"漢"の闘い
――始めようぜジョニー
そう言いながら僕は手に握ったマグナムをぎこちなく回転させた。彼に勝てなければ僕に明日は無い…その緊張が伝わらないように僕は頬を緩めた。
――僕に勝てると思っているのかい?マイケル
ジョニーはそう言いながら手に握ったマグナムを悠々と逆回転させた。彼は最強の凄腕のガンマンとして世界に名を馳せている名手。僕は今日何としても彼を倒す必要があったのだ。
――ははッ…デスゲームは楽しいなァ!
メイルは両手、両足、に銃を握りながらそう呟いた。
――よくも僕の弟をッ…メイル絶対に許さないぞッッッ…!
三治郎は"鬼のガンマン"の異名を持つメイルに弟を再起不能にされ、メイルを倒すためだけに銃の腕を磨いてきた。自分自身が復讐の"鬼"になっている事も知らずに…
――三治郎ゥ…君の弟は実に弱かったァ…まるでスプーンでプリンを掬うように容易かったァ…
メイルは銃口を三次郎に向けながらそう言った。
――メイルッ…!俺は弟のようには行かないぞッ!
三治郎の決意は堅かった。今日ここで全てを終わらせる。その"決意"と"勝算"が三次郎には有った。
――三治郎ゥ…残念ながらァ…君は勝てなィッ!!!
不意を突き、メイルは銃のトリガーに力を入れた。
ドンッドンッドンッドンッ
4発の銃声と共に勝ちを確信したメイルは頬が緩んだ
その刹那
――そこが甘いんだ…お前がプリンなんだ!メイルッ!
――ツッッッッッッ!?
メイルには何が起こったか分からなかっただろう。4丁の銃を扱うメイルの唯一の弱点。
――俺は今"君の後ろ"に回り込んだッ!
"後ろ"に回られるとヤバイいう弱点を…
――何だとォ…このメイル様がッッ…
――君は、足を銃を握るのに使った。つまり
"簡単に後ろに振り向けない"
そして足に力を入れる時に目を瞑る癖。それだけだ。
――三治郎ゥ…ブラボゥ…
ドンッ
それは"漢の歌"だった