第霊話 その世界の覇者は、支配できない。(ネタバレ苦手な人は非推奨だけど、ここからの方が、テンポはよき!!)
やっほー! そこの読者さん、聞こえる?
うんうん、ナイス反応!
……というわけで、はいっ! もう君は仲間に決定ーー!!
あ、強制だよ? 拒否権?
そんなもん、あるわけないじゃん!
だって私、世界の覇者だもん!!
(※ご安心を。責任は、ぜ〜んぶ綴り手・ルアンがとりますので!)
わかってるんだ。
君はきっと、この物語に何度だって戻ってくる。
エミレやシルアたちの旅が、君の心に残る――そんな気がしてならないんだ。
だから、ようこそ。
これは、彼女たちと君自身が、“世界の覇者”になる物語。
……でもね、ひとつだけ注意!
この「第霊話」は、ちょっぴりだけ――
『物語の核心』に触れてるかもしれない。
「まっさらな気持ちで楽しみたい!」って人は、第一話からの冒険がおすすめ!
……でも、「ちょっとだけ覗いてみたいな」って思ったでしょ?
ふふ、それなら――大歓迎!
綴り手・ルアンが、保証するよ。
この物語は、笑って、泣いて、叫んで、走って、
そしてきっと――忘れられない旅になる。
さあ、世界の扉が開く。
最後の一ページまで、君と一緒に。
一緒に、“世界の覇者”になろう。
──それじゃあ、始めようか。
ここは、覇者の間――
その中心に伸びる紅色の絨毯が導く先は、玉座。
禍々しいほどに輝いた玉座の上には、ひとりの少女が、立っていた。
ツインテールの上に眩い王冠を載せて、堂々と。
「さぁて!
晴れて私、エミレは、世界の覇者になりました!!」
少女――エミレは、高らかに宣言する。
幼く可憐なその容姿とは裏腹に、その内には『支配者』としての覚悟と威圧に満ち溢れていた。
まさに、世界の覇者と呼ぶべきにふさわしい姿。
この世をはびこる光も闇も、生けるものも死するものをも、
そのすべてを支配し、慈しみ、そして、守る者の姿。
だが、そんな彼女にも支配できないものがあった。
ひとつは――
「が、残念ながら、あと、1週間でこの世界から去らなければいけません!!」
エミレは拳を握りしめて、続ける。
「なぜかって?簡単、それは――
あと7つの異世界で世界の覇者にならないと死ぬからです!!」
笑ってしまうほど、酷な神の呪い。
8つの異世界にて、世界の覇者にならなければ、命が尽きるという宿命。
残酷で淡麗で、どこか暖かさに溢れたそれは、今日も彼女の首を絞め、心臓を拍動させ続ける。
そして、そこから生まれる声は、すべてを受け入れた潔さとほんの少しの淋しさを孕んでいた。
ふたつめは――もっとタチが悪い。
「というわけで、皆の者――
泣けぇぇぇぇ」
最高のキメ台詞が、ゴール。
本来ならば、ここで、国民全員が、涙に明け暮れるはずだった。
……はずだったのだが。
「あれ、なんで泣かない?
君たちも、立派な国民だよね……私の。」
目の前には、たった3人と1振の剣。
しかも、ひとりは、玉座の横に寄り添っている状況。
彼らは、顔(1振は刃身)をきょとんと見合わせる。
「「「いや、異世界にもついてくし、悲しいも何もないだろ。
てか、まずまず、エミレの国民になったつもりないし。」」」
「キャケィキイ。」
と、ざっくりと、鋭くツッコミを入れる。
え、泣いてあげなよ……って思ったそこのあなた、さてはモテますね?
エミレは、おろおろしながらも必死に場を保とうと必死だ。
「なっ、だからって、ちょっとぐらい……ほら、世界の覇者になれた感動とかあるでしょ?」
だが、そんなすがるような訴えも虚しく――
「「「ないね」」」
「ケンケン」
秒で捌かれる。
そりゃもう、光の速さで、あっさりと。
「うわぁ。終わってる……だめだこれ。
こいつら、今ここで最高に覇者っぽく決めたい私の気持ちとかつゆほど知らないパターンだ。」
玉座の上で項垂れる、エミレ。
目に浮かぶ涙のせいか、あどけなさが全面に出る。
そんな彼女を、隣の少年――シルアは、優しく愛おしく見つめる。
シルアの紅目蒼目の瞳は、エミレしか映さない。
この世のすべてが、彼女でできているといわんばかりに。
そして、そのことを体現するかのごとく――うっとりとひとこと。
「うなだれるエミレも可愛い……すk」
「ゆけっ、キラッッぴこーんZ!!
