第二十一話 覇者、喰らわれ、魅せる(記念イラスト更新したよ~~!!レビュー感想本当にありがとうございます!!)
投稿明日の金曜日にします!!
申し訳ございません、、
が、あとがきで読者を語ろうのコーナーは投稿しましたので!!是非息抜きに!!
SIDE シルア
「エントリーナンバー8!!
ハダカネズミの大群を倒したという期待のルーキー!
エミレ&シルアコンビの登場だぁぁああ!!」
……この声を聞いた瞬間、正直失神しかけた。
ここは、ドウア国の中心にあるコロシアム。
円形にくりぬかれ、天井からは空が覗いてるが、どす暗く、息苦しい。
まるで牢獄のようだ。
隣には、飄々としたエミレ。
背には、震えるリュドエールル。
そして、ぐるりと僕たちを囲むように、無数の観客が押し寄せている。
その観客席の最上段――1番上には、
ざまあみろとでも言わんばかりの笑みに囲まれたギルド長、レシャミリアが。
「そして、ふたつ、君たちのためにコンテストを用意した。
もちろん、『ギルド長専属冒険者』になるための、な。
そこで、君たちには、それに参加して、勝ち残ってほしい。」
……あの時の言葉を思い出す。
簡単に言いやがって、マジであとで殴る。
キッと睨みを利かせた僕に、かまわずレシャミリアは鼻歌交じりに手を振ってくる。
まるで、ここが余興の場であるような悠長さで。
一方、観客は、僕たちの登場で大盛り上がりだ。
興奮、期待、羨望――そんな感情の豪雨が、僕たちに打ち付けてくる。
空気が揺れ、そして、床が反響する。
そのすべてが、じわじわと、僕たちに迫ってきていた。
まさに、圧倒的な群衆の威圧。
――いつか、体験したあの群衆とはまた違ったものを感じた。
そんな熱気に包まれた勢いに、司会の進行が傘をさす。
「さぁあああて!
対するは、ポリポリコンビ!
『とにかく、なんでも食べられる』という冒険者最高の才腕を持つ彼らは、
期待のルーキーを打ちのめせるのか?!」
……いや、司会の人のテンションも語彙力もひどすぎない!?
ほら、もうちょい、盛り上げ方ってもんが――
と、突っ込む間もなく、現れたのは、大柄な男ふたり。
ガタイが良く、まるで喰らうためだけに鍛えられたような肉体。
そして、その視線は……僕たちを『食材』としてしか見てなかった。
ぞわりと悪寒が走る。
「勝ち残るのは、謎多きルーキーか、はたまた、冒険者最強の才腕をもつポリポリコンビか!?」
司会の掛け声とともに、旗が高く掲げられる。
円形に切り取られた戦場の中で、足音が交差する。
緊張が、床の石から身体中に染みわたる。
勝負は近づいているのだ。
集中しないと。
互いに、睨み合うような鋭い空気の中――
ふと、エミレが僕の方を見てきた。
彼女の目にはどこか、過去を回顧するかのような深さと、明るさがあった。
「シルア、いくつか君には言っておくことがある。」
「え?」
「ギルド長が、言っていた通り、これは、私たちが『ギルド長専属冒険者』になるための体裁的なオーディションだ。
でも、だからこそ、ここでは、ただ勝つだけじゃ許されないよ?」
「それって、どういう……」
「それと!もうひとつ。
シルア、なるべく呪印は使わないようにね」
「……っ!?」
意味が分からない。
一度に入る情報量が多すぎる。
体裁的なオーディションだからこそ、圧倒的な力を指し示して、勝てってこと?
じゃあ、なんで呪印はなるべく使うなっていうんだ……?
矛盾しすぎている気がする。
思考の波に溺れるたびに、試合は刻々と迫る。
司会は、張り裂けんばかりに空高く旗を掲げ、誇らしげに胸を張る。
そうして、
「すう」
小さな呼吸が、前震のように波動していく。
観客の歓声が、止む。
まるで、獲物を捉えんと肉食獣が、息をひそめるように、ひっそりと。
そんな静寂に包まれた時間の後――
「ギルド長のお墨付き!
『専属冒険者』の座を賭けた、命のバトル、スタートだァァ!!」
試合の火蓋が切られる。
刹那、割れるほどの歓声が、コロシアム内を支配する。
……始まった。
わかんないけど、やるしかない。
迷ってる暇なんて、ないんだ。
前を見据えると、だんだんとポリポリコンビが近づいてくる。
じわりじわりと、獲物を捕らえるように。
「なぁ、ポリリ、最高だろ?
今目の前に、かわいこちゃんがいるぞ!?
