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第二十五話 覇者、ざまぁをする(記念イラスト追加したよっ!!)

SIDE ショーン


「だって、僕たち――ギルド長専属冒険者だから」


ミカレの声が、鋭利な刃のように、先ほどまでの熱のこもった空気を切り刻む。


場が静まり返る――


しかし、その沈黙はすぐにざわめきにかわる。


「おい、あれがギルド長専属冒険者……?」

「あんな子供がか?」

「いや、さすがに冗談だろ。」


観客席のあちこちから、疑念と戸惑い、そして興奮の混じった声が湧き上がる。

どよめきは、波のように広がり、会場内に熱を伝播させる。


そんな中、ぽわタンは、ミカレに近づき、声を潜める。


「ミカレ、おでたちの目的わかってるでごわすよね?」


心配そうに問いかけるぽわタン。

その声には、責任感とプレッシャーがにじみ出ていた。

が、ミカレはうつろな目をして、こくりと小首を傾げる。


「なん、だっけ……」


「だからほら!レシャミリア様の言われてたことでごわすよ!」


「ああ……なんと、なく、わかった。」


「って、絶対わかってない顔でごわすっ!!」


ぽわタンは、頭を抱え、ツッコミをいれる。

対して、ミカレは、けろっとした表情で、サムズアップをする。


「だいじょぶ、僕、やれば、できる子……だから。」


「ここで、謎の自信は、いらないでごわすよおおお!!!」


しかし、時間はいつまでも待ってくれない。

ぽわタンは、頬を叩き、気合を入れなおすと、ミカレを見据え直す。


「……じゃ、行くでごわすよ」


「……うん」


ふたりは、会場の中心へとゆっくりと、けれどしっかりとした足取りで進む。

その表情には、緊張と眠気という相反するものはあったものの、眼差しには確かな覚悟が宿っていた。


向かうは、エンドウエとソドオ。

先ほどまで、熱い戦いを繰り広げ、会場の主役だった者たち。


そんな彼らの現在の様子はというと、


――ぽかーん


完全に呆けていた。

そこには、先ほどまでの気迫はなく、ただ目の前の状況をあるがままに受け入れるだけの存在へと成り代わっていた。


「えっと……君たちが、エミレとシルアであってるでごわすか?」


ぽわタンは、やや緊張した面持ちで、声をかける。


しかし、帰ってきたのは――


「「っと、違いますね……?」」


あっさりとした否定。


「あ、そうで、ごわすか……」


絶望。


ぽわタンは、みるみるうちに顔が青ざめ、急いでミカレのもとへと顔を向ける。

彼女も心なしか、その眠たそうな顔に動揺が浮き出ていた。


「どうするでごわすか、ミカレ!?

 これ、完全に……」


「タイミング……ミスっちゃった、ね」


「そうでごわすね……」


何とも言えない沈黙が、ふたりの間に漂う。


そうして、()()()()()に気づいたふたりは――


「「……はぁ」」


ふかぁいため息をつき、じとりとレシャミリアを見つめる。

「助けて」と、その先の指示を仰ぐような必死の面持ちで。


観客の視線も一斉にレシャミリアへと向けられる。

そこには、どこか憐れみを込められた微妙な色が宿っていた。


「あっ、え?え?」


レシャミリアは、椅子から立ち上がりジタバタと、手を振り回す。

その動きが、これから断罪される者の雰囲気を誘う。


「――ねぇ?レシャミリアさん?

 この状況……どうしたんだろ?」


エミレが、追い打ちをかけるようにレシャミリアに問いかける。

そりゃもう、黒い笑みを浮かべて、笑いをこらえながら。

ネズミを追い詰める黒猫のように。


「いや、あの、その、ねっ!」


――じいい


レシャミリアの額に、ダラダラと汗が流れ始めるたびに、

人々の視線の圧が、ますます強くなる。


「みんなに楽しんでもらえたらな~、なんて、思っ、て……」


――じいい


「……すみませんでしたっ!!」


土下座。


閃光の速さのごとく、レシャミリアは、頭を床にたたきつける。


――ギルド長の威厳は、一斉にして砕け散った。


「ざまぁ」


エミレは、舌を出してあっかんべー。


「こら、エミレ」


シルアは、すかさずエミレの頭に手刀をいれる。


「あたっ」


(……まぁ、僕も多少は思ったけど)


ノエルは、深いため息をつき、レシャミリアに視線を移す。

もちろん、その目には、『ギルド長』に対する尊敬も心配もなく、ただ呆れが彷徨う。


「で、この状況どうするんですか……ギルド長?」


「んー……まぁ!!

 とりあえず、あのふたりに戦ってもらえばいいんじゃないかな!?」


((雑だな、おい))


観客たちの一斉のツッコミが、まるで合唱のように響き渡る。

が、しかし、レシャミリアは気にも留めず、ぐるぐる回る目をさらに回転させながら、叫ぶ。


……そう、この時彼は、異常なほどにテンパっていた。


長が狂えば、部下も狂う。


「わかりましたでごわすっ!レシャミリア様っ!!」


「こいつらをまずは、蹴散らせばいいでごわすねっ!!」


キラッキラの表情に、滝のような汗を流しながら、ぽわタンはガッツポーズをする。

どこか、イッてしまった様相で。


「……え、と。

 それは、やめた、ほうが……」


異様な状況を察したミカレが、止めようと手を伸ばすが――


「おっ!珍しく、ミカレもやる気でごわすね!!」


更なる勘違いを生んでしまう。

そのまま、誓いの握手。


「じゃ、審査員さんっ!