シルアの口をふさげッッ!!」
慌てたエミレは、自立移動型の剣に命令を下す。
が――
「リュドエールル、わかってるよね?」
「キャケィ……(ブルブル)」
キラッッぴこーんZもとい、リュドエールルは主の圧に屈する。
なんなら、『元からそんなことするつもりなど、ございません』と媚びを売り始める始末だ。
その様子に満足した少年――シルアは、顔を引き締める。
この世の美というものをすべて集めたかのような風貌に、思わず空気も見惚れる。
「エミレ、改めて言うね。
僕は――」
「シルア、ちょ、タンマ!!
一旦……落ち着いて、ね?えーと、あとでそれは聞くよ。やっぱり、いつか、うん。」
エミレは、咳ばらいをひとつ。
一体どこで、歯車が狂い廻り、かまし始めたのか……。
歯車が狂った今、絶つべきは原因だと、決心し――
「……ていうか!もとはというと!このチャラ男のせいだよね!?」
ビシッと指をさした先には、灰色の髪をした男性が。
「いやぁ、俺はただ『好意は、適度に伝えたほうがいいよ』としか言ってないよ~?ははは。
……そんなことより、エトワちゃん、俺と遊ばない?」
チャラ男は、エミレの断罪も、のらりくらりとかわし、隣にいる藍色の髪をした美女――エトワに逢引の招待状を送る。
「黙ってください。不快です。」
即座に拒絶。
エトワの淡々とした声に、招待状は破られ、紙吹雪が舞う。
チャラ男は、つれないな~と、口笛を吹き、白旗をあげる。
そこへ……
「あ、じゃあ、私とぼいんでイチャイチャ――」
シルアから逃げたい&下心をこしらえたエミレが参戦するも、
「セクハラ未遂をする余裕があるなら、シルアさんの件に手助けは不要ですね。元気そうで何よりです。
では、私、忙しいですし、なによりこの状況が見苦しいので、家に帰って休みますね。」
エトワのスタンガン連射により、フェードアウトさせられる。
「いや、それ、サラッと私の仕事増やしているよね!?」
……無駄な足掻きにより、エミレを取り巻く環境はさらに悪化した。
「はぁ……応援してます。世界の覇者さん。」(棒読み)
「じゃあ、俺も町で美女ホイホ……んんっ。
平和維持活動にでも、参加してくるかな。」
「お前らぁぁぁぁ!」
そそくさと退室していく仲間にエミレは、悲痛な咆哮をあげる。
残ったのは、エミレとシルアと媚びフリフリと化した剣。
「エミレ、さっき言ってた『いつか』って、今だよね?」
シルアが、にっこりと笑う。
その姿はまるで、神という仮面をかぶった悪魔。
この後の状況は想像に容易い。
だんだんとエミレの顔が青ざめていく。
ブルーハワイより青く、悪寒を伴って。
……まさに、カオス。
「私はっ!!
世界の覇者なのに!!どうしてこうなったぁぁぁ!!!!!」
ふたつめは、クセの強すぎる仲間たち。
そして、もうひとつは――。
(……あと何日、君たちとこうやって過ごせるのかな)
これは、しがなき覇者が、サイコーな世界の覇者になる物語。
この物語を読み終えた時、
きっと君も――
世界の覇者になるだろう。
読んでくださり、読んでいただき、ありがとうございます!
どうも、『世界の覇者』作者のルアンです。(君たちを、強制的に仲間にした張本人だよ!)
初めましての方は初めまして!!
今回は“第霊話”ということでプロローグをお届けしました。
なんで“零”じゃないのかって?
それはね、ナレーションしてる子の名前が由来です(次の話のあとがきで出てくるよ!)。
本作は、エミレたちのカオスさで笑えて、時々泣けて、ちょっぴり厨二な冒険ラブコメファンタジーです!
まだ1世界目だけど、この先どうなるやら……!
あと、展開はちょっと(かなり?)遅めなので、その辺はご容赦を(*- -)(*_ _)ペコリ
この「あとがき」は作者が自由に騒ぐ場所なので、物語に集中したい人はじゃんじゃんとばしておくれよ!
あとがきの全文みてやろう!って方は、
https://ncode.syosetu.com/n9016kh/1
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または、上のシリーズ一覧から飛んでくれるとうれしいデス( ̄▽ ̄)
ではでは、また次回お会いしましょ~!またねっ(*´︶`*)ノ"