どんな味がするんだろうなぁ」
「おい、リポポ、早まるな。
男もいるんだ、じっくりと楽しんでいこうぜ。」
「ま、そうだな。
じゃ、俺はこのかわいこちゃんから行かせてもらうぜっ!」
リポポが、一直線にエミレの方へと向かう。
あの巨大で、あの踏み込みは、異常だ。
そのことが、なによりの猛者感を示す。
だけど――甘い。
エミレは、そんなに隙だらけな走りをしない。
彼女なら、もっと素早く、無駄がなく、そしてしなやかに走る。
エミレは、近づいてくるリポポに剣で応戦しようと構える。
しかし、リポポは、そんな彼女の動きにも、突進をやめない。
これは、きっとエミレが勝つ。いける。
圧倒的な一撃で。
まさに、しがなき覇者の名に相応しい一太刀で。
――そう踏んでいたのに。
「……ポリっ!!」
エミレの剣は喰べられる。
呆気なく、お菓子のように。
「ごちそうさん、かわいこちゃん。」
――え?
僕は、何が起きたかまったくわからなかった。
エミレの剣が……喰べられた?
彼らが、なんでも食べることのできるという才腕を持っているのは、わかっている。
問題はそこじゃない。
エミレなら、避けられたはず……だ。
なんなら、呪印を使わなくたって、一撃で仕留められた。
それほどまでに、リポポの動きは、雑だった。
なのに、なんで?
どうして、まともに才腕を受けた?
「あらら、やられちゃった。
君、なかなかやるねぇ!
剣を喰べるなんて聞いたことないよ!」
エミレは笑顔のまま、爆弾を投げつける。
けれども、それはどう見ても、粗い攻撃。
リポポは、ポリポリと爆弾を喰らい、距離を詰めていく。
エミレが、あんな攻撃をするなんて、ありえない。
まさか。
「――おい、男。
お前の相手は、こっちだ。」
気付けば、目の前まで、ポリリが迫っていた。
色々考えるのはやめだ。
……僕も集中しないと。
意識を研ぎ澄ます。
最高の一撃を繰り出すために。
だが、その時――
観客の歓声は、一層勢いを増した。
その声は、ある種の達成感と、激高が混ざり、渦を巻く。
横を見ると、爆炎に囲まれたリポポが。
彼の表情には、焦りと危機感が募っていた。
――そして、その中心には、尋常でないほどの爆弾を叩き落とすエミレが。
彼女は、どこか積み上げてきた小さなものが上手くいった者の形相だった。
エミレは、この瞬間、明らかにコロシアムの空気を支配していた。
彼女は、そのまま爆炎へと剣を振るい、歓声を奏でる。
――そこで気づいた。
彼女は、戦っているんじゃない。
『演じている』んだ。
わざと剣を喰べさせる。
わざと苦戦させるように見せる。
わざと必死なふりして押し返す。
そのすべてが、観客を沸かせる演出。
圧倒的な一撃で終わらせるんじゃない。
ドラマを生み、歓声を紡ぎ、そして、物語を創る。
これは――
『守る』ための戦いじゃない。
――『魅せる』ための戦いなんだ。
その瞬間、僕はすべてを理解した。
もう二度と、エピネスの町のようなことが起こらないために。
人々が疑念や恐怖で、クローブの思惑に、惑わされないように。
だからこそ、『勝つ』だけじゃ、ダメなんだ。
魅せて、惹きつけて、認められなきゃ――
『ギルド長専属冒険者』になれない。
そして……僕たちは、変われない。
リュドエールル。
なるべく、普通の剣として、戦おう。
リュドエールルは、小さく頷く。
その余韻が、僕の頭を撫でた。
「……エミレ」
君のこと、またひとつ、知れた気がする。
けど――
「そういう大事なことは!!
最初から言えやぁああああ!!」
僕の叫び声が、コロシアムにこだまする。
まだまだ、試合は始まったばかりだ。
これから、どう転ぶかなんて、誰にもわからない。
例え、その戦いの意図を知ろうと知らなかろうと。
――甘く見ていたのは、僕の方だったのかもしれない。
読んでいただき、ご覧いただき、ありがとうございます。
どうも、ルアンです(*- -)(*_ _)ペコリ
今日は、シルアにぶん回されたドン。
だから、イラストは遅れてしまう、、、ごめんよおおお。
追記。
そして、イラストね、公開したよん!
ノエたんに、土下座してこのポーズとってもらった(あとちょっと賄賂も……wwww)
レビュー、感想、ブクマ、評価全部増えて、初見さんも増えたのかな?
とても感激感謝、号泣の今日ですww
追記しゅうりょ~
だんだんと、PVが増えてきていて、うれしいでござるぞ!
感想と、ポイントもいただいたのおおお!!感動の極みだよね、、、
そのくせ、イラスト仕上げで今日出せなくてごめんよおお((((
ホントに、君たちのPVという名の胎動が、励みになってるまじぃで。
前回から、130PV以上もらってるかんな!?ありがとうございます。。。
そしてね、今回の話、シルアVSルアンVSショーンになっとるって話とかw
読者のこと次話で語るんだけど、それきもくないかなって、GPTに聞くルアンとか
そういうの色々ブチこんだ、てんこ盛り回のあとがきはこちら↓(もしくは上のシリーズ一覧!!)
https://ncode.syosetu.com/n9016kh/25
次話は、木曜日更新予定~~!!(金曜日になりました、、申し訳ございません。)
楽しみにしてくれよなっ☆
じゃ、またねっヾ(≧▽≦*)o




