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第二十九話 シルア、残滓を纏う

SIDEシルア


リスタート、とは言ったものの……


「ぽわタン、もう、いっかい!!

 れっつ、ごー!!」


弾けたミカレの声が、コロシアムの空気を震わせる。

彼女の指が、こちらを突き抜けた瞬間、空気が裂ける。


――ビュンッ!


身を捩る。わずか数センチ。

僕の頬のすぐ横を、暴風の塊がすり抜けた。


熱い。風圧と衝撃が、皮膚に刃のように食い込む。

まるで、風が激昂をあげてようだった。


やっぱり……強い!!


この『人間爆弾戦法』が、始まってから一撃すらまともに入れられてない。


ミカレの重力を操る才腕(ギフト)で、宙を自由に舞い、

ぽわタンの跳ね返す才腕(ギフト)で、物理的な衝撃やエネルギーを倍増させて跳ね飛ばす。


このふたつが、合わさった攻撃って、つまり――


当たったら、終わり。


文字通りミンチだ。

再起不能どころか、骨も皮も残さず抉られるかもしれない。


でも、それよりも――


「……じぬでごわず、ゴエ」


人間爆弾(ぽわタン)のダメージの方が大きかった。

むしろ、死にそうなのは、ぽわタンの方だ。


ぽわタンは、呻くように呟いて、項垂れる。

その目には、もはや生気ではなく、執念だけが根付いていた。


「うんうん……まだ、いけそ」


そんなぽわタンの姿をみて、満足そうに首を上下に振るミカレ。

仁王立ちをして、高みの見物をしている。


……いや、全然大丈夫じゃなさそうだけど!?


「――シルア、来るよ。

 交わして!」


エミレが、横で叫んでくる。


ツッコミをいれてる場合じゃない。


――また次の人間爆弾が、来る。


呼吸を合わせるように、身体を動かす。

飛んでくるぽわタンをギリギリで回避して、その間にミカレとの距離を詰めようとする。


でも――届かない。


彼女の重力制御があまりにも巧みで、

こっちが動こうとするたびにぽわタンが変な軌道で襲ってくる。


押し返す暇もないまま、ただ消耗していく。


僕たちの攻撃が通らないわけじゃない。

エミレの創無花(クレア・ニイロ)で人間爆弾も交わせているし……

圧倒的に、先ほどの状況とは違う。


けど――

決め手に欠けている。


ミカレ達のあのコンビネーションが何とも厄介だ。


僕たちも、それぞれの呪印(シジル)を生かした戦い方できないかな。

ミカレや、ぽわタンのような能力をつかった連携技……みたいな。


リュドエールルと、エミレを見比べながら、必死に思考を巡らす。

先ほど漂ったあの爽やかな香りが、再び僕の周りに漂った。


そこで、閃く。


「エミレ、僕の体表に……創無花(クレア・ニイロ)出せたりしない?」


「えっ、なにそれ!?」


一瞬、動揺の色が走るが――


「……ん~、でも……わかる。やってみよ!」


すぐに、好奇心に塗りつぶされる。


え?即決!?


そこで、僕は一幕の不安を覚えた。

なんか、ヤバい気がする。


「いや、ちょっと待って、失敗したらどうなる?」


「失敗したら、死ぬかも?

 でも、大丈夫!

 ほら、私、しがなき覇者だし!!」


恐る恐る聞いた僕に、彼女はあっけらかんとした口調で、衝撃的な事実を跳ね飛ばしてくる。

挙句の果てには、サムズアップして、ウィンクをおまけしてくる始末。


……ほんとに大丈夫か?


一瞬、冷たい汗が背中をつたう。


でも――


『行くよ、ばかシルア』


さっきの言葉が、胸に蘇る。


……信じよう。エミレを。

きっと彼女なら、何とかしてくれる。


「エミレ、やろう!」


「待ってました! 

