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4話

 眠らせておいた護衛の人たちを起こし、出発の準備をしてもらう。

 そのあいだにシルヴィアからことの顛末を聞く。


「私たちは王都のパーティーに行った帰りで比較的安全な街道を通ってはいたのですが、ここらを拠点としていたゲルド盗賊団に見つかってしまって…」

「なるほど。パーティーに行ってたのに親御さんは一緒じゃないの?」

「パーティーには父と共に行ったのですが、急な用事で帰れなくなったそうで、護衛もいるからと執事兼剣士のネイストらと共に先に帰ることになりまして。」

「それで襲われたと。大変だったね。」

「レイン様、この度は本当にありがとうございました!…ところでレイン様はどうしてこんな森にいらしたのですか?」

「旅の途中でねノンノの街へ行こうと思ってたの。」

「まぁ!では是非ご一緒にいかがでしょう。」


 おお。ありがたい展開だ。

 街に入るときに身分証が無いから少し面倒になりそうだなと思っていたから、これは嬉しい。


「邪魔にならないなら是非お願いします。」

「ふふ、これで残りの道も安全です。」


 私がいなくてももうすぐ街に着くから安全なはずなのに…

 気を使ってくれたようだ。


「じゃあ護衛の方たちにも挨拶してくるね。」

「はい!行ってらっしゃい!」


 眩しい笑顔だ…この子が女神か…

 馬車を降り出発の準備をしているネイストと呼ばれた護衛改め執事さんに挨拶に行くと、あっちもすぐに気づいてくれた。


「おお、レイン様。この度はお嬢様を救って頂き誠にありがとうございます。

 話はお嬢様からお聞きしました。なんでも盗賊5人に対し剣一本で無双されたとか。お強いですな。」


 シルヴィアは窓から見てたのか。結構グロテスクな現場だったけど、あの子肝が据わってるなぁ。


「いえいえ、こちらこそ、失礼な態度で一方的に眠らせてしまってすみませんでした。護衛の方々も無事なようで良かったです。」

「そうですな、やられてしまっていたと思っていましたが生きていたようで安心しました。

 怪我も回復魔法を使って頂いたおかげで完全に回復しているようですし。」


 実はいうと護衛の人は一人だけ亡くなっていたが、私の蘇生魔法で生き返らせたのだ。

 輪廻転生の神がそんなことをしていいのかと思われるかもしれないが、死んで間も無いとき魂は体にまだ残っていて、その状態から蘇生をすることは許されている。

 蘇生魔法は光の上位、聖魔法Lv4で覚えられ、使えるものは聖女だけとされているので私が蘇生魔法を使ったとは思われてはいないようだ。


「しかし、これほど上等な回復魔法をその若さで…

 いえ、助けて頂いた身でこれ以上の詮索は失礼ですな。」

「あはは、そうして頂けると助かります。」


 そんな会話をしていると、出発の準備が整ったようだ。


「わたくしは護衛に参加いたしますので、馬車の中でお嬢様とお話でもされていて下さい。」


 馬車の中で二人きりって、相当信用されてるな。

 私はそのことがなんだかとても嬉しくて、つい微笑んでしまったのだった。

 ―――――――――――――――――――

 その後は特に変わったことは無く、無事ノンノの街に到着した。

 街の入り口ではお嬢様が門番の方に私の説明をしたそうで、私は門番の方にものすごく感謝された。

 どうやらシルヴィアは街の人にも好まれているようだ。


 門を抜けしばらくすると、大きなお屋敷が見えてくる。


「レイン様、あれが私のお家です!お礼もしたいので是非このまま寄っていってください!」

「じゃあお言葉に甘えちゃおうかな。」


 お言葉に甘え、そのままシルヴィア宅へと向かう。

 屋敷に着きシルヴィアと馬車から降りると、シルヴィアの母親とおぼしき美しい女性が走ってやってくる。


「シルヴィア!!無事で良かったわ!馬車が襲われたと聞いて心臓が止まるかと思ったわよ!」

「お母様!心配をかけてごめんなさい…

 でもこの人が助けてくれたの。紹介します、旅人のレイン様です!」

「まぁ!ごめんなさい!わたくし、ナリア・シストと申します。

 シルヴィアを助けてくれてありがとうねレインちゃん!

 まさかこんな可愛い子が救世主様なんて!」

「救世主だなんてそんな。私は通りがかったから助けただけですよ。」

「レイン様は凄いのよお母様!剣で盗賊をバッタバッタ切り伏せて!まるで王都で見た勇者様だったわ!」


 …勇者。

 勇者とは魔王と対になる存在で、魔王が生まれると勇者も生まれるし、その逆も然り。最近では大きな争いは起こっていないそうだが、いずれは勇者と魔王を旗印とした人と魔族の戦争も起きてしまうかもしれない…

 …でもまぁ、そのときのことはそのときになってから考えよう。


「そろそろお昼時ね。レインちゃんも一緒に食べましょう♪」

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