表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

かぜのつよいよる

ホラー映画の導入の様なお話として、練習として書かせて頂きました。

今日も仕事終わりに閉店間際のスーパーへ滑り込み半額のお弁当を買って帰る。


いつもと変わらない日常。


昨夜録画したアニメを観ながら半額弁当を食べて一息つく。


ああ、仕事もそれなりに忙しいしそれに関しては張りのある生活だと言えなくもない…のかも知れない。でも言いたくもない。

いつも何かに追われている気がして気持ちが休まらないのだ。

乾いた笑いが出るのを抑え切れず、もやもやした気分で食事の残骸を片付けた。


ガチャガチャと片付けをしているとほんの一瞬の静寂…アニメを再生しっぱなしだったテレビが停止状態になったらしい。

いや今までテレビの音声が止まった事でで外から何かノイズの様な音がしている事に気が付いた。

雨か?いや予報ではそんなに悪くなかった筈だが…。

通勤や仕事に影響があるから天気については毎日確認しているのだ。

では風が強く吹いているのかも…。


念の為に窓から外を見る事にした。

うん、ちゃんと星空が広がっているじゃないか。やっぱり雨では無かったな。

でも何故か風も強くない。

奇妙に思いつつ辺りを見回して確認する。

ここはアパートの3階なので見晴らしだけは良いのだ。


特に変わった所は無さそうだ…そこにも…ここにも…いや、暗がりに何かが居る?

目を凝らしてよく見るとそれは男性の上に馬乗りになってぼこぼこに叩いている女性の姿だった。


なんだノイズの正体はこの痴話喧嘩だったのか…。


男女の位置が逆なら大事だが、これならどうせ男が浮気でもしたのだろう。自業自得でしかない。

発見した時の恐怖が段々と怒りに変わり、やがて嫉妬に似た感情になるのに気が付いた俺は、わざと大きく「はぁー!」とため息を吐いてみせた。

こんな時間にふざけんなという意図だ。

流石に聴こえないだろうと思ったのだが、喧嘩中の二人にキッと睨まれた気がして大慌てで窓とカーテンを閉めた。

「やばいやばいw」

こんな日は早めに寝てしまうに限る。


奇妙な夢を観た。

大勢の人が走るパニックの様な光景。

壁を掻きむしっている人。

そこここで繰り広げられる乱闘。

そしてじっとりとした汗をかきつつの目覚め。

正直いまいちな気分だけど今日も仕事に行かなくてはならない。

戸締まりをして外に出ると、不意に昨夜の痴話喧嘩の2人を思い出した。


あの後どうなったのだろう?


昨夜喧嘩していたのはあの辺りかな…と目をやった先のアスファルトには何かの液体が染みた跡があった。

なんだこれは?

そしてそこから雫の跡が点々と続き、壁に掻きむしった様な赤黒い跡が残っている。

この壁の跡、ここは…俺の部屋の窓の真下だ。


言い様の無い不安感。

会社に行かなければならない義務感というか逃避、

そして「何かあれば警察が動いている筈だ」と自分に言い聞かせ、俺は逃げる様に会社へと向かった。

お目汚し失礼致しました。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