 試合の合図お願いするでごわすよっ!」


「え、ねぇ、エミレ、この状況……絶対ヤバくない?」


観客席に座ったまま、シルアは、エミレを伺う。

(しかも、僕たちのこと呼んでた気が……?)


「んー、大丈夫じゃない?

 ほら、ノエルおねーちゃんも止めてないし。」


「そう、なのか……?」


「キェキィ……?」


ノエルが、エミレたちから目をそらす。

まるで、この先の保証はしないとでも言いたげに。


「わ、わかりましたっ。

 ギルド長様のご命令とあれば……」


「で、では――」


司会が、旗を持ち上げ、試合のスタンバイをする。

その腕は微かに震え、この状況の異質さを、なによりも体現していた。


「はじめっ!!」


……あっという間に、切られた戦いの火蓋。


ぽわタンが、前に出て構えをとる。


「じゃあ、おでからいくでごわすよ!!」


「ぽわタン、まって、ここは……僕が。」


そこへ、ミカレが、軽く舞うように、間を割り込む。


「っけ。子供ひとりくらい、楽勝だろ。

 ……これで、勝てれば負けも消せるし!!」


ソドオは、口角を上げ、隠し持っていた斧を取り出す。

そうして、金塊を掘り出すように、斧を振り上げる。


「ちょ、待てって!

 お前ら、たぶん、コイツ……」


ただ者ならぬ雰囲気を感じ取ったラリプルスは、

才腕(ギフト)を発動しようとするが――遅い。


(眠たいし、早く()()()たちと、戦いたいし……ちょっと、がんばる)


「ん、じゃま。

 どいて」


その声は、あまりにも平坦で、癖がなかった。

感情の起伏のない、眠たげな声。

けれど……


――バンッッ!!


空気が、裂ける。


たった、ひとはたき。


ミカレが、手を振った瞬間……

エンドウエ、ソドオ、ラリプルスはもちろん、水に姿を変えていたはずのラピカドまでもが、


――場外へ吹き飛ばされていた。


まるで、紙が風に飛ばされたようにあっさりと、何の抵抗もなく。


地面を転がり、砂塵をあげながら、数十メートル先で止まる。


「「え?」」


会場にいる誰もが、この状況を理解できていなかった。

空気が凍り、誰もが唖然とする。


「一撃……!?」

「ありえない」

「なにが、起きてるんだ……?」


徐々に膨れ上がる恐怖と畏怖を含んだわざめきが、毒のように、会場をゆっくりと蝕んでいく。

空気が、のしかかるように重くなり、息苦しさを覚える。


「おい、今目の前にいるのは、本当に『人間』なのか……?」


ざわり、ざわりと、震える声が、背筋が、手足が、明らかな拒否反応を示し始める。


そうして、じんわりと緊張感を植え付け――


「というわけで」


不意に、ミカレが振り向く。

その無機質な目には、もう先ほどの眠気など携えてはいなかった。


狩る者としての絶対的な意志。

圧倒的な強者だけが、持つその威厳を構えていた。


「でてくるでごわす……エミレとシルア?」


本命を引きずり下ろす。


その絞り出された声は、警鐘のように、コロシアムに反響する。

重厚感と、圧を孕んだその音は、人々の心を逆撫でる。


(こいつら――ちょっと、いや、かなり手ごわい。

 この戦い、ただじゃすまなそうだ……)


エミレが、思考を張り巡らせながら、唾を飲み込む。

額から、ひとすじの汗がにじみ、垂れ落ちる。


――ポツリ。


劇場は確実に――戦場に変わりつつあった。

ご覧いただき、読んでくださり、ありがとうございます。

どうもっ、ルアンでっっす!


いや、今日も今日とて遅くて申し訳ない。

イラスト描くよ描くよ詐欺は、明日終わらせるので、ご安心を!!


あ、そうそう、しばらく3日に1回更新にするつもり!!

(YouTubeでラジオ投稿するつもりなので、その関係でもろもろ、ね。

 あとは、今後の展開的にも。)

このペースで行くと、7月4日にドウア国編が終わる予定です。

で、そのあと、10日間は、スランプ防止のためにおやすみいただきますので、ご了承くださいませっ!!(*- -)(*_ _)ペコリ


そして、今日のあとがきは、ルアンが、心理テストで遊ぶあとがきですわ!!

君たちも、挑戦できるように、整えてるから一緒に遊んでくれるとうれしいゾ!!


↓リンクはこちらから!!(もしくは、シリーズ一覧で!!)

https://ncode.syosetu.com/n9016kh/32


前話から、91PV頂いております。そして、1600PV達成!!

みんな、マジでいつもありがとおおおお!!

これからも、みんなが楽しく過ごせる場所であり続けれるようにがんばるねっ!!


というわけで、みんな、また木曜日?かな

明日も無理せずに!!

またねっヾ(≧▽≦*)o



追記:

記念イラスト描いたよんよん!!

なんとね今日感想もらったの!!!

本当に感想を下さった方ありがとうございます( ; ; )

明日ケーキ買いに行くわ((今日はハンバーガーだったw


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


ごわすくんもミカレちゃまも可愛すぎて!!

ダメだ!!これで今日のギャップだぜっ!?

心に刻むんだ!!

性癖をぶち曲げるんだ!!

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