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【5月27日 16:01分】

翌日の放課後。

いつもの様に図書室に集まる三人だが、その日は調査が進展したこともあり盛り上がっていた。


紆余曲折を経てラジオの謎の重要な手掛かりを得た三人は、調査の的を校長に絞ることにする。



「もし、校長先生がまだ旧校舎で何かを探しているなら、後をこっそりつけられないかしら?」


「おぉー探偵みたいじゃん! やろうぜ!」


「それにしても何を隠しているのかしら…ラジオの声から推測すると死体って可能性もあるわね」



飛鳥の推理を聞いて驚く祐希。

いくらなんでも流石にそれは無いだろうと否定する。



「し、死体!? いくらなんでもそれは…だって、もし仮に校長が何かの犯人だとして、唯一の手掛かりであるラジオを破壊しない理由はないだろう? あのラジオ無ければ声だって聞こえないんだ」


「そうね…何かを隠したいならラジオを壊すのが一番楽よね…うーん、それなら何かを探しているが正しいのかしら」



様々な可能性を模索しつつも、最終的にはラジオを持って旧校舎を時折徘徊しているという校長を飛鳥は尾行できないかと提案する。


健介はその提案に乗る気だが、昨日のこともあり祐希は慎重だった。



「いや、バレたらどうするんだよ…それでさえ目をつけられてるんだぞ俺達」



校長にマークされていることを指摘する祐希だが、飛鳥はそれに関しては気にする必要はないと返答する。



「別に見つかっても知らないフリをすれば問題ないでしょ? 私はバレても危険はないと思うけどなぁ。旧校舎が封鎖されているなら別だけどね」


「それはそうだけどさぁ…」



生徒の侵入が禁止されていない旧校舎で校長にたとえ見つかっても問題ないと話す飛鳥。


加えて旧校舎で活動できる時間が限られていると二人に伝える。



「引っ越しの整理が終わってない事には感謝でしょ? だから急がないと」


「どうしてだ?」


「移転が終わったら旧校舎は封鎖されるからよ」



急ぐ理由を尋ねる健介に、新校舎への移転が完了すれば旧校舎は封鎖される可能性が高いと説明する飛鳥。


更にもう一つの可能性についても触れる。



「そもそも昨日の件で封鎖されてもおかしくなかったぐらい。でも封鎖はされてない…もしかしたら校長先生も封鎖されると困るのかも」


「えっと…なんで困るんだ?」



立て続けに健介に質問され、呆れた表情を浮かべながら説明を続ける飛鳥。



「つまり、それはー」


「まだ目的を果たせていない可能性があるって事だろ?」



飛鳥が答える前に代わって話す祐希。

それは、校長が旧校舎を封鎖すると、自分自身も出入りが難しくなるという可能性から、未だに旧校舎で何かを探しているかもしれないという推測だった。



「そうなの!だとしたら私達が今すべきことは、校長先生を見張ることだと思うのよ…でも、どうやって校長先生の予定を把握すればいいかしら」



飛鳥はなんとか校長の旧校舎への巡回スケジュールを知りたがるが、それを聞いていた祐希は別の提案を持ち掛ける。



「…だったら待ち伏せはどうかな? 放課後の旧校舎で校長先生が来るのを待ち伏せするんだ。校舎先生だって動くなら夕方以降だろ?」



それは尾行ではなく、旧校舎での待ち伏せの提案だった。



「待ち伏せかぁ!それも探偵みたいだなぁ!」


「うーん…少し非効率だけど…今はそれが確実かな……よし、それじゃその案で行きましょう!さっそく旧校舎で張り込みよ」



校長がいつ旧校舎に現れるのか分からない状況での放課後のみの待ち伏せは非効率的だったが、飛鳥も賛成したことでその日から旧校舎の張り込みが始まる。


三人はそれぞれ暇つぶしにトランプなどを持ち込み、放課後の旧校舎で校長がラジオを持って現れるのを待ち続けることに。


しかし、昨日の今日で校長も警戒しているのか下校時刻ギリギリまで三人は旧校舎の空き部屋で待ち伏せするのだが、結局その日はラジオを持った校長が現れることは無かった。

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