第十六話 覇者、尋問をする
今日は、短めです。
明日短めの一本出すと思います~(*- -)(*_ _)ペコリ
SIDEシルア
目が覚めると、僕はベッドの上にいた。
ダンジョンからここまで、エミレが運んでくれたのだろうか。
……視界が霞んでいて、あたりが良く見えない。
まるであの霧が、今でも僕の中に潜んでいるかのように。
でも、それが、かえって好都合だった。
今の僕には、しばらく起きる気になんてなれないから。
僕は目を閉じて、寝たふりをした。
ハダカネズミとのやりとりが心にまとわりついて離れない。
「青き少年よ――西の地へ征け。」
「始まりが、そこにはある。
……淡き夢を呼び起こせ。」
「さもないと、また、エミレは……」
頭の中で、梅干をなめるように、ハダカネズミの言葉を反芻する。
……西の地にいくことがエミレを救うことにつながるのだろうか。
それに、またってなんなんだ。
得た情報が多すぎて、頭の中がこんがらがっていた。
けれど、そのひとつひとつを繋げたら、また一歩エミレに近づけそうで――
ふわふわと浮かび続けている、この暖かくてくすぐったい感情にも名前が付けられそうだった。
エミレに言うべきか、はたまた言わない方がいいのか……それさえもわからない。
――つんつん。
もし言ったら、珍しくボケてるって、バカにされるのかな……。
それとも、まったく信じてくれなかったりして。
――つんつん。
言わなかったら言わなかったで、呪印の謎に遠ざかる気がするし。
次いく当てもないしなぁ。
――つんつん。
ほっぺをつつかれている気がする。
百発百中この正体は……
「エミレ?」
うっすらと、目を開ける。
するとそこには、にこにこと満面の笑みを浮かべた少女が。
「あっ、やーっと目を開けた!!
おはよ!シルア!!
ねぇねぇ、何考えてたの?」
エミレは、僕が起き上がるのを見るなり、さらに距離を縮めてくる。
起きてることバレてたんだ。
「……別に何も」
「あ!わかった。
テレパシーで当ててほしいんでしょ!
……ちょっと待ってね。」
エミレが、んーと唸ると同時に、特徴的なアホ毛が、くるくると円を書き始める。
相変わらず、どういう仕組みなんだよ、それ。
しばらくすると、何かを感じ取ったかのように、ぴこんとアホ毛が立ちあがり、ビシッと北をさす。
……かと思いきや、西に向きなおす。
もしかして、読まれてる!?
「見えました……あなたは今、ふたつの大きな選択の狭間に立っているようです。」
突然、占い師のような口調でエミレは語り始める。
……確かに、当たってはいる。
「もし、是という選択を取った時、あなたは――
支え合う人の偉大なる力を得るでしょう。
なにせ、胃袋を掴まれていますから。」
「7割は合ってる……雲息が怪しいけど。」
「ふっふっふ……でしょう!!
そして、もし否という選択を取った場合。
――私はっ!!嫌だって、駄々をこねます。
8時間。リアルタイム中継と実況付きで。」
「あ、ここで確信したわ。
エミレのテレパシー激はずれしてるわ。
……え、逆になんだと思ってたの?」
「え!?今日のごはんのことじゃないの!?
……信じられない。
ハンバーグか、パフェかで、シルアが迷っているのかと思ってた。」
「うん、全然違うね。
それで、なんとなく予想はつくけど……エミレはどちらを所望したの?」
「当然、パフェ!!!
パフェは、ご飯!!メインディッシュなのです!
ハンバーグとお友達なのです!!」
「よし、却下。
今日のごはんは、サンドイッチだ。」
「えーやだやだ!!
サンドイッチじゃなくて、パフェにしないと!
あ、パフェの中にサンドイッチをいれれば……」
「やめろ。世界中のパフェ教徒とサンドイッチ教徒から絞められるぞ。」
「えー」
「……まぁ、パフェはデザートならいいよ。」
「ほんとに!!やったぁ!!
