕の中で、温め続けていた種が、

雪にじんわりと守られて、やっと根を下した。

読んでいただき、ご覧くださりありがとうございます。

どうもルアンです(*´꒳`*)


えちょっとここで書いちゃお

あとがき今回さぁ、わりかし真面目なの書いちゃったから、ここでちょいとほっこり話さーせてっ!!


実はさ、1ヶ月前くらいかな?

レシャが、突然私のところに来て。

なんで来たとおもう?


『自慢しに来た』


だってwww

いやまぁ、そこはまだね、いいんだけど。


その日、シルたんが、ぽわタンたちにぶちのめされる話だったの。

だからさ、シルたんのマインドを共鳴させるんだって思って頑張ってたのよ。


なのに、永遠と耳に入るは、レシャの『俺様、かっこよすぎEEEE』話ww


俺様、このときさぁ、まじで名言吐きすぎて、かっこよすぎて、辛かった。

もはや、呼吸レベルだよな。

俺様って、存在が宝なんだよな。

ルアンもそう思うだろ?


(•_•)←ルアン無言


そんな頬赤らめるなよ、俺様が恥ずかしいだろ。


ってww

お陰で、シルアの気持ち吹っ飛んだから、あとでシルアを強制徴収したわww

あの自尊心の塊野郎があああ!!!!ルアン様に手間をかけさせやがってえええ!ww


でもさぁ、なんだかんだ言って、そのあと夕食にラーメン一緒に食べたんだけど。

猫舌なんだよね、あの子。


だから、ラーメンの器とは別に小皿にわけて、ふうふうしながらそろりそろりと食べてるの。

しかも、顔面が良くて、普段俺様なくせに、猫舌でちょっと臆病なところあるって、なんだよ!?

ギャップ萌えの天使かお前はっ!?

まぁじかわいいよな。


だからさ、思わずじっと見つめて、にやにやしてたら、盛大に殴られたわwww

前言撤回!!

あやつの中身は、天使ではなく、悪魔だったみたいだな(ぼそっwww


てなわけで、報復のため、レシャたんの意外な?一面晒しとくw


なんていう話を投稿遅れて、ゆっくりやってて申し訳ございませんっ!!

でも、話したかったのっ!!www


今回のあとがきは、こちらっ!!(もしくは上のシリーズ一覧から)

問いかけ、対話多めカモ。あと、頂いた考察についても少し触れてるかな。

まじめルアンが、皆様どうやら好きなようなのでね!!どうぞ、ふんっ!!(投げやりww

https://ncode.syosetu.com/n9016kh/40/


ブクマ、感想、評価ポイントの嵐で、ルアン震えておりましたっ……!!

本当にありがとうございますo(≧∀≦)o


次話の更新は、月曜日ですが、、

本編遅れているので、

ラジオをあと倒しにする代わりに、

前倒しにする可能性もありです。(テストとかの兼ね合いも考えないとだけど)


てなわけで、今日で週末かな!?

ゆったりと、楽しんでっ!!

じゃ、またねっヾ(≧▽≦*)o



夏風邪にやられちゃって、投稿遅れさせます!!

それに伴い少しこの後のドウア国の展開も遅れちゃうと思うのでその報告をあとがきでしたのでよければ見てほしい!!何より君たちへの感謝伝えたくて...╰(*´︶`*)╯♡

リンクはここ↓またはシリーズ一覧から

https://ncode.syosetu.com/n9016kh/41/

今週中には最新話出せると思うからシクヨロ!!

またねっ(*ˊᵕˋ*)੭ ੈ

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