 じゃ、創無花(クレア・ニイロ)――虚空よ、咲け。」


残滓だけが存在証明の花。

その儚い影は、まっすぐと僕に向かってくる。


けれど……僕を消さない。

ふんわりと僕とリュドエールルを包み込む。


奥に眠る蕾をじんわりと暖めるように、優しくあやすように。


無に――守られている。


不思議な感覚だ。

この膜越しに、風の流れも、太陽のきらめきも、すべてが変わるようで。


これが、創無花(クレア・ニイロ)


皮膚の感覚が少しだけぼやけて、それが……心地良い。


「キャレレイ~」


リュドエールルも、安心しきった様子で、身体を揺らして、ゆらゆらとリズムをとる。


だけど、ここは試験。

そう永くは、この心地よさに浸かれない。


……人間爆弾が、再び突進してくる。


「――さぁ、シルア、来るよ。

 頼んだ!!」


「了解」


リュドエールルを構えて、纏う空気に意識を研ぎ澄ます。

薄く、けれども、強く張り巡らされた、抱き着いてくるようなその花に。


「纏え、残滓――薫鎧虚残(ザンファルネア)!!」


鼻腔を擽るは、虚空。

爽やかで、飾り気のない凛とした薫り。


その香気は、人間爆弾(ぽわタン)の勢いを飲み込む。

撫でるように、隠すように。


重力を虚空で打ち消して征く。


「なっ!?

 ……ミカレっ」


ぽわタンが振り返る。

が――もとに戻った重力に、流れてるように落ちていく。


僕は、真っ直ぐと虚空を纏って、進み続ける。

重力も、空気も、風も、何もかもを無視して、宙を歩く。


……楽しい!

真剣に戦うのって、こんなに楽しかったっけ!?


いや、違う――


「シルア、ナイス!!

 そのまま、いっけぇえええ!」


エミレと戦ってるからだ!!


圧倒的な力を奮っていた重力を、諭し、戻す。

そうして、どんどん天空へと上がり続ける。


その先には――ミカレ。


彼女は、鋭い視線で、さらに重厚感を孕む。

けど、そんなの関係ない。


すべてを、虚空にもたらすだけだ。


リュドエールルを握りしめて、大きく振りかぶる。

剣身が、空気となじむたびに、重力は雲散する。


重力がなければ、ミカレは成すすべがない。


これは、勝てる――!!


……そう確信した、その瞬間。


――ギャラゴオオオオ!!


()()が、コロシアムの床をぶち破る。


え……?


頭が理解するより先に、響いたのは――


「時は、満ちた。

 さぁ、鳴らそう――『混沌の鐘』を。」


残酷な起動音。


黒いローブに、無機質な声。

僕たちを見据えるその気迫には、明らかな狂気が。


こいつ――まさか。


「クローブ……なのか?」


ご覧いただき、読んでくださり、ありがとうございます♪

どうも、ルアンですっ(≧∀≦)ゞ

ちょ、時間ヤバいから手短にいくよ!!((お前のせいだろw最近多いw


技とか、語りに浸りたい方は、あとがきにこのまま直行だっ!!


えっと、あとがきでは、ルアンのPON集後編をやっておりまする!!

いつもどおり、ボリューム多いデスw本編の二倍あるよww

リンクはこちら→

https://ncode.syosetu.com/n9016kh/36


ほい、そして!!

今執筆中に!!

ブクマもらったです!!

ありがとおおおおおおおおおお!!


え、もうまじでうれしかった。。。

なのにさ、過去最遅なのはず((

人類の恥さらしになりえないぞルアンww


もう、なんかうれしい感想とか、ブクマとか評価とかいただいてるので、

今から見ながら泣くんで、ちょ、、もう閉じさせてw

浸るの!!君たちに!!

www


本当に、みんないつも読んでくれて、ありがとう。

言葉じゃ示しきれないから、これからも綴り手として精進積み重ねていきやっせ!!


というわけで、次の投稿は土曜日!!かな、たぶん!!

ラジオは、今週中にがんばりますっ!!

じゃ、明日は、金曜日ということで、

週末前も無理せず!!


じゃ、またねっヾ(≧▽≦*)o

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