パー!フェー!パー!フェ!」
エミレは、パフェを食べられると聞や否や、即座に部屋の中を舞い始める。
食事のメニューだけで、ここまで態度を変えるなんて……
まぁ、でも、それで喜んでくれるならいっか。
気がつけば、先ほどのモヤモヤしていたことなんて全部吹き飛んでいた。
こんな風に笑っていられる時間が、これからも続いていけばいいな。
……雰囲気も壊したくないし、このまま、話さなくてもい――
「それで、と。」
気がつけば、エミレは、僕を見据えていた。
飄々とした口調で、微笑んだまま。
――けれど、その目からは、感情が一切読み取れない。
「本題に入ろうか。
シルア、君はあのハダカネズミの王との戦いの後、何を見た?」
僕の甘ったれた考えは、エミレのひとことによって、あっさりと壊されてしまう。
彼女はきっと、最初からわかっていたのだろう。僕になにかがあったことを。
ここまで、来たら、もはや僕に逃げ場所はない。
……話すか。
「――夢を見たんだ。
ハダカネズミの王がでてくる夢を。」
「ほおう。
……それで?」
エミレは、何も動揺することなく、続きを促す。心なしか、いつもよりも声が低い。
彼女は、この話のどこまでを見据えているのだろうか。
「……西の地へ行けって。
そこに、始まりがあるって。」
「……始まり?」
エミレはそこまで聞くと、黙りこくって何かを考えるようなしぐさをした。
「それ以外は、何か言ってなかった?」
そのとき、僕の頭の中には、
――さもないと、また、エミレが……
という言葉が蘇る。
けれども、これは、言いたくなかった。
言う必要が、ないと思った。
――僕が、彼女を、エミレを守ればいいんだから。
「そうだね、これ以外はなにも。」
僕は、いつも通りの口調で、冷静に答えた。
「そう。」
エミレの口元が、わずかに弧を描く。
けれど、その瞳は、針のように鋭かった。
まるで、僕の嘘を見透かしているかのように。
「――あ、シルア。
ほめるの忘れてたね。」
道端に落ちた星を拾うような口調で、ぽつりとエミレが、つぶやく。
「あの状況で、よく恐怖と怒りを抑えられたね。
……あの時、君は、過去と自分自身を見つめなおし、怒りというものを支配することができた。
また一歩、覇者に近づいたね。」
その声には、先ほどと違って温かみがこもっていた。
それが、すこし、照れくさくて、うれしくて、何より誇らしかった。
僕も案外単純なんだろう。
料理のメニューひとつで感情がコロコロと変わるエミレと一緒で。
「西の地……どこかまだわかんないけど、一緒に来てくれる?」
エミレは、覚悟に満ちた表情を僕に向ける。
呪印のこともまだ、何もわからない。
先は不安だらけだ。
――だけど
「もちろん。ついてくよ。」
……どこまでも、たとえ、なにがあろうと。
僕は、君が、いるところにいたいから。
ご覧いただき、読んでくださり、ありがとうございます。
どうもおおお!!ルアンですっ!(๑•̀ㅂ•́)و✧
いやぁ、エミレちゃんがね、盛大に暴れたので、書きたいところねかけなくてね、明日一話投稿するよ!
はぁ、ほんんっとおに可愛いわ。
これだけ言わせて、まじでもうこういうエミレが生きてるってわかる瞬間がさ、書いててよかったって感じるんですよね……!!
なんてことを、語っているあとがき全文はこちら↓(もしくは上のシリーズ一覧から!)
https://ncode.syosetu.com/n9016kh/17/
ちなみに、サブタイトルを付けようと思っております!(結構長文タイトルになる予定)
前話から38pvいただいております!!
ほんとおおおうに、いつもありがとうございます(*- -)(*_ _)ペコリ
ログインしてない方でも、感想送れるようにしておりますので!
よんだよと、送ってくださるだけでも涙が出るほどうれしいです!!
そして、ブクマ、お星さまぽちぽちもしていただけたら、もう穴という穴から水を出して海になります!!(謎)
ぜひともお気軽に、よろしくお願いしますm(__)m
ではでは、皆様、また会いましょ~またねっヾ(≧▽≦*)o