表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/5

3話

 とりあえずノンノという街を目指して歩きだした私は、森を進み始めていた。


「俺の冒険はこれからだ!」


 なんて言いながら進んでいると、


「ガアアァァァ!!」


 体長5m程ある大きい赤毛の熊の魔物が涎を垂らしながらでてきた。

 完全に捕食対象としてこちらを見ている。


「ちょうど良かった。使える魔法も試してみたかったんだよね。」


 まずは簡単な魔法から…


「とりあえずLv10風魔法『竜巻』」


 熊の足元に現れた魔法陣から敵を引き裂く竜巻が発生する。

 竜巻が消えた跡には傷だらけで息絶えている熊の魔物がいた。


「とりあえず下位魔法は全部のレベルが使えそうだね。」


 魔法には下位魔法と上位魔法、神域魔法が存在し、それぞれ火、水、風、地、雷、光、闇の属性がある。

 下位魔法→上位魔法→神域魔法と強くなり、神域魔法は神の領域に足を踏み入れた者のみが使うことができる。

 レベルはそれぞれ10まであり、1属性でも下位魔法を極めれば一流、上位魔法をLv3まで使えれば英雄と呼ばれる。

 また、それぞれの魔法を合わせてできる複合魔法も存在する。

 魔法は想像力次第で無限に存在するのだが、魔法の理論は難しくあまり新しい魔法は開発されていない。


「まぁ私は魔法の理論は完璧ですけどね!」


 そんな感じで一人で粋がっていると、


「キャャァァ!!」


 少女らしき甲高い悲鳴が遠くから聞こえてきた。こ、これは…

 熊を回収し急いで声のした方へ行ってみると、想像通り馬車が盗賊に襲われていた。

 馬は倒れ、護衛も頑張っているようだが既に3人倒れていて,1対5と厳しそうだ。


「お嬢様ご安心ください!わたくしネイスト、お嬢様は死んでも護ります!」


 とりあえず助けよう。


「お嬢様は貴方に死なれたら困るでしょ。かわってください。」


 次は剣術が訛っていないか確かめるために倒れていた護衛から剣を借り、ついでに馬と護衛に回復魔法もかけ、眠っておいてもらう。


「だ、誰だ君は!?危ないから早く逃げなさい!」

「どいてください。もうボロボロじゃないですか。」

「大丈夫だ!私はまだ戦える!」


 そう言われたので、ネイストの足を軽く小突いてやると、ネイストはすぐに膝から崩れ落ちてしまった。


「くっ、老いて衰えた体が恨めしい… しかしまだ盗賊はいるのだ。ここで諦めるわけには…」

「『スリープ』、『グレートヒール』」


 まだ戦おうとする意気込みは大変立派なのだが、邪魔になるかもしれないので魔法で眠らせ、盗賊と対峙する。


「おい白髪の嬢ちゃん、多少魔法は使えるようだが俺は元Bランク冒険者なんだ。降伏して土下座すれば見逃してやってもいいぜ。」

「見逃すなんて、なんでそんな見え透いた嘘つくかな。御託はいいから早くきてください。」

「ちっ、じゃあとりあえず動けなくなってもらおうかな!いくぞお前ら!」

「「へい、お頭!」」


 盗賊たちが一斉にかかってくるが、正直止まって見える。


「でもなぁ、すぐ倒すと剣術が試せないからなぁ… まぁ試すだけなら一人でいいか!剣技『流連剣』」


 ザンッ


 流連剣は波のような横薙で、敵に囲まれたときに有効な技だ。

 ちなみに剣技なんて言っているが、私の場合は完全に自力でスキルに頼るようなものではない。お父さんに「スキルに頼って剣を振るな!剣が可哀想だろ!」と叩き込まれた結果だ。

 頭以外の盗賊を一刀に切り伏せる。


「な、なんだこりゃぁぁ?!」


 盗賊の頭はあまりの惨状に声をあげる。


「それじゃあ一対一で戦いましょうか。」


 私はにっこりと笑う。


「ば、化け物めぇぇぇ!!」


 盗賊の頭は焦っているのかめちゃくちゃな太刀筋で切りつけてくる。

 しかしこのひと本当に元Bランク冒険者なんだろうか。どんなに焦っていても一流というものは体に染み付いた剣術が表れるものなんだけどな。


「まずいなぁ」

「ひ、ひゃはは!そうだろう!この連撃にそんな細腕じゃ耐えられないだろ!」

「これじゃ剣術がなまってないかよく分からない!」

「なにを言って!?」


 ザシュッ


 相手の首をはね、決着をつける。

 検証はまたの機会にしよう。無念…

 ひとまずお嬢様と呼ばれていた子を助けようと、馬車の扉を開ける。


「キャァ!!」

「落ち着いて、私はレイン、旅人だよ。盗賊はやっつけたし護衛の人たちも全員無事だから。」

「そ、そうなんですか、良かった… 本当にありがとうございますレイン様!

 わたしは、ノンノの街の領主の娘、シルヴィア・シストと申します。この御恩は街に着いたら必ず返します!」


 良かった。

 お嬢様と聞いてちゃっとだけ不安だったけどちゃんと良い子だった。

 安心して落ち着いたシルヴィアと共に馬車から降りる。


「きゃあぁぁぁ!皆倒れてるぅぅ!」


 あ、眠らせてたの忘れてた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